世界のキャベツ生産は2023年時点で73.83Mtに達し、中国とインドが全体の約62%を占めている。1961年からの長期的な増加傾向があるが、近年は成長が鈍化。中国は依然として圧倒的なシェアを持つ一方、ロシアやウクライナが回復基調、日本や韓国などの成熟市場では減少傾向が顕著。将来的にはアジア新興国での需要と栽培技術革新が鍵となる。
生産量のデータとグラフ
キャベツ生産量の最大と最新
世界 | 中国 | インド | ロシア | 韓国 | ウクライナ | 日本 | インドネシア | |
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最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 2000年 | 2000年 | 2023年 | 2015年 | 1978年 | 2013年 | 1968年 | 1995年 |
最新値[Mt] | 73.83 | 36.17 | 10.05 | 2.569 | 2.453 | 1.587 | 1.42 | 1.399 |
最大値[Mt] | 75.14 | 40.65 | 10.05 | 3.604 | 4.028 | 2.083 | 3.384 | 1.625 |
前年比[%] | 0.2552 | 0.4513 | 2.28 | 11.79 | -2.572 | 3.516 | -2.576 | -6.969 |
全体比[%] | 100 | 48.99 | 13.61 | 3.48 | 3.323 | 2.15 | 1.924 | 1.895 |
これまでの推移


詳細なデータとグラフ
キャベツ生産量についての推移と展望
キャベツは、長年にわたり世界各地で主要な葉茎類野菜として栽培されてきた。1961年から2023年までの統計によると、世界の総生産量は継続的に増加し、2023年には73.83Mt(メガトン)に達した。ただし、直近の前年比成長率はわずか0.2552%と、ほぼ横ばいである。
このような低成長の背景には、いくつかの要因がある。先進国では人口減少や食生活の多様化による野菜全体の消費減少が一因であり、また、気候変動による収穫の不安定性や、農業人口の減少も生産に影を落としている。
中国とインドが支える圧倒的な生産構造
最新データでは、中国が36.17Mt(世界の約49%)と圧倒的なシェアを占めており、次いでインドが10.05Mt(約13.61%)である。この2か国だけで全体の6割以上を担っており、東アジアと南アジアの農業集約化の象徴と言える。
中国では大規模な機械化と多様な品種の開発が進み、輸出や加工食品向けの需要にも対応している。前年比では0.4513%と微増ではあるが、規模を保ちつつ安定生産が続く。
インドは前年比2.28%と比較的堅調な成長を見せており、人口増加と国内消費拡大が追い風になっている。特に北部のパンジャブ州やウッタル・プラデーシュ州などでの栽培が盛んである。
ロシア・ウクライナの回復と課題
ロシアとウクライナでは、近年の地政学的緊張にもかかわらず、2023年はそれぞれ前年比11.79%、3.516%と高い伸びを見せた。ロシアは2.569Mt、ウクライナは1.587Mtを生産しており、両国ともに寒冷地向けの品種改良が進んでいる。
しかし、戦争や経済制裁の影響、農業インフラの破損など、構造的な不安要素が依然として残る。中長期的には国内市場向けの自給自足体制の強化がカギとなるだろう。
東アジアの成熟市場 ― 日本と韓国
日本と韓国では、キャベツは伝統的に重要な野菜であり、特に漬物や炒め物などでの使用が多い。日本は1.42Mt(前年比-2.576%)、韓国は2.453Mt(前年比-2.572%)であり、どちらも微減傾向にある。
これは、少子高齢化による需要減や農業人口の減少が主因である。また、耕作地の縮小や農業後継者不足が生産体制の維持を困難にしている。品質は高いが、コスト競争では中国産に押される面もある。
新興市場としてのインドネシアの動向
インドネシアでは2023年に1.399Mtを生産しており、前年比では-6.969%と大きく落ち込んだ。これは天候不順とインフラ面での課題が影響していると見られる。
ただし、長期的には人口増加とともに野菜消費も拡大しており、栽培技術や灌漑システムの整備が進めば、再び成長軌道に戻る可能性は高い。
今後の展望と持続可能なキャベツ生産の課題
今後のキャベツ生産には以下のような課題と展望がある。
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気候変動対策:温暖化や干ばつ、集中豪雨への対応が不可欠。
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品種改良と耐病性向上:特に高温多湿地域での安定生産には耐病性のある品種が重要。
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輸送・保存技術の発展:鮮度保持とロス削減により、遠距離流通が可能に。
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需要の多様化対応:生食だけでなく、加工品や冷凍食品向けの需要開拓も鍵。
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持続可能な農法:有機農業や減農薬技術の普及も注目されている。
まとめ
キャベツは世界中で安定した需要を持つ野菜だが、地域によってその生産の事情は大きく異なる。中国やインドが量的に牽引する一方で、日本や韓国などの成熟市場は質や多様性に力を入れている。今後は、新興国での需要増と技術革新が世界全体のキャベツ生産の鍵を握るだろう。
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