世界のキノア生産が急減:ペルー・ボリビア主導の縮小と今後の展望

天然素材

2023年の世界キノア生産量は0.112 Mtで、前年比−29.8%という大幅な減少。最大産地のペルー(−38.3%)とボリビア(−7.4%)が生産低迷の主因。エクアドルやブータンも小規模ながら大幅減。将来は耐候性品種や持続可能認証制度、健康志向市場への対応強化が、産地回復と競争力維持の鍵となります。

キノアの生産量ランキング

2023年
降順昇順
各国最新値[Mt]全体比[%]前年比[%]
世界0.112100-29.76
1ペルー0.070562.79-38.29
2ボリビア0.041436.86-7.442
3エクアドル0.0003780.337-57.17
4ブータン1.29E-50.0115-28.5
キノアの生産量
キノアの生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

キノアの現状と今後

2023年の世界全体のキノア生産量は 0.112 Mt(百万トン)。前年比で −29.76% と大幅に減少しました。これは、主力生産国であるペルーやボリビアにおける収穫量の落ち込みが全体の減少を牽引した結果と考えられます。


主要生産国の特徴と動向

ペルー(0.0705 Mt、−38.29%)

最大生産国でありながら、前年比で約38%の大減少となっています。キノアは伝統的にアンデス高地で栽培されており、気候変動(乾季・長雨)、収穫期の天候不順、あるいは市場価格の不安定などが影響した可能性があります。

ボリビア(0.0414 Mt、−7.442%)

第2位の生産国ですが、約7.4%の減少となりました。気象条件の変動や農業支援施策の停滞、あるいは国際価格の下落などが要因と推察されます。

エクアドル(0.000378 Mt、−57.17%)

非常に小規模ながら、生産量が前年比で約57%も減少。栽培の専門技術や気候適応策の不足、関心の減衰などが影響しているとみられます。

ブータン(0.0000129 Mt、−28.5%)

極めて小規模な生産ながら、前年比で28.5%減。伝統的農法中心の国であるため、気候変動や作付面積縮小が影響している可能性があります。


共通傾向と背景要因

  • アンデス圏に集中する生産:ペルーとボリビアが世界生産の98%超を占めており、キノアは高度な山岳環境に依存した地域特化型の食用作物です。

  • 大幅な生産減少:全体として3割近くの減産は、畑作の自然リスクや農協・支援体系の弱体化、市場価格低迷などの複合的要因を反映していると考えられます。

  • 小規模国の不安定性:エクアドルやブータンなどの小規模国では、単年度の気象変動や支援体制の変化で生産が激しく振れる傾向があります。


将来予測と展望

ペルー・ボリビアの回復可能性

これらの国では、品質の高い土地race品種やオーガニックキノアへの世界的需要が根強く、政策支援や技術移転が好転すれば生産回復の余地はあります。ただし気候変動への適応力向上が不可欠です。

地域拡大の難しさと機会

アンデス以外の地域では地理・気候条件が不適応であるため、大規模拡大は難しい。ただし、試験栽培や標高適応型品種導入によって、新興産地創出の可能性もゼロではありません。

気候安定化対策の必要性

干ばつ・洪水・異常気温への耐性強化が急務です。灌漑インフラの改善、耐乾燥/耐寒品種の開発や普及が、生産安定化に不可欠となります。

価値志向へのシフト

キノアはグルテンフリー、スーパーフードとしてのイメージが強く、健康志向、フェアトレード、オーガニック認証など、高付加価値市場への対応が、生産国にとって競争力の鍵となります。


まとめと展望

2023年は世界のキノア生産量が 0.112 Mt、前年比で −29.8%の大幅減少。主産地ペルーやボリビアでの減産が全体を下押ししましたが、依然として世界市場の主要供給地です。将来的には、気候変動適応策、品質重視の品種・認証制度、高付加価値輸出体制の整備が鍵となり、成長回復の余地は十分にあります。

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