2023年の世界キウイ生産量は4.433Mtで前年比-2.362%。中国とニュージーランドは安定増加を示す一方、イタリアなど欧州諸国では気象や病害で大幅減少。今後は中国主導の拡大とブランド化が進む一方で、気候変動と病害が課題となる。
キウイの生産量ランキング
各国 | 最新値[Mt] | 全体比[%] | 前年比[%] | |
---|---|---|---|---|
世界 | 4.433 | 100 | -2.362 | |
1 | 中国 | 2.363 | 53.3 | +1.556 |
2 | ニュージーランド | 0.663 | 14.95 | +1.961 |
3 | イタリア | 0.391 | 8.822 | -25.24 |
4 | ギリシャ | 0.317 | 7.153 | -0.996 |
5 | イラン | 0.295 | 6.658 | +0.194 |
6 | チリ | 0.116 | 2.617 | -2.623 |
7 | トルコ | 0.0898 | 2.026 | -10.86 |
8 | フランス | 0.0498 | 1.123 | +5.624 |
9 | ポルトガル | 0.0487 | 1.098 | -7.993 |
10 | スペイン | 0.029 | 0.653 | +5.734 |
11 | アメリカ | 0.0249 | 0.561 | -23.88 |
12 | 日本 | 0.0221 | 0.498 | -3.682 |
13 | イスラエル | 0.0087 | 0.196 | +8.775 |
14 | 韓国 | 0.00812 | 0.183 | -0.773 |
15 | オーストラリア | 0.00389 | 0.0878 | +16.69 |
16 | ジョージア | 0.0013 | 0.0293 | -23.53 |
17 | モンテネグロ | 0.0005 | 0.0113 | |
18 | キルギスタン | 0.000412 | 0.0093 | -0.269 |
19 | スイス | 0.000369 | 0.00832 | -13.99 |
20 | スロベニア | 0.00036 | 0.00812 | +414.3 |
21 | ブルガリア | 0.00025 | 0.00564 | +212.5 |
22 | キプロス | 0.00015 | 0.00338 | |
23 | チュニジア | 3.48E-5 | 0.000785 | -0.229 |
24 | ブータン | 3.39E-5 | 0.000765 | +28.64 |
25 | カナダ | 2.75E-5 | 0.00062 | -0.615 |
26 | ルーマニア | 0 | 0 | |
27 | ルクセンブルク | 0 | 0 | |
28 | リトアニア | 0 | 0 | |
29 | ラトビア | 0 | 0 | |
30 | マルタ | 0 | 0 | |
31 | ポーランド | 0 | 0 | |
32 | ベルギー | 0 | 0 | |
33 | フィンランド | 0 | 0 | |
34 | ハンガリー | 0 | 0 | |
35 | ドイツ | 0 | 0 | |
36 | デンマーク | 0 | 0 | |
37 | チェコ | 0 | 0 | |
38 | スロバキア | 0 | 0 | |
39 | スウェーデン | 0 | 0 | |
40 | オランダ | 0 | 0 | |
41 | エストニア | 0 | 0 | |
42 | アイルランド | 0 | 0 |


詳細なデータとグラフ
キウイの現状と今後
2023年における世界のキウイ生産量は4.433Mt(メガトン)で、前年から-2.362%の減少となりました。キウイは比較的新しい果実作物として1970年代から急成長し、健康志向の高まりとともに需要を広げてきました。しかし、気象や病害に敏感であること、また供給国が限られていることから、生産は年ごとに大きく変動する傾向があります。
今回のデータからは、主要国の中でもイタリア・トルコ・ポルトガルなどが大幅減少し、中国やニュージーランドのような安定国が堅調に推移したことがわかります。これは、気象変動、農業構造、輸出志向など、各国特有の背景に起因しています。
主要生産国別の特徴と動向
中国(2.363Mt、前年比 +1.556%)
世界のキウイ生産量の半数以上を占める最大の生産国です。主に内陸部(4川省など)で栽培され、近年では果実の品質向上とともに、国内市場と輸出市場の双方を見据えた拡大が進んでいます。2023年もわずかながら増加し、国内需要の強さと生産技術の安定化が背景にあると考えられます。
中国では土着品種も多様化しており、赤肉種や小型品種の市場化も進んでいます。今後も生産量は拡大傾向が続くと予想されますが、過剰供給や品質の均1性が課題です。
ニュージーランド(0.663Mt、前年比 +1.961%)
「ゼスプリ」ブランドで知られるニュージーランドのキウイは、世界市場での高いブランド力と品質を誇ります。黄肉種(ゴールドキウイ)の開発と商業化に成功したことが、競争力の源泉です。
生産は安定的で、2023年も小幅な増加を示しました。輸出中心のモデルで、アジア・ヨーロッパ市場に強みがあります。気候の変動にはやや脆弱ですが、栽培管理技術の精度が高く、気象リスクをうまく回避しています。今後もブランド価値を維持しつつ、持続的成長が期待されます。
イタリア(0.391Mt、前年比 -25.24%)
かつては世界有数のキウイ輸出国であり、特にグリーンキウイの生産が盛んでした。しかし、近年では気温の上昇・霜害・病害(特にバクテリア性病害)によって深刻な生産減少が続いています。2023年は大きく落ち込み、前年から4分の1の減少を記録しました。
また、農業従事者の高齢化や水資源の制限も構造的問題です。このままでは持続的な生産は難しく、回復には品種転換や栽培地域の見直しが不可欠でしょう。
ギリシャ(0.317Mt、前年比 -0.996%)
近年成長してきた生産国で、EU内での供給源として重要です。2023年は微減にとどまっていますが、気候の安定性と市場近接性が強みです。今後も地中海性気候を活かしながら、持続的な中規模拡大が予想されます。
イラン(0.295Mt、前年比 +0.194%)
キウイの生産が盛んな北部(カスピ海沿岸)で生産が拡大しています。2023年も小幅ながら増加を記録し、国内市場と周辺国への輸出が両立している点が特徴です。ただし、水資源の制約や制裁による農業機資材不足が中長期のリスクです。
チリ(0.116Mt、前年比 -2.623%)
南米唯1の主要生産国であり、南半球のオフシーズン供給地として北半球市場を補完しています。2023年は小幅な減少でしたが、長期的には輸送コストや気象条件の変動に左右されやすい構造です。ニュージーランドとの競合もあります。
トルコ(0.0898Mt、前年比 -10.86%)
生産量は限定的ながら、地域的には急成長してきた国です。2023年の減少は、寒波・干ばつの影響が大きいと推測されます。農業支援政策が今後の鍵を握るでしょう。
フランス、ポルトガル、スペイン
これらの国々は欧州内の中小規模供給源です。2023年はフランス・スペインが増加、ポルトガルは減少となっています。全体的に、地中海性気候を活かした高品質少量生産が特徴です。今後は、ローカル市場向けの高付加価値戦略が主流となるでしょう。
世界のキウイ市場の課題と展望
気候変動の影響
キウイは花芽形成期や果実肥大期に気候の安定性が求められる作物であり、霜害・干ばつ・高温は収穫に大きなダメージを与えます。今後は、耐病性・耐候性に優れた品種開発が世界的に急務です。
病害の拡大リスク
キウイにおいては、バクテリア性病害(Psa)などの流行が過去に甚大な影響を与えたことがあり、再発や他地域への波及には警戒が必要です。
市場の動向
健康志向とともに、スーパーフードとしてのキウイの評価が高まっています。特にビタミンCや食物繊維の豊富さが評価され、若年層・中高年の消費が増加傾向です。加工品(ドライキウイ・スムージー)も含めた市場展開が今後の焦点です。
将来予測(〜2030年)
今後5〜10年の予測としては、以下の傾向が想定されます:
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世界総生産量は年率1〜2%程度の緩やかな成長 → 中国・ニュージーランド・イランが牽引役
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EU圏ではイタリアからギリシャ・スペインへの生産シフト → 病害や水資源の制約による影響大
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ブランド・品種多様化による競争激化 → ゴールドキウイや赤肉種などの差別化が進展
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栽培技術と輸送インフラの高度化 → 収穫後処理(追熟管理)や冷蔵物流の整備が進む
今後のキウイ市場は、「品質」「安定供給」「栄養価訴求」という3本柱での展開が鍵となり、ブランド志向と産地リスク管理が競争力の核心となるでしょう。
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