世界のキウイ生産動向|中国とNZが牽引、イタリアは気候被害で減産

果物
生産量



世界のキウイ生産量は2023年に4.433Mt。中国が53%超で圧倒的、ニュージーランドが続く。イタリアは干ばつで25%減。全体では前年比2.3%減少。気候変動や病害虫が課題だが、健康志向を背景に中長期的には需要と生産の成長が見込まれる。

生産量のデータとグラフ

キウイ生産量の最大と最新

世界 中国 ニュージーランド イタリア ギリシャ イラン チリ トルコ
最新 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年
最大期 2022年 2023年 2021年 2015年 2022年 2017年 2012年 2022年
最新値[Mt] 4.433 2.363 0.6627 0.3911 0.3171 0.2951 0.116 0.08983
最大値[Mt] 4.54 2.363 0.7 0.5986 0.3203 0.3036 0.2814 0.1008
前年比[%] -2.362 1.556 1.961 -25.24 -0.996 0.194 -2.623 -10.86
全体比[%] 100 53.3 14.95 8.822 7.153 6.658 2.617 2.026

 

これまでの推移

キウイの生産量
最新の割合

 

詳細なデータとグラフ

 

キウイ生産量についての推移と展望

キウイフルーツはもともと中国の原産で、「チャイニーズ・グーズベリー」と呼ばれていましたが、20世紀初頭にニュージーランドに持ち込まれ、商業的に栽培・輸出が始まりました。1970年以降、世界のキウイ生産量は右肩上がりで拡大し、2023年には4.433Mt(メガトン)に達しました。健康志向やビタミンC需要の高まりが消費を後押しし、各国が競うように生産・輸出体制を強化してきました。


中国―最大の生産国としての急成長と安定化

中国は2.363Mtで世界全体の53.3%を占め、圧倒的な首位にあります。前年比も+1.556%と成長を継続しており、内需と輸出の両面から拡大しています。四川省や陝西省などの高地がキウイに適しており、品質改良や品種多様化(紅心キウイなど)も進展中です。生鮮輸出と加工品の両方を視野に入れた農業政策が奏功し、今後も安定生産が期待されます。


ニュージーランド―品質重視のブランド展開

ニュージーランドの生産量は0.6627Mtで全体の14.95%、前年比+1.961%と堅調です。Zespriブランドで知られ、品質管理・マーケティング・輸出体制が高度に整備されており、世界市場での高単価販売を実現しています。グリーン種に加え、サンゴールドなど甘味系の高付加価値品種が成功しており、今後はアジア・中東市場へのさらなる浸透がカギとなります。


イタリア・ギリシャ―ヨーロッパ市場の供給地

イタリア(0.3911Mt、8.822%)とギリシャ(0.3171Mt、7.153%)はEU域内供給の要です。イタリアはかつて世界2位の座にありましたが、前年比-25.24%の大幅減は、干ばつ・霜害・病害(バクテリア性斑点病)の影響が大きく、深刻な生産打撃を受けています。一方、ギリシャは比較的安定しており、EU内部での価格競争に強みを持っています。将来的には気候変動への対応力が生産安定の鍵です。


イラン・チリ・トルコ―安定供給と気候リスク

  • イラン(0.2951Mt、6.658%)は主に国内消費中心ですが、近年では中東諸国への輸出も進展中。前年比+0.194%とわずかな増加にとどまり、政治的・気候的リスクが成長の壁になっています。

  • チリ(0.116Mt、2.617%)は南半球生産地としてオフシーズンの輸出が魅力ですが、前年比-2.623%とやや減少傾向。干ばつの長期化と生産者の高齢化が課題です。

  • トルコ(0.08983Mt、2.026%)は地中海気候を活かし、国内消費と一部輸出を両立。ただし、前年比-10.86%と大幅減で、気象災害の影響が大きいとみられます。


世界のキウイ生産が直面する課題

世界全体では前年比-2.362%と、生産拡大に陰りが見え始めています。その背景には以下の課題があります:

  • 気候変動による霜害、干ばつ、水不足

  • 病害虫の増加(特にバクテリア病や果実腐敗)

  • 労働力不足と生産コストの上昇

  • 品種の単一化によるリスク

特にヨーロッパ諸国において気候災害が深刻で、持続可能な農法や水管理技術の導入が急務です。


今後の予測と展望

短期的には一部地域で生産減が懸念されるものの、中長期的には以下の理由からキウイ需要・生産は堅調に推移する見込みです:

  • 健康志向の高まりによる果物需要の増加

  • サブトロピカル地域の新規産地開発

  • 遺伝子改良や耐病性品種の導入

  • ブランド力強化と輸出市場の多様化(特にアジア)

とくに中国とニュージーランドが今後も主導的役割を果たす一方、気候変動に柔軟に対応できる新興産地の成長も鍵を握ります。

 

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