2023年の世界のオレンジ生産は69.85Mtで、ブラジルが25%超を占め首位。中国、メキシコ、インドなどが続く。エジプトは前年比17%増と急伸。気候変動や病害虫が課題だが、スマート農業や流通改革によって今後も成長が期待される。
生産量のデータとグラフ
オレンジ生産量の最大と最新
世界 | ブラジル | 中国 | メキシコ | インド | エジプト | インドネシア | スペイン | |
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最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 2023年 | 1997年 | 2016年 | 2023年 | 2010年 | 2020年 | 2023年 | 2016年 |
最新値[Mt] | 69.85 | 17.62 | 7.759 | 4.943 | 3.927 | 3.7 | 2.923 | 2.715 |
最大値[Mt] | 69.85 | 23.05 | 8.414 | 4.943 | 5.966 | 3.966 | 2.923 | 3.674 |
前年比[%] | 1.995 | 4.05 | 0.4272 | 1.819 | 0.8216 | 17.1 | 8.878 | -3.636 |
全体比[%] | 100 | 25.22 | 11.11 | 7.077 | 5.622 | 5.297 | 4.185 | 3.887 |
これまでの推移


詳細なデータとグラフ
オレンジ生産量についての推移と展望
世界のオレンジ生産量は1961年以降、着実に増加を続け、2023年には69.85Mt(メガトン)に到達しました。気候変動や病害虫、国際需給バランスの変化などの課題がある中、前年比は1.995%増と、比較的安定した成長を維持しています。健康志向の高まりにより、ジュース用や生果用の需要は今も根強く、世界的な果物の中でも重要な地位を占めています。
ブラジル―世界最大の生産国と輸出主導型モデル
ブラジルは17.62Mtで全体の25.22%を占め、断トツの首位を維持しています。サンパウロ州を中心とした大規模農園では機械化が進んでおり、主にオレンジジュース加工向けの産業モデルが確立されています。前年比は4.05%増と安定した伸びを示しており、長期的にも輸出主導で堅調が見込まれます。ただし、*柑橘グリーニング病(HLB)*などの病害リスクと気候変動が長期的課題です。
中国―急速に成長した内需中心のモデル
中国は7.759Mt(11.11%)を生産し、世界第2位。生果の消費が中心であり、前年比は0.4272%増とやや鈍化傾向です。都市化の進展とともに果樹園が西南部に移りつつあり、今後は品質管理と冷蔵物流の整備が重要です。輸出よりも内需対応が主軸であり、農業近代化によって中長期的には安定が予想されます。
メキシコ―中米の輸出拠点としての強み
メキシコの生産量は4.943Mt(7.077%)で、前年比は1.819%増。アメリカ合衆国向けの輸出需要が生産を支えており、国境を越えた物流体制が強みです。気候もオレンジに適しており、北米自由貿易圏での安定供給体制が将来性を支えています。
インドとインドネシア―急成長するアジアの生産拠点
インドは3.927Mt(5.622%)、インドネシアは2.923Mt(4.185%)で、それぞれ前年比0.8216%、8.878%と異なる成長ペースを示しています。インドは主に国内消費向けで、収穫後ロスと流通整備が課題。一方、インドネシアは気候が安定しており、今後の輸出展開が期待されます。いずれも中間所得層の拡大とともに需要が高まり、内需拡大が生産量を押し上げる要因となるでしょう。
エジプトとスペイン―高品質果実で勝負する欧州・中東プレイヤー
エジプトは3.7Mt(5.297%)で前年比17.1%増と大幅な伸びを記録しました。欧州や中東への輸出を拡大し、高品質果実のブランド化に成功しています。一方、スペインは2.715Mt(3.887%)で前年比-3.636%と減少しました。干ばつの影響や労働力不足が背景にありますが、EU市場での安定需要と輸出体制は維持されています。両国とも環境規制への適応と付加価値化が重要です。
今後の課題と展望
世界のオレンジ生産は、今後も堅調に推移する見通しですが、以下のような課題があります:
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気候変動による収穫変動と水不足
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柑橘グリーニング病などの病害虫リスク
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労働力不足と農業の高齢化
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輸出主導国における貿易摩擦
特にスマート農業技術(ドローン散布、AIによる病害予測、IoT管理)の導入や、輸出先多角化、品種改良による病害耐性強化が、生産の安定化に寄与するカギとなります。
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