オレンジの世界生産量と主要国の動向【最新データと将来予測】

果物

2023年のオレンジの世界生産量は69.85Mtで前年比+1.995%。ブラジルやエジプト、トルコが増加する一方、アメリカは病害により大幅減。今後は新興国での需要増や技術革新により、生産は緩やかに拡大すると予想される。

オレンジの生産量ランキング

2023年
降順昇順
各国最新値[Mt]全体比[%]前年比[%]
世界69.85100+1.995
1ブラジル17.6225.22+4.05
2中国7.75911.11+0.427
3メキシコ4.9437.077+1.819
4インド3.9275.622+0.822
5エジプト3.75.297+17.1
6インドネシア2.9234.185+8.878
7スペイン2.7153.887-3.636
8トルコ2.3113.309+74.84
9アメリカ2.2563.23-27.41
10イラン2.2473.217-3.2
11イタリア1.8362.629+2.964
12ベトナム1.8242.611+2.43
13南アフリカ1.6122.307-7.788
14アルジェリア1.361.947+9.167
15アルゼンチン1.0441.495+3.56
16ギリシャ0.8661.24-0.894
17コロンビア0.7551.081+0.763
18ガーナ0.7011.003-0.107
19モロッコ0.6740.965-45.98
20ペルー0.570.817-3.622
21オーストラリア0.5350.766+36.99
22タイ0.5140.736-0.355
23シリア0.5020.719+66.65
24マリ0.4730.678+17.75
25タンザニア0.3820.547+8.95
26ベネズエラ0.3530.505-3.482
27チュニジア0.3440.493-0.164
28ポルトガル0.2790.399-26.35
29パラグアイ0.2740.392+5.696
30パナマ0.2610.374-0.882
31ホンジュラス0.2520.361+0.282
32コスタリカ0.1990.285-8.484
33ボリビア0.1860.266-1.567
34スーダン0.1820.261+1.642
35ジンバブエ0.1770.254+4.932
36グアテマラ0.1740.249+0.671
37エクアドル0.1660.237-19.41
38コンゴ民主共和国0.1640.234-0.513
39イラク0.1580.226
40レバノン0.1530.22-5.791
41ギニア0.1530.218+5.635
42チリ0.1470.21+6.244
43イエメン0.1280.183-5.941
44ケニア0.1270.182-2.29
45パキスタン0.1190.17-8.616
46イスラエル0.1160.166+3.923
47ドミニカ共和国0.1130.162+13.12
48ニカラグア0.110.158-0.214
49ウルグアイ0.1070.154-7.279
50メラネシア0.08910.128+0.313
51バヌアツ0.08560.122+0.00117
52マダガスカル0.08380.12-0.00186
53ハイチ0.08280.119+7.275
54ジャマイカ0.07680.11+3.518
55エルサルバドル0.07430.106+3.698
56ヨルダン0.07060.101+37.48
57マラウイ0.06860.0982-0.516
58モザンビーク0.0670.0959
59カンボジア0.06580.0941+0.149
60セネガル0.05780.0827-1.084
61リビア0.05410.0775+2.557
62ネパール0.04850.0694-0.91
63エスワティニ0.04620.0662+0.803
64ラオス0.04240.0607-0.366
65コートジボワール0.04140.0592+0.227
66中央アフリカ共和国0.03510.0502+0.402
67エチオピア0.03220.0461+18.45
68日本0.0280.0401-0.124
69ガイアナ0.02660.0381+10.29
70ブータン0.02120.0303+14.64
71プエルトリコ0.01660.0238-15.1
72キプロス0.01560.0224-12
73ベナン0.01520.0217-0.264
74トーゴ0.01510.0216+0.404
75アルバニア0.01460.021+2.389
76スリナム0.01420.0203-8.372
77ベリーズ0.01120.016-79.06
78ソマリア0.01090.0157-0.332
79モンテネグロ0.009540.0137-0.177
80フランス0.008980.0129-7.992
81キューバ0.008940.0128+18.97
82スリランカ0.008920.0128+17.31
83マレーシア0.008010.0115-46.18
84ニュージーランド0.007930.0114+0.0176
85リベリア0.007730.0111-0.602
86アフガニスタン0.007390.0106-30.4
87ギニアビサウ0.007120.0102+0.353
88アゼルバイジャン0.005840.00836+15.44
89トリニダード・トバゴ0.00550.00788-0.742
90ドミニカ0.004870.00698-0.0455
91パレスチナ0.004680.0067-18.78
92ボツワナ0.004670.00668+6.816
93ザンビア0.004240.00607+0.577
94バハマ0.003690.00529+0.0813
95バングラデシュ0.003620.00518+1.859
96ルワンダ0.003180.00455-0.322
97ジョージア0.00250.00358+108.3
98フィジー0.002470.00354+6.061
99コンゴ0.002160.0031-0.372
100ナミビア0.002050.00294+0.119
101東ティモール0.001890.00271-0.402
102タジキスタン0.001830.00261+0.243
103フィリピン0.001490.00213-2.358
104ニューカレドニア0.001080.00155+14.39
105ポリネシア0.0009280.00133+0.665
106トンガ0.0009030.00129+0.431
107マルタ0.000710.00102+10.94
108ブルキナファソ0.0006290.0009+0.584
109グレナダ0.0005610.000804-0.187
110ブルネイ0.0004630.000663-0.359
111クロアチア0.000310.000444-54.41
112クウェート0.0002610.000374-0.707
113セントルシア0.0002180.000312-9.544
114セントビンセント・グレナディーン0.0001390.000199-4.795
115ボスニア・ヘルツェゴビナ0.0001370.000196+0.41
116ロシア6.54E-59.37E-5-7.534
117セイシェル4.58E-56.55E-5-0.327
118フランス領ポリネシア1.54E-52.21E-5+18.62
119クック諸島9.01E-61.29E-5-1.745
120ジブチ4.99E-67.14E-6+1.837
121ルーマニア00
122ルクセンブルク00
123リトアニア00
124ラトビア00
125ポーランド00
126ベルギー00
127ブルガリア00
128フィンランド00
129ハンガリー00
130ドイツ00
131デンマーク00
132チェコ00
133スロベニア00
134スロバキア00
135スウェーデン00
136オーストリア00
137オランダ00
138エストニア00
139アイルランド00
オレンジの生産量
オレンジの生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

オレンジの現状と今後

2023年における世界全体のオレンジ生産量は69.85Mt(メガトン)で、前年から+1.995%の増加となりました。オレンジは温暖地域に適した果樹で、ジュース用と生食用の両市場で需要が高いため、長年にわたって世界各地で安定的に栽培されてきました。

特に、オレンジは柑橘類の中でも気象や病害に比較的弱い部類に入るため、生産量は年ごとの変動が見られがちです。2023年は、1部の国で大幅な増加が見られた1方で、アメリカなどの主要国で大幅な減少も起き、全体としてはわずかな増加にとどまった年と言えます。


主要生産国別の動向と背景

ブラジル(17.62Mt、前年比 +4.05%)

世界最大のオレンジ生産国であり、ジュース用オレンジに特化した産業構造を持っています。特にサンパウロ州を中心に、輸出向けの大規模農園が広がっており、オレンジジュースは主要輸出品目でもあります。2023年の増加は、降水量や日照条件の好転、およびプランテーションの更新効果によると考えられます。今後も生産技術の進化により、効率的な大規模生産が持続する見込みです。

中国(7.759Mt、前年比 +0.427%)

中国は生食用中心の栽培で、内需がほとんどを占めるのが特徴です。消費者の健康志向とともに、果樹栽培が内陸部にも拡大してきました。2023年はほぼ横ばいで推移しましたが、気象変動や都市化の影響で、生産地の移動や再編が続くと予想されます。

メキシコ(4.943Mt、前年比 +1.819%)

メキシコもジュース用オレンジの重要生産国であり、アメリカ市場への輸出が多い国です。2023年は穏やかな増加を示しましたが、雨季の不安定さやインフラの脆弱性が課題となっています。

インド(3.927Mt、前年比 +0.822%)

ナーグプール地方などでの栽培が中心で、品種にはバレンシアオレンジに近い中果型のものが多い傾向です。2023年は小幅な増加にとどまりましたが、国内消費は着実に増加中。課題は病害対策と収穫・流通体制の近代化です。

エジプト(3.7Mt、前年比 +17.1%)

エジプトは急速に成長している新興生産国の1つ。ナイルデルタ地帯での灌漑農業の整備と、ヨーロッパ・ロシア向けの輸出拡大によって急増中です。2023年の大幅な増加は、投資による面積拡大と天候の好条件が要因と考えられます。

インドネシア(2.923Mt、前年比 +8.878%)

気候変動の影響が大きい熱帯圏ながら、近年では高地栽培や雨水管理技術の進歩によって、生産安定化が進んでいます。内需拡大も相まって、今後も穏やかな成長が見込まれます。

スペイン(2.715Mt、前年比 -3.636%)

ヨーロッパにおける主要生産国で、生食用の高品質オレンジが多く栽培されています。2023年は減少となりましたが、これは干ばつや水資源の制限の影響と推定されます。今後は水資源の最適管理と品種の選定が成否を分ける鍵になります。

トルコ(2.311Mt、前年比 +74.84%)

異常とも言える大幅増加は、気象条件の奇跡的好転、品種の成熟、果樹の新植効果などの重なりによると推測されます。ただし、この伸びが継続的であるかは不明で、1過性の豊作の可能性もあります。

アメリカ(2.256Mt、前年比 -27.41%)

かつての世界的生産国も、ここ数年は歴史的な低水準に落ち込んでいます。最大の理由は、フロリダ州を中心に広がった「グリーンイング病(Huanglongbing)」の深刻な影響です。また、気象災害や労働力不足も打撃となっています。短期的な回復は厳しく、中長期の抜本的な対策(品種改良・防疫技術)の必要性が浮き彫りです。

イラン(2.247Mt、前年比 -3.2%)

オレンジ栽培の長い歴史を持つ国ですが、近年は水不足や制裁の影響により、農業資材の調達が困難化。2023年も減少となり、農業インフラや流通の近代化が喫緊の課題です。


気象・病害・経済の複合リスク

オレンジ生産に影響を与える主な要因としては、以下が挙げられます:

  • 気象変動:干ばつ・熱波・豪雨の不安定化が収量を左右

  • 病害リスク: 特にグリーンイング病は世界的な脅威

  • 水資源の不足: 灌漑が前提の地域では供給リスクが増大

  • 労働・資材コスト: 肥料や燃料、収穫人材不足がコスト増を招く

これらは国・地域によって深刻度が異なり、生産の地域分散とリスク分散が進む可能性もあります。


今後の展望と将来予測(〜2030年)

総生産量は緩やかな上昇傾向

世界のオレンジ生産は、年率1〜1.5%前後での緩やかな増加が続くと予測されます。新興国での需要増と生産技術の導入が背景です。

生産構造の変化

  • アメリカのシェア低下は今後も継続見込み

  • ブラジル・エジプト・トルコなどがジュース・輸出用で存在感を拡大

  • 中国・インドなど内需中心国が堅調に成長

技術革新による生産の効率化

  • スマート農業・ドローン・自動選果などの技術導入により、労働依存からの脱却が進む

  • 品質の高い品種改良により、市場価値の高い果実へのシフトが進行

消費面での変化

  • フレッシュジュース需要の増加

  • 健康志向による無農薬・オーガニック品の選好

  • 輸出競争が激化し、ブランド化や地理的表示(GI)認証の取得が重要に

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