2023年の世界オクラ生産量は11.52Mtで、インドが全体の62.12%を占め最大生産国です。ナイジェリアや西アフリカ諸国も存在感を強め、特にコートジボワールは前年比31.88%と急成長を見せました。パキスタンやエジプトでは減少傾向が見られます。今後はアフリカでの増産と加工品市場への進出が鍵となります。
生産量のデータとグラフ
オクラ生産量の最大と最新
世界 | インド | ナイジェリア | マリ | スーダン | パキスタン | エジプト | コートジボワール | |
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最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 2023年 | 2023年 | 2015年 | 2022年 | 2019年 | 2022年 | 2009年 | 2020年 |
最新値[Mt] | 11.52 | 7.158 | 1.875 | 0.7595 | 0.3032 | 0.3017 | 0.1077 | 0.1012 |
最大値[Mt] | 11.52 | 7.158 | 2.068 | 0.7641 | 0.3086 | 0.3086 | 0.1347 | 0.1887 |
前年比[%] | 2.552 | 4.147 | 1.653 | -0.5991 | -0.4486 | -2.238 | -8.776 | 31.88 |
全体比[%] | 100 | 62.12 | 16.27 | 6.591 | 2.631 | 2.618 | 0.9346 | 0.8778 |
これまでの推移


詳細なデータとグラフ
オクラ生産量についての推移と展望
オクラ(学名:Abelmoschus esculentus)は熱帯から亜熱帯地域で広く栽培される野菜で、その粘り気と独特の風味が特徴です。原産地はアフリカとされ、奴隷貿易を通じて世界各地に伝播し、アジア、中東、アメリカでも重要な野菜となりました。栄養価が高く、ビタミンC、食物繊維、葉酸などを豊富に含むことから、近年では健康志向の高まりとともに再評価が進んでいます。
世界の生産動向(1961~2023年)
FAOデータによると、2023年の世界全体のオクラ生産量は11.52Mt(メガトン)で、前年比で+2.552%の増加を示しました。1960年代以降、アジアとアフリカを中心に栽培面積・生産量ともに着実に拡大しており、特に高温多湿な地域での適応力が強いため、気候変動に強い作物としても注目されています。
インドの圧倒的シェア ― 世界の62%以上を占める巨大生産国
インドは2023年に7.158Mtを生産し、全世界の62.12%という圧倒的なシェアを誇ります。オクラは「bhindi(ビンディ)」として広く家庭料理に使用され、国内需要が非常に高いことが生産量の背景にあります。また、小規模農家が栽培することが多く、年間を通じて複数回収穫できる短期作物であるため、農業経済の基盤にもなっています。前年比で+4.147%の増加は、需給の堅調さと、農業支援政策の効果を反映しています。
ナイジェリアと西アフリカの生産拠点
ナイジェリアは1.875Mtを生産し、世界シェアの16.27%を占めています。インドに次ぐ第2位の生産国であり、家庭消費・地域市場向けの需要が中心です。前年比は+1.653%と安定した成長を示しており、西アフリカ地域のオクラ栽培の中心地といえます。
マリ(0.7595Mt)、スーダン(0.3032Mt)、コートジボワール(0.1012Mt)なども一定のシェアを持ち、西アフリカ・サヘル地帯全体でオクラは伝統的な作物として根付いています。特にコートジボワールは前年比+31.88%という急成長を見せており、近年の農業拡大政策や需要増を背景にしていると考えられます。
中東・南アジアの小規模生産国 ― パキスタンとエジプトの事情
パキスタン(0.3017Mt)とエジプト(0.1077Mt)は、共に気候的にオクラ栽培に適しており、国内での料理(例:カレーや煮込み料理)に日常的に使われています。パキスタンでは前年比-2.238%、エジプトでは-8.776%と減少傾向にありますが、これは気候変動、灌漑用水の制約、または農業政策の転換が要因と考えられます。
課題と展望 ― 気候変動と農業政策が未来を左右する
今後のオクラ生産の展望には以下のような課題と可能性が挙げられます:
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気候変動対応力:高温に強い作物であるが、極端な干ばつや洪水には弱く、灌漑インフラの整備が鍵となる。
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市場の多様化:従来は地域消費が主だったが、冷凍・乾燥オクラなど加工品としての輸出ニーズが増加。
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品種改良:病害に強い耐性品種の開発と普及が、収量安定化に寄与。
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女性・零細農家の参加:多くの地域でオクラは女性農業者が管理しており、農村経済とジェンダー平等の観点でも重要。
インドやナイジェリアなど既存の大国に加え、新興国での生産拡大と輸出志向型の農業展開が鍵となるでしょう。特にアフリカ地域では、今後も人口増加による国内需要の増加とともに、生産もさらに拡大することが期待されます。
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