世界のエンドウ豆生産動向:主要国の特徴と将来予測

ナッツ類
生産量



2023年の世界のエンドウ豆生産量は約13,760ktで、最大生産国はロシア。カナダは大幅減少、一方でアメリカやインドは増加傾向。健康志向や植物性タンパク源としての需要が高まる中、気候変動や市場価格の影響を受けつつも、今後も世界的な需要増が期待される作物です。

生産量のデータとグラフ

エンドウ豆生産量の最大と最新

世界 ロシア カナダ 中国 インド アメリカ フランス エチオピア
最新 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年
最大期 1990年 2023年 2016年 1962年 2023年 2016年 1993年 2023年
最新値[k] 13760 3707 2609 1500 1134 820.4 485.2 405.5
最大値[k] 16640 3707 4836 3900 1134 1259 3664 405.5
前年比[%] -2.987 2.511 -23.79 1.221 12.94 16.56 21.32 3.604
全体比[%] 100 26.93 18.95 10.9 8.242 5.961 3.525 2.946

 

これまでの推移

エンドウ豆の生産量
最新の割合

 

詳細なデータとグラフ

 

エンドウ豆生産量についての推移と展望

エンドウ豆の世界生産量は、1961年から2023年までの間に着実に拡大してきました。健康志向の高まり、植物性タンパク源としての注目、ベジタリアン・ヴィーガン食品の需要増などが背景にあります。2023年の総生産量は約13,760千トン(13.76Mt)で、これは過去数十年にわたる増加傾向の延長線上にありますが、前年比では-2.987%の減少を記録し、全体としてやや停滞感も見られます。


主要生産国の特徴と現状

ロシア(3,707kt / 26.93%)

世界最大のエンドウ豆生産国。寒冷地でも栽培可能な点が強みで、近年は気候に恵まれたことで安定した生産が続いています。前年比+2.511%と増加。国内消費に加え、欧州やアジア向け輸出も見込まれるなど、存在感が大きい国です。

カナダ(2,609kt / 18.95%)

長らくエンドウ豆輸出国として重要な地位を占めてきたが、2023年は前年比-23.79%と大幅減。干ばつや作付面積の減少、価格低迷などが背景にあります。今後は気候変動の影響を受けやすいとされ、回復には政策的支援が不可欠です。

中国(1,500kt / 10.9%)

国内の高まる健康志向に支えられ、前年比+1.221%と微増。多様な料理に使われ、特に冷凍食品市場での需要が拡大中です。機械化や省力化も進んでおり、安定成長が期待されています。

インド(1,134kt / 8.242%)

豆類全般の消費が多い国で、エンドウ豆の需要も高い。2023年は前年比+12.94%と顕著な増加。農業技術の向上や政府の支援策が寄与しています。ただし、干ばつやモンスーンの変動リスクが依然として課題です。

アメリカ(820.4kt / 5.961%)

前年比+16.56%と大幅増。プラントベース市場の成長が主因で、特にエンドウ豆タンパクの抽出用途が増加しています。輸出向け生産も意識されており、将来的には大豆に次ぐ作物として注目されています。

フランス(485.2kt / 3.525%)

前年比+21.32%と欧州の中でも高い成長を示した国。EUのグリーン政策に沿った環境負荷の低い作物としての奨励が影響しています。今後も政策支援により増産の可能性あり。

エチオピア(405.5kt / 2.946%)

アフリカ地域での代表的な生産国。前年比+3.604%で増加傾向。地元消費と一部輸出向け生産が行われています。農業インフラの強化が鍵となります。


課題と生産変動の要因

世界のエンドウ豆生産には、以下の課題が存在します:

  • 気候変動:干ばつや極端気象の影響で生産が不安定化

  • 価格変動:国際市場での価格が安定しないため、作付面積に影響

  • 作業機械化の遅れ:特にアジア・アフリカでは小規模農家の手作業が中心

  • 病害虫:収量低下の大きな要因となっている地域も


今後の展望と推移予測

  • 世界全体の需要増:プラントベース食品、特にエンドウ豆プロテインの原料として今後も需要拡大が期待される。

  • 気候に強い品種開発:乾燥耐性や病害虫耐性に優れた品種の開発と普及が鍵。

  • 主要生産国の再構成:カナダの減速、アメリカとインドの拡大が目立ち、相対的な勢力図が変化する可能性。

  • アフリカ・南アジアの潜在力:人口増加と食料需要の高まりにより、生産拡大の余地がある。

 

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