世界のアボカド生産動向:メキシコ中心の拡大と今後の課題分析

果物(南国)

2023年のアボカド世界生産は10.47Mtで前年比約10%増。メキシコが圧倒的シェアを持つ一方、ペルーやケニア、ドミニカなど新興国の成長が著しい。輸出競争と品質向上がカギとなり、環境問題への対応も今後の焦点となる。

アボカドの生産量ランキング

2023年
降順昇順
各国最新値[Mt]全体比[%]前年比[%]
世界10.47100+9.772
1メキシコ2.97328.41+17.03
2コロンビア1.08610.37-0.449
3ドミニカ共和国1.0179.715+37.93
4ペルー0.9839.388+14.08
5インドネシア0.8748.351+0.929
6ケニア0.5425.181+22.8
7ブラジル0.4234.037+25.06
8ハイチ0.1951.862+13.69
9ベトナム0.1891.81-10.03
10イスラエル0.1771.691-6.678
11チリ0.1691.61+1.145
12エチオピア0.1681.601+3.884
13中国0.1381.319+1.624
14ベネズエラ0.1321.259+2.469
15モロッコ0.1191.134+20.2
16アメリカ0.1171.117-17.85
17オーストラリア0.1151.102+19.02
18南アフリカ0.1091.04+5.095
19マラウイ0.09430.901+0.271
20ジンバブエ0.0910.87-5.533
21スペイン0.08680.829-18.06
22カメルーン0.07740.739+0.466
23コンゴ民主共和国0.06170.59-0.192
24アンゴラ0.05820.556+5.646
25グアテマラ0.05190.496-65.58
26ニュージーランド0.04270.408+1.777
27トルコ0.03850.367-4.278
28コートジボワール0.03740.357-0.354
29ポルトガル0.03360.321+30.21
30マダガスカル0.02750.263+0.565
31エクアドル0.02650.253+0.316
32レバノン0.02030.194+5.181
33フィリピン0.01890.18-5.935
34エルサルバドル0.01730.166-18.84
35ギリシャ0.0160.152+14.83
36パラグアイ0.01570.15+0.448
37コスタリカ0.01540.147+23.43
38ボリビア0.01260.121+0.921
39スリランカ0.01220.117-14.09
40パナマ0.01130.108+11.45
41コンゴ0.009490.0906+0.686
42ガーナ0.009430.0901+0.294
43中央アフリカ共和国0.008880.0848+3.498
44ルワンダ0.006770.0647+15.92
45メラネシア0.005810.0555-0.988
46バヌアツ0.00560.0535-0.107
47東ティモール0.00440.0421-0.334
48アルゼンチン0.004120.0393+0.288
49パレスチナ0.003660.035+11.01
50キューバ0.003540.0338-0.12
51ジャマイカ0.002370.0226-0.359
52ホンジュラス0.002160.0206-1.752
53ポリネシア0.00160.0153-0.0545
54グレナダ0.001550.0148-0.0342
55サモア0.001440.0138-0.416
56バハマ0.001430.0137-0.405
57フランス0.001210.0116+12.04
58キプロス0.001180.0113-9.924
59ドミニカ0.001080.0103-1.4
60プエルトリコ0.001060.0102-34.23
61ボスニア・ヘルツェゴビナ0.001040.00991-0.052
62エジプト0.0009030.00863+1.007
63エスワティニ0.0008880.00848-0.292
64バルバドス0.000510.00487+1.295
65ガイアナ0.0004230.00404+7.905
66マレーシア0.0004030.00385-12.05
67チュニジア0.0003360.00321-0.32
68セントルシア0.0002460.00235-27.65
69フィジー0.0002110.00202-19.77
70ブータン0.0001920.00183+41.4
71フランス領ポリネシア0.0001350.00129+4.015
72スリナム9.87E-50.000943-0.664
73トリニダード・トバゴ5.13E-50.00049-2.529
74クック諸島2.11E-50.000202-0.331
75セイシェル1.25E-50.000119
76ルーマニア00
77ルクセンブルク00
78リトアニア00
79ラトビア00
80マルタ00
81ポーランド00
82ベルギー00
83ブルガリア00
84フィンランド00
85ハンガリー00
86ドイツ00
87デンマーク00
88チェコ00
89スロベニア00
90スロバキア00
91スウェーデン00
92クロアチア00
93オーストリア00
94オランダ00
95エストニア00
96イタリア00
97アイルランド00
アボカドの生産量
アボカドの生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

アボカドの現状と今後

2023年の世界のアボカド生産量は10.47百万トン(Mt)に達し、前年比+9.772%の大幅増加を記録しました。これは果実類としては極めて高い成長率であり、アボカドの世界的な人気拡大と商品価値の上昇を反映しています。

アボカドは、健康志向の高まりや「スーパーフード」としての需要拡大によって、かつてないペースで生産が広がっています。


メキシコ – 圧倒的な王者の成長継続

生産量:2.973Mt(世界全体の28%以上)

前年比:+17.03%

メキシコは世界最大のアボカド生産国として、依然として圧倒的な地位を占めています。

  • 主な生産地はミチョアカン州で、通年供給が可能。

  • 国内市場に加え、アメリカ、カナダ、日本などへの輸出主導型産業

  • 近年は輸出体制の機械化・近代化が進行。

2023年は前年比+17.03%と高い伸びを示しており、需要の増加と栽培面積の拡大、収穫効率の向上が寄与したと考えられます。


中南米の急成長国 – コロンビア・ドミニカ共和国・ペルー

コロンビア(1.086Mt、-0.449%)

2023年は微減となりましたが、コロンビアは新興のアボカド生産大国です。

  • 特に標高の高いアンデス山系の気候が栽培に適しており、フロリダ種・ハス種の両方が生産可能。

  • EUを中心とした輸出が増加傾向で、近年の栽培面積拡大が反映されてきています。

ただし、急成長ゆえに、インフラ整備や品質管理、輸出先の多様化が今後の課題となるでしょう。

ドミニカ共和国(1.017Mt、+37.93%)

2023年には前年比+37.93%という爆発的な成長を見せました。

  • 温暖な気候と豊富な降雨量により、アボカドに非常に適した環境。

  • 多くが有機栽培であることが特徴で、北米市場で高評価を受けています。

  • 内需に加え、観光業との相乗効果による農業強化も見られます。

今後も品質重視型の生産で、高付加価値市場のニーズに応えられる国として注目されます。

ペルー(0.983Mt、+14.08%)

ペルーはハス種を中心にした輸出型生産が伸びており、2023年は14%の増加。

  • 乾燥地帯の灌漑栽培による品質と収穫の安定化。

  • ヨーロッパ・アジア市場への輸出競争力が非常に高い。

  • 輸出は季節的にメキシコと競合しないオフシーズン供給の役割も担う。

持続可能性を意識した農業開発が進行中で、世界市場での地位は今後も上昇すると見られます。


アジアとアフリカの多様な供給源 – インドネシア、ケニアなど

インドネシア(0.874Mt、+0.929%)

インドネシアは東南アジア随1のアボカド生産国ですが、ほとんどが国内消費向けです。

  • 高温多湿な気候で品種の多様性があり、在来品種も多い。

  • 栄養価の認知が広がり、都市部での消費需要が拡大

輸出はまだ限定的ですが、今後は加工品や冷凍果実などで国際市場に3入する可能性があります。

ケニア(0.542Mt、+22.8%)

ケニアはアフリカで最も成長著しいアボカド輸出国。

  • 主にハス種を生産し、EU・中東市場への輸出を拡大中。

  • 小規模農家による栽培が多く、協同組合型の輸出モデルが定着しつつある。

品質管理や収穫後処理の近代化が進めば、さらなる伸びが期待されます。


停滞・縮小傾向の国々 – ベトナム・イスラエルなど

ベトナム(0.189Mt、-10.03%)

2023年は前年より10%減少。生産は局地的で輸出対応が進んでいないことが原因の1つと考えられます。

  • 国内の需要は伸びているものの、農業インフラが未整備。

  • 高温多湿な気候が収穫・保存に影響しやすい。

今後、地域特化型の小規模農業支援によって持続可能な生産が期待されます。

イスラエル(0.177Mt、-6.678%)

長年アボカド栽培の技術的リーダー国であったイスラエルは、気候変動と用水問題の影響で減産傾向です。

  • 節水型農業や温室栽培への移行が進められている。

  • ハイテク農業分野では依然としてグローバルな技術発信国

将来的には生産量そのものよりも、技術輸出国としての役割が強まる可能性があります。


アボカドの将来予測と課題(~2030年)

世界市場の拡大は続く

アボカドは今後も健康・美容志向食品として人気が継続する見込み。特にアジア市場(中国、インド、日本)の需要増が生産国を後押しするでしょう。

輸出体制と品質競争が鍵に

今後は「誰が多く作れるか」よりも、「誰が安定して輸出できるか」が問われる時代に。輸出用インフラの整備(冷蔵輸送、加工施設)が大きな成長要因です。

環境・水資源問題への対応

アボカドは水資源を多く消費する作物であり、持続可能性が常に議論の的となります。生産拡大の裏で、森林伐採や水不足といった課題への取り組みが求められます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました