世界のアボカド生産動向:メキシコ中心の拡大と今後の課題分析

果物(南国)
生産量

アボカドの世界生産量は2023年に10.47Mtと前年比9.77%増加。メキシコが最大産地で、環境課題と経済的利益が交錯。中南米・アジア・アフリカ諸国も急成長中で、今後は持続可能な農業モデルの確立が焦点となる。

生産量のデータとグラフ

アボカド生産量の最大と最新

世界 メキシコ コロンビア ドミニカ共和国 ペルー インドネシア ケニア ブラジル
最新 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年
最大期 2023年 2023年 2022年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年
最新値[Mt] 10.47 2.973 1.086 1.017 0.9826 0.874 0.5423 0.4225
最大値[Mt] 10.47 2.973 1.091 1.017 0.9826 0.874 0.5423 0.4225
前年比[%] 9.772 17.03 -0.4491 37.93 14.08 0.9292 22.8 25.06
全体比[%] 100 28.41 10.37 9.715 9.388 8.351 5.181 4.037

これまでの推移

アボカドの生産量
最新の割合

詳細なデータとグラフ

アボカド生産量についての推移と展望

アボカドは「森のバター」と称される栄養価の高い果物で、近年は健康志向の高まりにより世界的な需要が急拡大しています。2023年の世界総生産量は10.47Mt(メガトン)に達し、前年比+9.772%という大幅な増加を記録しました。1961年以降、長期的に右肩上がりの成長を続けており、近年はとくにアジアや欧州市場への輸出増が目立っています。

メキシコ―世界最大のアボカド大国

メキシコは世界最大のアボカド生産国で、2023年の生産量は2.973Mt、全体の28.41%を占めました。前年比では+17.03%と大きく伸びています。ミチョアカン州を中心に、専用の流通・冷蔵インフラが整備され、米国をはじめとする市場への輸出体制が強化されています。経済的には「緑の金」と呼ばれ、地域の主要産業となる一方、森林伐採や水資源の過剰使用、麻薬カルテルの介入といった問題も顕在化しています。

急成長する中南米の新興国―コロンビア・ドミニカ共和国・ペルー

コロンビア(1.086Mt、10.37%)はアボカドの主要輸出国の一つに成長していますが、2023年は微減(-0.4491%)となりました。品質向上と欧州市場向け輸出を柱にした戦略が進行中です。ドミニカ共和国(1.017Mt、9.715%)は前年比+37.93%という急成長を見せ、今後の台風被害の軽減や栽培面積の拡大次第では、さらに存在感を増すとみられます。ペルー(0.9826Mt、9.388%)も輸出志向が強く、ヨーロッパ市場を中心に成長。生産は+14.08%と順調で、今後の需給バランスと物流体制の維持が課題です。

アジアとアフリカの成長拠点―インドネシア・ケニア

インドネシア(0.874Mt、8.351%)ではアボカドは主に国内消費向けであり、栄養価の高い果実として食生活に根付いています。生産は前年比+0.9292%と緩やかですが、人口増とともに安定成長が続くと予想されます。ケニア(0.5423Mt、5.181%)は近年、欧州向け輸出に注力しており、前年比+22.8%の成長を達成。小規模農家主体の構造が特徴で、品質管理や国際基準への対応が今後のカギです。

ブラジル―国内需要と輸出の両立

ブラジル(0.4225Mt、4.037%)ではアボカドの国内消費が高く、主にジュースや料理の素材として用いられています。前年比+25.06%と好調で、今後は輸出市場の開拓が注目されます。アグリビジネスの成熟度も高く、気候変動対応を含めた持続可能な栽培への転換が期待されています。

アボカド産業の課題と将来の展望

アボカドの急速な需要増は、農業経済の活性化を促す一方で、環境への影響も無視できません。とくに水資源の枯渇、森林破壊、土地価格の高騰といった課題は、各国で深刻化しています。一方で、スマート農業の導入や、水の再利用技術、フェアトレード認証の普及により、より持続可能なアボカド生産への動きも広がっています。今後は、品質と環境保護を両立させた生産モデルの構築が求められるでしょう。

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