世界のりんご生産の現状と未来予測｜主要国の動向と課題を徹底解説

世界のりんご生産は2023年時点で高水準を維持し、アメリカと中国が全体の5割超を占めています。気候変動への対応と技術革新により、ブラジルやインドなども生産を拡大。一方、アルゼンチンでは天候や経済要因で大幅減少も見られました。今後は持続可能な生産体制と国際需給バランスが鍵を握るでしょう。

1961年から2023年にかけて、世界の果物生産量は大幅に増加し、その中でもりんごは栄養価と保存性に優れた果実として一貫して高い需要を維持してきました。2023年時点で、世界の果物生産量は1,242Mtに達し、その中でもりんごは主要な品目の一つです。前年比では世界全体で6.836％増となっており、りんごを含む果物市場は拡大傾向にあります。

中国とアメリカの圧倒的な生産シェア

中国はりんごの最大生産国であり、2023年の生産量は289.1Mt、世界全体の23.28％を占めます。温暖化にも適応しやすい広大な農地を活かし、生産量を安定的に維持しています。

一方で、アメリカは389.7Mtと世界最大のシェア31.39％を持ち、前年比も12.39％増と大幅な伸びを見せました。特にワシントン州を中心とした近代的な農業技術やサプライチェーンがその背景にあります。

ブラジル、アルゼンチン、インドなどの新興勢力

ブラジル（132Mt、前年比20.24％増）やインド（38.09Mt、前年比12.91％増）は近年大きな成長を示しています。これは内需拡大や輸出市場への進出意識が強まった結果です。一方で、アルゼンチンは41.41Mtとしつつも前年比では-29.86％と大幅な減少を記録し、天候不順や経済不安が影響しています。

気候変動と技術革新の影響

りんごは比較的涼しい気候を好む果実であるため、温暖化の影響は一部地域に深刻です。これにより栽培可能地の北上や、新たな耐暑品種の開発が進められています。また、ドローンやAIによる精密農業の導入で収穫量の最大化が図られつつあります。

今後の予測と持続可能性の課題

今後もアジアとアメリカを中心に生産量は増加すると見られますが、水資源管理、労働力不足、物流の持続性といった問題が課題です。特に低温倉庫の普及やフードロス対策が重要になるでしょう。