世界のみかん生産動向|中国・インド・トルコの成長と今後の課題

果物
生産量



2023年の世界のみかん生産量は52.56Mtで、中国が全体の半分以上(51.48%)を占める一方、インドやパキスタンは減少傾向。トルコは前年比58%増と急伸し、スペインやエジプトは安定成長。今後は気候変動やインフラ整備、スマート農業導入が成否を左右する。

生産量のデータとグラフ

みかん生産量の最大と最新

世界 中国 インド トルコ パキスタン スペイン エジプト ブラジル
最新 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年
最大期 2023年 2022年 2022年 2023年 2006年 2015年 2023年 2003年
最新値[Mt] 52.56 27.06 6.178 2.953 1.962 1.862 1.186 1.052
最大値[Mt] 52.56 27.15 6.303 2.953 2.36 3.737 1.186 1.305
前年比[%] 1.091 -0.3484 -1.983 58.33 -6.032 3.433 0.9627 -3.202
全体比[%] 100 51.48 11.75 5.618 3.733 3.543 2.257 2.002

 

これまでの推移

みかんの生産量
最新の割合

 

詳細なデータとグラフ

 

みかん生産量についての推移と展望

1961年にはまだ10Mt(メガトン)台だったみかんの世界生産量は、60年以上の成長を経て2023年には52.56Mtに達しました。柑橘類の中でもみかんは栽培しやすく、消費者にも人気が高いため、アジアを中心に安定的に生産量を拡大してきました。前年比は1.091%増とやや鈍化傾向にあるものの、世界の果物市場における地位は堅持しています。

中国の圧倒的シェアと今後の懸念

中国は27.06Mt(全体の51.48%)を生産し、他国を大きく引き離すトップシェアを維持しています。農業政策による果樹園の拡大、内需の高さ、輸出市場の多角化などが成長を支えてきましたが、前年比では-0.3484%と微減しており、成長の頭打ち感が見え始めています。今後は労働力不足や生産過剰による価格下落への対応が求められます。

インドの台頭と持続可能性への課題

インドは6.178Mt(11.75%)で中国に次ぐ第2位ですが、前年比は-1.983%と減少しました。インドでは気象条件による不作や、収穫後の流通ロスが依然として大きな課題です。ただし、人口の多さと国内需要の高さから、長期的には有望な市場といえます。冷蔵保管技術や流通インフラの強化が進めば、再び成長軌道に乗る可能性があります。

トルコの驚異的な増加と輸出戦略

トルコは2.953Mt(5.618%)で、前年比58.33%増という極めて高い伸びを示しました。これは前年の不作からの反動もありますが、輸出を前提とした品種改良や果樹園の集約経営が成果を上げていることも大きいです。ヨーロッパ、中東への安定した輸出先を持ち、地中海気候を活かした品質の高さも国際競争力の源となっています。

南アジア諸国の停滞傾向

パキスタン(1.962Mt/3.733%)は前年比-6.032%、ブラジル(1.052Mt/2.002%)は-3.202%と、南アジア・中南米諸国では生産量の減少が目立ちます。これらの国では、水不足、農薬問題、輸送インフラの脆弱さが生産性の向上を阻んでおり、構造的な改善が求められています。

ヨーロッパと北アフリカの持続的展開

スペイン(1.862Mt/3.543%)は前年比3.433%増、エジプト(1.186Mt/2.257%)も0.9627%増と、緩やかな成長を維持しています。両国ともEUや中東への輸出を支える高品質・安定供給型の体制を構築しており、農業の近代化・省力化が進んでいます。特にスペインでは有機農法への転換も進み、環境配慮型果樹園が注目されています。

今後の課題と展望

みかんは温暖な気候を好むため、気候変動の影響を大きく受けます。今後は干ばつへの対応、病害虫対策、スマート農業の導入が重要になります。また、大規模農園から小規模農家までが参加するこの産業では、労働力不足、輸送網整備、価格の安定化策が各国での優先課題です。中国の独走を背景に、他国がいかに差別化を図るかが中長期的な鍵となるでしょう。

 

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