そばの世界生産量は2023年に約220万トンで、前年比微減となりました。ロシアと中国が生産の大半を占める一方、フランスやウクライナでは生産が急増。健康志向やグルテンフリー需要の高まりにより、今後は欧州を中心に生産国の多様化が進む可能性があります。
生産量のデータとグラフ
そば生産量の最大と最新
世界 | ロシア | 中国 | フランス | ウクライナ | ポーランド | アメリカ | カザフスタン | |
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最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2017年 | 2023年 | 2017年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 1992年 | 2017年 | 1992年 | 2017年 | 1993年 | 1981年 | 1990年 | 1992年 |
最新値[Mt] | 2.204 | 1.149 | 0.5043 | 0.2635 | 0.2107 | 0.1131 | 0.08668 | 0.08349 |
最大値[Mt] | 4.975 | 1.525 | 3.1 | 0.2635 | 0.528 | 0.1304 | 0.1231 | 0.23 |
前年比[%] | -1.229 | -5.998 | -0.4293 | 55.46 | 42.68 | -4.596 | -0.8013 | -7.028 |
全体比[%] | 100 | 52.14 | 22.88 | 11.95 | 9.561 | 5.132 | 3.933 | 3.788 |
これまでの推移


詳細なデータとグラフ
そば生産量についての推移と展望
そば(Buckwheat)は、イネ科ではなくタデ科に属する雑穀で、主に寒冷地で栽培される耐性作物です。1960年代から現在まで、世界全体の生産量は大きな波があるものの、全体としては約200万トン前後で推移しています。
2023年時点では2.204百万トン(Mt)と報告され、前年度比で-1.229%の微減となっています。これは大豆やトウモロコシのようなメジャー穀物と比べると非常に限られた規模ですが、健康志向の高まりとグルテンフリー食材としての再評価により、一定の需要があります。
主要生産国の特徴と動向
ロシア(1.149Mt|世界シェア52.14%)
世界最大のそば生産国であり、世界の半分以上を占める圧倒的な存在感を持ちます。内需(カシャ=粥料理など)に加え、周辺国への輸出も行っています。2023年は前年比-5.998%の減少となりましたが、それでも世界シェア1位を堅持しています。収穫時期の気象条件に強く影響されることが多いです。
中国(0.5043Mt|22.88%)
ロシアに次ぐ第2位の生産国。中国では伝統的な食文化としてそばが浸透しており、特に雲南・四川・東北部での栽培が中心です。前年比-0.4293%の微減ながら、ほぼ安定した生産量を維持しています。
フランス(0.2635Mt|11.95%)
注目すべきはフランスの動向で、前年比+55.46%と急増。これはブルターニュ地方での有機そば栽培の復活や健康志向製品(ガレットなど)への需要増加が影響しています。EU域内での地産地消ニーズも追い風となっています。
ウクライナ(0.2107Mt|9.561%)
戦争の影響を受けながらも、前年比+42.68%と大幅な回復を見せました。国内の食料確保や東欧圏でのそば需要が生産回復を後押ししていると考えられます。
ポーランド(0.1131Mt|5.132%)
伝統的にそばの消費文化が残る国。前年比-4.596%の減少がありましたが、安定した中規模生産国です。
アメリカ(0.08668Mt|3.933%)
そば粉は主にグルテンフリー市場向けで、日本式そばやパンケーキ原料に使われます。前年比-0.8013%と微減ながら、一定の輸出需要もあります。
カザフスタン(0.08349Mt|3.788%)
ロシアとの地理的・文化的近さから栽培が続く国で、前年比-7.028%とやや落ち込みましたが、地域供給源として重要です。
そば生産に関わる課題
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気候依存性:そばは生育期間が短く、干ばつや霜害に弱いため、天候に大きく左右されます。
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市場の狭さ:コメや麦に比べて消費量が限られており、生産拡大のインセンティブが低い。
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収益性の課題:収穫量が少なく、商品単価も高くなりがちなため、生産者の収益安定には政策支援が必要です。
今後の展望と予測
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グルテンフリー食材としての需要増:世界的な健康志向の高まりや食物アレルギー対応としての需要増加が期待されます。
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フランス・ウクライナなど中位国の拡大余地:新興需要やEU内での地産食材トレンドにより、そば生産を拡大する中規模国が増える可能性があります。
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ロシアと中国の安定供給がカギ:世界生産の約75%をこの2国が占めているため、両国の気象と政策が全体の供給を左右します。
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