2023年の世界のチェリー生産量は2.964Mt、前年比+6.1%。トルコが最大生産国で、アメリカやイランも大幅増。チリは安定、欧州勢は減少傾向。高価格帯果物として需要は拡大中で、気象リスク対応と輸出志向の強化が今後の鍵となります。
チェリーの生産量ランキング
各国 | 最新値[Mt] | 全体比[%] | 前年比[%] | |
---|---|---|---|---|
世界 | 2.964 | 100 | +6.126 | |
1 | トルコ | 0.737 | 24.86 | +12.31 |
2 | チリ | 0.465 | 15.7 | +0.0749 |
3 | アメリカ | 0.321 | 10.84 | +58.67 |
4 | ウズベキスタン | 0.219 | 7.385 | +0.922 |
5 | イラン | 0.145 | 4.888 | +37.47 |
6 | ギリシャ | 0.114 | 3.832 | +33.51 |
7 | スペイン | 0.104 | 3.525 | -9.994 |
8 | イタリア | 0.0877 | 2.959 | -18.72 |
9 | シリア | 0.0727 | 2.453 | +1.605 |
10 | ポーランド | 0.0688 | 2.321 | -10.18 |
11 | ロシア | 0.0566 | 1.909 | -4.766 |
12 | ウクライナ | 0.0532 | 1.796 | -8.508 |
13 | ブルガリア | 0.0462 | 1.56 | -14.26 |
14 | ルーマニア | 0.0366 | 1.234 | +6.527 |
15 | 中国 | 0.0358 | 1.208 | +0.164 |
16 | ドイツ | 0.0324 | 1.092 | -15.91 |
17 | レバノン | 0.0312 | 1.054 | -0.527 |
18 | フランス | 0.0311 | 1.049 | -11.17 |
19 | カナダ | 0.0224 | 0.754 | +7.369 |
20 | ボスニア・ヘルツェゴビナ | 0.0214 | 0.721 | -15.7 |
21 | アルバニア | 0.0197 | 0.665 | -19.14 |
22 | 日本 | 0.0173 | 0.584 | +7.453 |
23 | モルドバ | 0.0161 | 0.542 | +18.34 |
24 | セルビア | 0.0156 | 0.526 | -32.12 |
25 | オーストラリア | 0.0151 | 0.51 | -14.4 |
26 | モロッコ | 0.0141 | 0.477 | -11.12 |
27 | アルメニア | 0.012 | 0.405 | +1.602 |
28 | ポルトガル | 0.0118 | 0.398 | -52.15 |
29 | アルジェリア | 0.0116 | 0.391 | +3.801 |
30 | アゼルバイジャン | 0.0109 | 0.368 | -5.214 |
31 | インド | 0.0107 | 0.36 | +1.39 |
32 | ドミニカ共和国 | 0.0092 | 0.31 | +22.12 |
33 | ハンガリー | 0.00911 | 0.307 | -21.53 |
34 | オランダ | 0.00822 | 0.277 | +0.244 |
35 | ベルギー | 0.0075 | 0.253 | -9.42 |
36 | アルゼンチン | 0.00749 | 0.253 | +0.53 |
37 | ジョージア | 0.0058 | 0.196 | -18.31 |
38 | ベラルーシ | 0.00475 | 0.16 | +0.68 |
39 | イスラエル | 0.0046 | 0.155 | +15.05 |
40 | キルギスタン | 0.0046 | 0.155 | -0.886 |
41 | オーストリア | 0.00448 | 0.151 | -41.05 |
42 | スイス | 0.00446 | 0.151 | -18.01 |
43 | チュニジア | 0.00443 | 0.15 | -0.935 |
44 | 北マケドニア | 0.00393 | 0.133 | -31.9 |
45 | イギリス | 0.00393 | 0.132 | +2.863 |
46 | ニュージーランド | 0.00359 | 0.121 | -0.827 |
47 | パキスタン | 0.00288 | 0.097 | +0.0303 |
48 | ヨルダン | 0.00245 | 0.0828 | +208.6 |
49 | ガイアナ | 0.0024 | 0.0811 | +3.48 |
50 | モンテネグロ | 0.0021 | 0.0708 | +0.272 |
51 | スリナム | 0.00198 | 0.0669 | +7.188 |
52 | 南アフリカ | 0.0018 | 0.0606 | +4.105 |
53 | チェコ | 0.00149 | 0.0503 | -19.02 |
54 | パレスチナ | 0.00125 | 0.0423 | +3.718 |
55 | ノルウェー | 0.00112 | 0.0377 | -0.711 |
56 | ボリビア | 0.000897 | 0.0303 | -0.239 |
57 | クロアチア | 0.0008 | 0.027 | -55.56 |
58 | デンマーク | 0.00069 | 0.0233 | -5.479 |
59 | スロベニア | 0.00058 | 0.0196 | -65.88 |
60 | カザフスタン | 0.000284 | 0.00959 | -15.7 |
61 | メキシコ | 0.00013 | 0.00438 | -10.17 |
62 | ルクセンブルク | 2.0E-5 | 0.000675 | |
63 | リトアニア | 1.0E-5 | 0.000337 | -50 |
64 | ペルー | 2.93E-6 | 9.89E-5 | +10.98 |
65 | マルタ | 0 | 0 | |
66 | フィンランド | 0 | 0 | |
67 | エストニア | 0 | 0 |


詳細なデータとグラフ
チェリーの現状と今後
2023年の世界のチェリー総生産量は2.964Mt(メガトン)に達し、前年比+6.126%と大きな伸びを見せました。チェリーは果実の中でも高付加価値作物であり、生鮮果実・加工用(缶詰、ジュース、冷凍)・輸出向けの需要が高いことから、各国で生産拡大や品種改良が進んでいます。
しかし、チェリーは非常に気象リスクに左右されやすい果物でもあり、霜害・雹・高温障害・裂果などの被害が発生しやすいため、安定供給には高い技術力と設備が必要です。
主要生産国の動向と地域的特徴
トルコ(0.737Mt、+12.31%)
トルコは長年にわたりチェリー生産世界1を維持しています。アナトリア地方を中心とした適度な寒暖差と肥沃な土壌が、優れた果実品質を支えています。2023年は豊作年で、輸出拡大にも成功。特に中東・ヨーロッパ市場への輸出競争力が強いです。
チリ(0.465Mt、+0.0749%)
南半球の主要な供給国。チリの強みは逆季節による供給時期の優位性で、北半球の冬季に生産・輸出が集中しています。中国・アジア市場への輸出依存が高く、果実の品質や収穫タイミングが収益を左右します。2023年は前年並みで安定傾向。
アメリカ(0.321Mt、+58.67%)
前年比で圧倒的な増加を見せた2023年は、気象条件が好転し、大規模な収穫が可能となった年と推測されます。主にワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州で生産されており、品種多様性や品質管理に強みがあります。高品質チェリーのブランド化が進み、輸出も活発です。
ウズベキスタン(0.219Mt、+0.922%)
中央アジアでの果樹栽培の中心地。自然条件に恵まれており、低コストでの露地栽培が主流。輸送インフラの課題はあるものの、近隣国への輸出が堅調で、今後は加工品の生産も視野に入れた発展が見込まれます。
イラン(0.145Mt、+37.47%)
2023年は大幅増加。主に高地や山岳地帯での栽培が多く、気温差による糖度の高さが特徴。内需も旺盛ですが、輸出志向が高まっており、トルコに次ぐ中東の供給地として注目されています。
ギリシャ(0.114Mt、+33.51%)
2023年は好天に恵まれ大幅増加。EU内では信頼性の高い産地のひとつであり、主にヨーロッパ域内市場向けに流通。品種改良や輸出向け規格整備に取り組んでおり、将来的に成長余地があります。
スペイン(0.104Mt、-9.994%)
乾燥地帯を活かした栽培が行われていますが、2023年は減少。気象リスク(春先の高温・干ばつ)や収益性低下が影響か。都市化による農地減少も懸念されています。
イタリア(0.0877Mt、-18.72%)
大幅減。南部を中心に栽培されていますが、労働力不足と気象不安定が大きな課題です。高品質品種は残っており、加工・高価格市場に絞った生産戦略が今後の鍵となります。
シリア(0.0727Mt、+1.605%)
国内情勢の安定化が進めば、農業再建とともに増加が見込まれます。生食よりも加工・乾燥チェリーの潜在市場があります。
ポーランド(0.0688Mt、-10.18%)
減少傾向が続いています。ポーランドでは主に酸味の強いサワーチェリー(加工用)が主流で、冷凍・ジャム・ジュース用に供給。需要減や人手不足が影響しています。
品種・市場別の動向と技術革新
チェリーは大きく分けて「スイートチェリー(甘果)」と「サワーチェリー(酸果)」があります。
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スイートチェリー(佐藤錦、ビングなど):生食用として世界中で人気。アジア市場向け輸出が活発。
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サワーチェリー(モレロなど):加工用途に向く。欧州ではジャムやジュースに利用。
また、近年では以下のような技術・市場動向が見られます。
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裂果を防ぐ耐雨品種の育種
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選果の自動化、収穫ロボットの開発
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ポストハーベスト技術の向上による輸出拡大
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都市近郊型の高設栽培実験
将来予測と展望(〜2030年)
生産拡大の方向性
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チリやトルコなど輸出志向国は安定的に拡大。
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中央アジア・中東の台頭(ウズベキスタン、イラン)が見込まれる。
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気候変動リスクを軽減できる国・地域が生産をリード。
消費市場の変化
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中国・東南アジアなど新興中間層の贈答・嗜好品需要が拡大。
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高価格帯果物としてのブランド化・差別化が重要。
技術面の進化
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気象制御型ハウス栽培の導入。
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輸送中の品質保持技術(鮮度保持包装、冷蔵輸送)の進化。
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AIによる病害予測・収穫時期最適化が生産効率を底上げ。
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