2023年の世界のイチゴ生産量は10.49Mtで、前年比+2.3%。中国が全体の4割を占め、アメリカやエジプト、メキシコが続く。韓国やブラジルなどの新興国も成長中。高設栽培やスマート農業の普及により、今後は品質と効率性を両立した生産が主流となる見通しです。
イチゴの生産量ランキング
各国 | 最新値[Mt] | 全体比[%] | 前年比[%] | |
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世界 | 10.49 | 100 | +2.323 | |
1 | 中国 | 4.217 | 40.21 | +5.731 |
2 | アメリカ | 1.25 | 11.92 | -3.366 |
3 | エジプト | 0.731 | 6.973 | +6.115 |
4 | トルコ | 0.677 | 6.455 | -7.045 |
5 | メキシコ | 0.642 | 6.118 | +10.97 |
6 | スペイン | 0.329 | 3.14 | +1.043 |
7 | ロシア | 0.261 | 2.491 | +2.499 |
8 | ポーランド | 0.195 | 1.855 | -2.457 |
9 | ブラジル | 0.188 | 1.791 | +4.411 |
10 | 韓国 | 0.178 | 1.695 | +11.89 |
11 | 日本 | 0.158 | 1.511 | -1.634 |
12 | モロッコ | 0.137 | 1.309 | +3.763 |
13 | ドイツ | 0.131 | 1.246 | -1.87 |
14 | イタリア | 0.12 | 1.144 | +19.11 |
15 | コロンビア | 0.115 | 1.096 | +0.83 |
16 | ギリシャ | 0.108 | 1.028 | +8.129 |
17 | イギリス | 0.106 | 1.015 | -10.67 |
18 | オランダ | 0.0791 | 0.754 | -9.198 |
19 | フランス | 0.0771 | 0.735 | -1.835 |
20 | ベラルーシ | 0.0761 | 0.726 | +0.253 |
21 | オーストラリア | 0.0658 | 0.628 | +5.057 |
22 | イラン | 0.0649 | 0.619 | -0.58 |
23 | ウクライナ | 0.0534 | 0.509 | -2.449 |
24 | ベルギー | 0.0515 | 0.491 | +5.777 |
25 | アルゼンチン | 0.0462 | 0.44 | +1.82 |
26 | ペルー | 0.0431 | 0.411 | -6.004 |
27 | チリ | 0.0299 | 0.285 | +5.459 |
28 | セルビア | 0.0237 | 0.226 | -28.05 |
29 | イスラエル | 0.0234 | 0.223 | -25.82 |
30 | ベネズエラ | 0.0229 | 0.218 | -47.17 |
31 | カナダ | 0.0222 | 0.212 | -11.35 |
32 | ルーマニア | 0.0206 | 0.197 | +17.27 |
33 | ポルトガル | 0.0193 | 0.184 | +6.633 |
34 | スウェーデン | 0.0157 | 0.15 | +0.191 |
35 | オーストリア | 0.0146 | 0.14 | -13.53 |
36 | グアテマラ | 0.0143 | 0.136 | +0.16 |
37 | フィンランド | 0.0139 | 0.133 | -13.34 |
38 | 南アフリカ | 0.0133 | 0.127 | +3.192 |
39 | モルドバ | 0.0112 | 0.107 | -8.641 |
40 | チュニジア | 0.0101 | 0.0963 | +0.222 |
41 | ウズベキスタン | 0.01 | 0.0957 | -4.486 |
42 | スイス | 0.00957 | 0.0913 | +14.06 |
43 | カザフスタン | 0.00901 | 0.0859 | +11.15 |
44 | ハンガリー | 0.00772 | 0.0736 | +51.97 |
45 | ノルウェー | 0.00684 | 0.0653 | -2.978 |
46 | アイルランド | 0.00648 | 0.0618 | -10 |
47 | アルバニア | 0.00637 | 0.0608 | +1.272 |
48 | 北マケドニア | 0.00612 | 0.0584 | +1.712 |
49 | パレスチナ | 0.00585 | 0.0558 | -46.69 |
50 | デンマーク | 0.00529 | 0.0505 | -11.24 |
51 | ブルガリア | 0.00521 | 0.0497 | +1.559 |
52 | ボスニア・ヘルツェゴビナ | 0.00491 | 0.0468 | +23.91 |
53 | ヨルダン | 0.0046 | 0.0439 | +12.15 |
54 | パラグアイ | 0.0044 | 0.0419 | -0.56 |
55 | コスタリカ | 0.00438 | 0.0417 | -0.507 |
56 | ボリビア | 0.00329 | 0.0313 | -0.673 |
57 | フィリピン | 0.00311 | 0.0297 | +3.082 |
58 | スロバキア | 0.00269 | 0.0257 | +116.9 |
59 | クロアチア | 0.00238 | 0.0227 | -25.63 |
60 | ニュージーランド | 0.00224 | 0.0214 | -3.753 |
61 | キルギスタン | 0.00213 | 0.0203 | -0.0913 |
62 | リトアニア | 0.00209 | 0.0199 | -13.28 |
63 | パキスタン | 0.00205 | 0.0196 | +19 |
64 | レバノン | 0.00201 | 0.0191 | -4.11 |
65 | チェコ | 0.0019 | 0.0181 | +3.825 |
66 | スロベニア | 0.00164 | 0.0156 | -29 |
67 | エクアドル | 0.00144 | 0.0138 | -0.325 |
68 | エストニア | 0.0014 | 0.0134 | -17.65 |
69 | マルタ | 0.0013 | 0.0124 | +13.04 |
70 | キプロス | 0.00126 | 0.012 | +8.621 |
71 | ジョージア | 0.0012 | 0.0114 | -7.692 |
72 | ラトビア | 0.00079 | 0.00753 | -35.77 |
73 | ケニア | 0.000533 | 0.00508 | +7.7 |
74 | ジンバブエ | 0.000231 | 0.0022 | +0.344 |
75 | バングラデシュ | 0.00021 | 0.002 | +25.75 |
76 | クウェート | 0.000191 | 0.00182 | -27.38 |
77 | マラウイ | 0.000133 | 0.00127 | +0.515 |
78 | ルクセンブルク | 2.0E-5 | 0.000191 | +100 |
79 | イラク | 1.89E-5 | 0.00018 | -24.44 |


詳細なデータとグラフ
イチゴの現状と今後
2023年の世界全体のイチゴの生産量は10.49Mt(メガトン)で、前年から+2.323%の増加を記録しました。果物の中でもイチゴは高収益・高付加価値作物として注目されており、各国で生産拡大が進んでいます。
イチゴは主に温帯〜亜熱帯地域での栽培が適していますが、ハウス栽培や高設栽培、温度管理技術の発達により、今ではさまざまな気候帯で周年供給が可能となっています。生食用だけでなく、冷凍・ジャム・スイーツなどの加工用途も多く、グローバル市場での需要は着実に増加傾向にあります。
主要生産国の動向と特徴
中国(4.217Mt、+5.731%)
世界の生産量の約40%を占める圧倒的首位。生産量は依然として右肩上がりで、2023年も好調。広大な土地と多様な気候条件により、露地栽培から施設栽培まで多様な生産形態が展開されています。大量生産により国内市場の価格安定にも寄与。
アメリカ(1.25Mt、-3.366%)
主にカリフォルニア州が中心地。減少傾向は水資源不足、人手不足、極端気象による影響が考えられます。それでも高品質な品種と厳格な品質管理により、世界的に信頼されるイチゴ供給国であり、輸出・加工向けも堅調です。
エジプト(0.731Mt、+6.115%)
近年、急成長を見せている国。ナイルデルタなどの肥沃な土地と安価な労働力、豊富な日照を背景に生産が増加。特にヨーロッパ向けの冬季輸出拠点としての地位を確立しつつあります。
トルコ(0.677Mt、-7.045%)
2023年は減少傾向。主な要因は天候不順や内需の停滞、輸送コストの上昇とみられます。それでも栽培技術は高く、地域によっては高品質イチゴの栽培に特化しており、今後の再拡大の可能性も十分。
メキシコ(0.642Mt、+10.97%)
急成長国のひとつ。アメリカへの輸出を中心に、冬季の供給源として重要性が増しています。露地栽培と簡易ハウス栽培の併用で生産を拡大中。2023年も2桁増を記録しており、今後も伸びしろは大きいです。
スペイン(0.329Mt、+1.043%)
主に南部のウエルバ地方で栽培されており、EU内の最大供給源のひとつ。小幅ながら増加。収穫時期の調整技術に優れ、早期市場への供給力が高いです。今後は環境負荷軽減型の栽培が課題。
ロシア(0.261Mt、+2.499%)
国内需要の高まりを受け、自給率向上が目標。屋外栽培が主ですが、極端気象に備えた施設栽培の普及も進行中。農業補助政策も追い風となっています。
ポーランド(0.195Mt、-2.457%)
長らくEUの重要なイチゴ生産国でしたが、労働力不足やコスト上昇により減少傾向。加工用需要(冷凍・ジャム)への依存度が高く、収益性の向上が課題です。
ブラジル(0.188Mt、+4.411%)
主に南部の冷涼な地域で栽培。近年はハウス栽培の導入も進んでおり、品質と収量の向上が図られています。国内消費志向が強く、特に都市部での需要が伸びています。
韓国(0.178Mt、+11.89%)
注目の高成長国。イチゴの品種開発や高設栽培の普及により、効率的な生産が可能に。品質重視型で、東南アジア向け輸出(ギフト用)が好調。今後も高価格帯市場での展開が期待されます。
イチゴ栽培をめぐる世界的な技術・経済・環境課題
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栽培コストの高さ:イチゴは果物の中でも労働集約的な作物であり、収穫や選別の工程に人手が必要。これが労働力不足や賃金上昇に大きく影響。
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水資源・病害管理:多湿な環境ではうどんこ病、灰色かび病などの発生リスクが高く、防除管理技術が不可欠。
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市場価格の不安定性:豊作による価格下落や、天候不順による供給不足が起こりやすい品目。
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保存性の弱さ:流通時の傷みやすさが課題で、コールドチェーン整備が重要。
こうした課題に対応するため、各国では高設養液栽培・スマート農業技術の導入が進んでいます。加えて、高糖度・長持ち品種への需要が高まり、バイオ技術による品種改良も活発です。
将来予測(〜2030年頃)
需要面の展望
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健康志向の高まり、スイーツ需要、ギフト需要により全体的な消費量は増加傾向。
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特にアジア・中東市場での需要拡大が顕著。
供給面の予測
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生産の主導国は引き続き中国、アメリカ、エジプト、メキシコ、韓国。
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気候変動対応や自動化技術の導入により、施設型・周年栽培が普及。
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スマート農業の発展により、中小国でも高収量・高品質栽培が可能となり、競争力が増す。
生産戦略の進化
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地域ごとの季節補完型供給網が形成され、年間安定供給の体制が確立。
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1部では都市型農業(植物工場)による小規模高付加価値生産も始まる。
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