2025年の食卓セット支出動向｜世帯人数と就業者数で広がる格差と予測

2025年3月時点で食卓セットの世帯別平均支出は125.6円。4人世帯や就業者1人世帯で支出が高く、少人数や非就業世帯では控えめ。物価高騰とライフスタイルの多様化により、買い替え需要は二極化しつつある。今後は省スペース・多機能志向や中古・サブスク市場が拡大する見通し。家具の在り方が大きく変わる可能性がある。

食卓セットは、家庭の中心としての機能を果たす家具の一つであり、家族構成や生活スタイルに密接に関係してきました。特に最近の物価高やライフスタイルの変化は、世帯別の支出傾向に明確な差異をもたらしています。

支出データの概要 ― 世帯人数と就業状況による違い

2025年3月時点のデータによれば、1世帯あたりの食卓セット支出の平均は125.6円。最も支出が多かったのは「世帯4人」で192円、次いで「就業者1人」178円、「世帯3人」172円と続きます。一方で「就業者0人」や「世帯2人」の支出は54円～57円にとどまっています。

この差には世帯のライフステージやニーズの違いが影響しています。たとえば子育て中や成長期の家族がいる「世帯3～5人」では、椅子やテーブルの買い替えや大型化のニーズが強く、支出額も高くなる傾向があります。

前年同期比の変動 ― 二極化の兆し

前年同期比では「就業者1人」が+54.78%、「世帯4人」が+25.49%と大幅に増加していますが、「世帯3人」は-47.88%、「就業者2人」は-63.94%と急減しています。この動きから、支出が「必要に迫られた世帯」か、「家具更新の余裕がある世帯」に偏りつつあることが読み取れます。

特に就業者2人や3人以上の世帯で支出が落ち込んでいる点は、物価上昇や住宅事情などにより、家具への支出が後回しにされている可能性を示唆します。反対に、就業者が1人しかいない世帯は、個人が住環境を整えるための支出を優先していると考えられます。

世帯別の特徴とニーズ

• 4人世帯・5人世帯：生活の中心として食卓を使う頻度が高く、家具の耐久性やサイズ更新が求められる。買い替え頻度が高い。

• 1人就業者世帯：リモートワークや単身赴任に伴い、自宅での過ごしやすさを重視した買い替えや新規購入が増加傾向。

• 2人世帯・無職世帯：高齢者夫婦や年金生活者が多く、買い替えを控える傾向。家具が既に揃っている場合が多く、消費抑制が顕著。

今後の予測 ― 機能性・省スペース志向へ

今後は以下の2つの傾向が強まると予想されます。

1. コンパクト・多機能家具の需要増少人数世帯や都市部の住宅事情に合わせ、省スペースでも機能性の高い食卓セットの需要が高まります。

2. 中古市場・サブスク利用の拡大物価高による節約志向から、中古家具や家具のサブスクリプションサービス利用が若年層を中心に広がる見込みです。

また、若年層は家具へのこだわりよりも「必要な時にだけ使える」という柔軟性を求める傾向があり、従来型の大型セットは敬遠されるかもしれません。

まとめ

食卓セットの支出動向は、世帯の人数や働き方の変化と密接に結びついています。今後は多様な生活形態に合わせた柔軟な選択肢が求められるでしょう。家具メーカーにとっては、単に「売る」から「使わせる」への発想転換が鍵となりそうです。