家計調査の結果から見る上下水道料金の推移では、都市によって大きな格差が存在し、特に堺市や長野市などでは高額傾向が見られた。一方、徳島市や高知市などでは大幅な減少が観測された。世代間の意識差やインフラ老朽化、水資源の安定性も今後の料金に影響を与える要素である。料金は今後も緩やかに上昇する傾向が予想され、特に都市部では更新費用や維持管理費が家計に重くのしかかる可能性がある。
上下水道料の家計調査結果
上下水道料の多い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 全国 | 堺市 | 長野市 | 大津市 | 松江市 | 山形市 | 新潟市 | 奈良市 | 静岡市 | 千葉市 | 岐阜市 |
最新値[円] | 5300 | 7725 | 7618 | 7501 | 7497 | 7489 | 7363 | 6779 | 6728 | 6665 | 6418 |
前年月同比[%] | +10.88 | +10.31 | -1.931 | +39.17 | +6.431 | +0.686 | +19.28 | -1.195 | -5.598 | +22.68 | -14.79 |
上下水道料の少ない都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 全国 | 徳島市 | 高知市 | 和歌山市 | 金沢市 | 札幌市 | 宇都宮市 | 浜松市 | 大阪市 | 名古屋市 | 鳥取市 |
最新値[円] | 5300 | 3235 | 3238 | 3738 | 3887 | 4013 | 4057 | 4059 | 4067 | 4336 | 4341 |
前年月同比[%] | +10.88 | -14.08 | -31.21 | -19.6 | -25.93 | +0.753 | -17.84 | +21.93 | -1.406 | +13.03 | +18.06 |
これまでの上下水道料の推移


詳細なデータとグラフ
上下水道料の現状と今後
上下水道料金は、家庭で使用した水の供給(上水)と排出した生活排水の処理(下水)にかかるコストをカバーするための公共料金である。料金は地域のインフラ整備状況、水源の種類、人口密度、財政支援の有無など多くの要因で異なる。家計調査では、「水道代」「下水道使用料」を合算した金額として集計されており、電気・ガスと並んで継続的な支出項目の一つとされている。
2008年以降の全国的な動向
2008年から2025年にかけて、全国平均の上下水道料は概ね上昇傾向を示している。これはインフラの老朽化による維持管理コストの増加や、人口減少による利用者数の減少が主な要因である。特に地方自治体では、利用者が減ることで一人当たりの負担が増加し、料金引き上げを余儀なくされるケースが多い。
一方で、効率化や公営企業の改革により料金を抑制、あるいは一時的に引き下げた地域もあり、都市による差が拡大する結果となっている。
都市間の料金格差の特徴
2025年3月時点でのデータでは、堺市(7725円)や長野市(7618円)などが全国平均(5300円)を大きく上回る一方で、徳島市(3235円)や高知市(3238円)は大きく下回っている。
料金が高い都市の特徴には以下がある:
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水源確保が困難で、遠方から取水している
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山間部が多く、配管コストが高い
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人口密度が低く、維持費の割り勘効率が悪い
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近年大規模な更新投資を実施した
一方、料金が低い都市の特徴には:
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水資源が豊富かつ近距離で安定供給できる
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自治体の財政支援が手厚い
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利用者が多くコストが分散される都市型インフラ
世代間による支払い感覚の違い
上下水道料金については、特に高齢世帯と子育て世帯で支出に対する感覚に差が見られる。高齢者世帯は固定的な収入であるため、毎月の支出に敏感で、料金値上げに対する抵抗が強い。一方、子育て世帯では水道使用量自体が多いため、金額そのものが高くなりやすいが、日常生活での必要支出として受け入れやすい傾向もある。
また、若年層単身者では、上下水道料を「家賃に含まれている」ケースも多く、直接の負担感を把握していない人も少なくない。
料金改定とインフラ問題
現在の上下水道料金には、1960~80年代に整備されたインフラの「更新投資費用」が含まれ始めている。特に老朽管の取替や耐震化対応が急務とされており、多くの自治体が水道企業会計の赤字に直面している。
この結果、自治体は料金改定(=値上げ)を検討する一方で、官民連携や広域化による効率化策を模索しているが、住民の理解を得るのは容易ではない。今後も段階的な値上げが続くと見込まれる。
将来の料金推移予測と政策的課題
将来的に、上下水道料金は全国的に緩やかな上昇トレンドが続くと予測される。理由としては次のような要素が挙げられる:
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少子高齢化による利用者減とコスト負担増
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気候変動による水資源の確保コスト増
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労働力不足による人件費の上昇
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災害対策や更新投資への積極的支出
都市によっては、値上げのインパクトが特に大きく、住民の反発も予想されるため、国や地方自治体は財政支援や料金補助、定額料金制度の導入など多角的な対応が求められる。
家計へのアドバイスとまとめ
家計支出に占める上下水道料金は大きくはないものの、定期的な支出であり、値上げが続けば累積的に負担感が増す。特に使用量の多い家庭では「節水器具の導入」や「使用時間の分散」などによる水使用の見直しが重要になる。
また、自治体ごとに料金体系や支援制度が異なるため、引っ越しや住宅購入時には上下水道料金も重要な比較要素の一つとなるべきである。
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