2025年4月時点で日本のレタス1kgの平均小売価格は446.1円と、前年同月比で約26%の大幅減少を示しています。地域別では和歌山が1088円と突出し前年比+50.69%の高騰、一方宮崎や熊本などは価格が大幅に下落。異常気象や需給バランスの乱れ、輸送コストの影響で地域格差が拡大。今後は天候リスク軽減や物流効率化、安定供給体制の構築が課題であり、価格の安定化が期待されています。
小売物価統計
レタス小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 和歌山 | 札幌 | 函館 | 旭川 | 盛岡 | 富山 | 秋田 | 東大阪 | 府中 | 伊丹 |
最新値[円] | 446.1 | 1088 | 621 | 614 | 613 | 611 | 597 | 570 | 558 | 556 | 532 |
前年同月比[%] | -26.18 | +50.69 | -5.623 | +0.163 | +0.657 | -18.97 | -12.21 | -7.618 | -8.224 | +0.361 | -9.983 |
レタス小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 宮崎 | 熊本 | 長崎 | 佐賀 | 熊谷 | 大分 | 浦安 | 柏 | 宇都宮 | 千葉 |
最新値[円] | 446.1 | 261 | 296 | 297 | 298 | 314 | 317 | 322 | 328 | 331 | 333 |
前年同月比[%] | -26.18 | -62.82 | -59.62 | -54.52 | -56.87 | -39.85 | -56.69 | -35.86 | -35.85 | -34.71 |
レタスの推移


詳細なデータとグラフ
レタスの現状と今後
2025年4月の日本全国のレタス1kg平均小売価格は446.1円であり、前年同月比で約-26.18%と大幅に価格が下落しています。地域別に見ると、和歌山が1088円で全国で最も高く、前年同月比で+50.69%と大きく値上がりしているのが特徴的です。
これに対して、宮崎(261円)、熊本(296円)、長崎(297円)、佐賀(298円)など9州地方を中心に、前年同月比で-50%以上の大幅な値下がりが目立ちます。北海道の札幌(621円)、函館(614円)、旭川(613円)などは500円台を維持し、東大阪や府中、伊丹など関西・関東の1部も500円前後となっています。
過去15年の価格推移と影響要因
2010年から2025年の間、レタス価格は季節波動と異常気象の影響を大きく受けてきました。特に冷夏や台風の多発は作柄不良を引き起こし、需給のひっ迫から価格高騰に直結しました。
しかし、近年は輸送技術の進化や流通網の効率化によって価格の安定化傾向も見られました。2024年から2025年にかけては、燃料費や農資材の価格上昇、さらには地域ごとの天候不順が複合的に作用し、地域間で価格差が拡大しています。
地域格差の原因と特徴
和歌山の高騰背景
和歌山のレタス価格が高騰した最大の理由は、同地域の収穫量減少に伴う供給不足が挙げられます。天候不順や病害虫の発生により生産量が落ち込み、また和歌山産の品質の良さから需要が堅調に推移しています。加えて輸送費増加や流通経路の変更も影響しています。
9州圏の価格急落
宮崎、熊本、長崎などの地域では、逆に豊作による供給過多や消費減退が起き、価格が大幅に下落しました。特に複数年にわたり大規模栽培が続いたことによる市場飽和感や、消費者の価格志向の変化が原因です。
北海道・関東・関西の安定傾向
札幌や旭川、東大阪、府中といった地域では、適度な需給バランスが保たれているため、価格はおおむね安定もしくは微減に留まっています。これらの地域は地産地消の動きやスーパーの価格競争が活発で、消費者にとって手頃な価格を維持する努力がされています。
価格変動の背景にある社会・経済的問題
レタス価格の乱高下は単なる農業問題に留まらず、以下のような広範な課題を含んでいます。
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農業従事者の高齢化と人手不足:生産効率の低下と収穫量の不安定化
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輸送コストの増大:特に燃料価格の上昇が物流経費を押し上げ、消費地価格に反映
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消費者の購買力低下:物価上昇の中で節約志向が強まり、低価格品志向が強化
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気候変動の影響:気象災害による作柄不良が増加
これらが複合的に絡み合い、レタス価格の不安定化を招いています。
今後のレタス価格の見通しと期待される対策
価格の安定化には以下が必要です:
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スマート農業の推進:IoTやAIを活用し、効率的な生産管理で収穫量を安定化
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物流インフラの改善:燃料代高騰に強い輸送網構築、地域間の流通効率向上
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消費者ニーズの多様化対応:付加価値商品や健康志向野菜の開発・販売
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気候変動対策の強化:耐病性品種の開発や栽培時期の調整
市場動向の予測
今後も気象変動やエネルギー価格の動向によっては価格変動が続く見込みですが、これらの対策が浸透することで、徐々に価格の安定化が期待されます。また、地域別の差異は今後も存在するものの、流通の効率化や技術革新によりその幅は縮まる可能性が高いです。
消費者への影響と対応策
レタス価格の大幅変動は、家計の食費に影響を与えます。特に低所得層や子育て家庭にとっては野菜の価格変動は生活の質に直結するため、低価格で栄養価の高い野菜の確保は重要課題です。
また、スーパーや小売業者も価格変動リスクを踏まえた仕入れ戦略の構築や、加工野菜・冷凍野菜などの多様な商品展開で消費者の選択肢を増やすことが求められます。
まとめ:日本のレタス価格は地域間で大きな格差があり、特に和歌山の高騰と9州の大幅値下がりが目立ちます。天候不順や物流コストの影響を受ける価格変動は今後も続く可能性が高いですが、技術革新やインフラ整備で安定供給体制を整え、消費者の負担軽減と生産者の持続可能性を両立させることが重要です。
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