2025年4月時点でランジェリーの全国平均価格は1,975円に下落。2012年以降、大幅な価格下落が進行し、最大で前年比-80%を記録した地域も。量販志向と実用性重視の購買行動が影響し、中価格帯商品が市場から消えつつある。今後は機能性・環境対応などによる再構築が鍵となる。
衣類・美容の都市別小売価格
ランジェリー価格の高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 富山 | 静岡 | 山形 | 宮崎 | 岐阜 | 千葉 | 札幌 | 那覇 | 盛岡 | 大分 |
最新値[円] | 1975 | 2223 | 2219 | 2215 | 2215 | 2182 | 2181 | 2178 | 2153 | 2149 | 2149 |
平均比[%] | 100 | 112.6 | 112.4 | 112.2 | 112.2 | 110.5 | 110.4 | 110.3 | 109 | 108.8 | 108.8 |
前年月同比[%] | -67.74 | -58.47 | -61.46 | -69.95 | -64.04 | -74.07 | -60.55 | -59.59 | -72.43 | -64.9 | -64.9 |
ランジェリー価格の低い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 津 | 長野 | 松江 | 宇都宮 | 水戸 | 広島 | 横浜 | 大阪 | 奈良 | 福井 |
最新値[円] | 1975 | 1298 | 1386 | 1448 | 1709 | 1745 | 1794 | 1819 | 1846 | 1852 | 1852 |
平均比[%] | 100 | 65.73 | 70.18 | 73.32 | 86.54 | 88.36 | 90.84 | 92.11 | 93.48 | 93.78 | 93.78 |
前年月同比[%] | -67.74 | -84.47 | -78.2 | -70.75 | -75.47 | -71.67 | -66.55 | -68.4 | -73.06 | -62.59 | -65.17 |
これまでの女性用下着の推移


詳細なデータとグラフ
ランジェリーの現状と今後
2025年4月時点におけるランジェリーの全国平均価格は1,975円。2012年初頭にはおおむね3,500円前後で推移していたことを踏まえると、この13年で約40〜50%の価格下落が進んだことになります。
背景にある大きな変化:
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ディスカウント志向の拡大
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インナーウェア市場の価格競争激化
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セット販売・PB(プライベートブランド)化の進展
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1部の高価格品の「ブラジャー集中化」と対照的な傾向
高価格地域の傾向と背景
以下は、2025年4月時点でのランジェリーが比較的高価格で販売されている都市です。
都市 | 価格(円) | 前年同期比 |
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富山 | 2,223円 | -58.47% |
静岡 | 2,219円 | -61.46% |
山形 | 2,215円 | -69.95% |
宮崎 | 2,215円 | -64.04% |
岐阜 | 2,182円 | -74.07% |
千葉 | 2,181円 | -60.55% |
札幌 | 2,178円 | -59.59% |
那覇 | 2,153円 | -72.43% |
盛岡 | 2,149円 | -64.90% |
大分 | 2,149円 | -64.90% |
特徴と背景:
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地方都市の中堅価格帯従来は3,000円台後半だった可能性が高く、現在も2,000円超の水準を維持しているが、前年と比べると50%以上の大幅下落が発生しています。
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量販と専門店の併存地域によっては百貨店やランジェリー専門店が1定の存在感を持つものの、価格主導型のPB製品の流通が拡大しており、平均価格を押し下げている。
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大幅な前年比マイナスの背景価格データの性質から見ると、高価格商品の販売比率が1気に減少し、より安価な商品への購買が1斉に進んだ兆候。
低価格地域の動向と要因
都市 | 価格(円) | 前年同期比 |
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津 | 1,298円 | -84.47% |
長野 | 1,386円 | -78.20% |
松江 | 1,448円 | -70.75% |
宇都宮 | 1,709円 | -75.47% |
水戸 | 1,745円 | -71.67% |
広島 | 1,794円 | -66.55% |
横浜 | 1,819円 | -68.40% |
大阪 | 1,846円 | -73.06% |
奈良 | 1,852円 | -62.59% |
福井 | 1,852円 | -65.17% |
主な特徴:
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中核都市における急落政令指定都市(横浜・大阪・広島など)でも大幅下落が起きており、中価格帯商品の消失を示唆しています。
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ディスカウント志向の強さ「3枚1,000円」「週末特価」など、安価なまとめ売りスタイルが浸透。全国チェーンの量販店(GU、しまむら、ドン・キホーテなど)が価格圧力を強めています。
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地方店舗での構成変化従来型の百貨店撤退・専門店の縮小で、取り扱い品目が価格特化型へ偏重していることが影響。
価格下落の主な要因
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購買チャネルの変化
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実店舗からECへの移行に伴い、価格比較が容易化し、低価格志向が顕在化
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1方で、ブラジャーなどの高単価品はECでも1定の単価を維持
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ファッションインナーとしての地位低下
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ブラトップやノンワイヤーインナーの流行により、伝統的なランジェリーの用途が限定的に
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「セクシーさ」より「実用性・楽さ」が重視され、平均単価が下方修正
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大手量販店の戦略転換
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低価格戦略をさらに加速させる形で、1枚1,000円以下の製品も登場
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結果として、全体の価格水準を押し下げる影響に
今後の市場動向と課題
価格動向の見通し:
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底値圏での推移が続く可能性が高い1,500円前後が当面の底値ゾーンとなり、2,000円以上は1部高機能モデルやブランド限定
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サステナビリティやラグジュアリー回帰が起きるかが鍵単価を回復させるには、環境配慮素材・プレミアムラインの強化が必須
市場の課題:
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価格の「2極化」が進行極端に安価な実用品と、プレミアム志向のラグジュアリー品との間に、中価格帯が消失しつつある
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地域間格差よりも「業態格差」が大きい都市別ではなく、「どこで買うか(EC、専門店、量販)」が価格を左右する時代へ
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