ミニトマトの収穫量と都道府県別の最新動向と今後の予測

果菜類

2023年のミニトマトの全国収穫量は155.4千tで前年比-1.208%とやや減少。最大産地の熊本県は+5.811%と好調を維持し、出荷量でも全国の約29%を占める。一方で北海道や愛知、千葉など多くの県では天候不順や高温障害、経営の高齢化により減少傾向。需要の高い高糖度ミニトマトの生産拡大や、スマート農業導入が今後の成長の鍵となる。地域ごとの強みを活かしたリレー出荷やブランド戦略も重要視されている。

ミニトマトの収穫量ランキング

2023年
降順昇順
都道府県最新値[kt]全国比[%]前年比[%]
全国155.4100-1.208
1熊本43.728.12+5.811
2北海道14.19.073-4.73
3愛知13.88.88-13.21
4宮崎9.145.882-0.544
5茨城8.165.251-2.973
6福島6.624.26-1.634
7静岡5.483.526-3.521
8千葉4.472.876-8.961
9長崎4.332.786-0.915
10長野3.32.124-7.821
11広島3.222.072-8.262
12青森2.991.924-3.859
13埼玉2.711.744+1.88
14山形2.461.583-23.36
15山梨2.331.499+269.8
16三重1.911.229+2.688
17和歌山1.871.203-11.37
18岡山1.851.19+6.322
19岩手1.821.171-1.622
20群馬1.681.081-1.754
21鹿児島1.641.055-6.818
22香川1.641.055-4.094
23大分1.540.991-6.098
24新潟1.480.952+10.45
25徳島1.240.798-3.125
26宮城1.10.708-11.29
27兵庫1.030.663+20.61
28鳥取0.8720.561-5.832
29高知0.770.495-3.75
30岐阜0.7640.492-12.28
31滋賀0.730.47+6.725
32愛媛0.7070.455-7.096
33佐賀0.7070.455-9.475
34栃木0.6320.407-13.78
35秋田0.6050.389-18.79
36島根0.5640.363-0.704
37沖縄0.5250.338-8.377
38福岡0.470.302-1.879
39富山0.4160.268-6.726
40福井0.4130.266-15.71
41山口0.3780.243+5.882
42京都0.2230.144-18.91
43石川0.1750.113-26.16
44奈良0.170.109-2.857
45神奈川0.1180.0759+25.53
ミニトマト収穫量
ミニトマト収穫量

ミニトマトの出荷量ランキング

2023年
降順昇順
都道府県最新値[万t]全国比[%]前年比[%]
全国14.57100-0.749
1熊本4.2228.96+5.764
2愛知1.349.197-12.99
3北海道1.329.06-2.941
4宮崎0.8485.82-0.586
5茨城0.7455.113-2.868
6福島0.6074.166-1.78
7静岡0.5223.583-2.793
8千葉0.4222.896-9.052
9長崎0.3982.732-1.241
10広島0.3022.073-8.485
11長野0.2982.045-7.74
12青森0.2751.887-3.846
13埼玉0.2481.702+1.639
14山梨0.2311.585+282.5
15山形0.2121.455-23.47
16三重0.1851.27+2.778
17和歌山0.1791.229-9.596
18岡山0.1691.16+6.289
19岩手0.1531.05-1.923
20香川0.1521.043-4.403
21群馬0.1481.016-1.987
22鹿児島0.1471.009-5.769
23大分0.1380.947-7.383
24新潟0.1350.927+15.38
25徳島0.1090.748-3.54
26兵庫0.09760.67+21.54
27宮城0.0970.666-10.19
28鳥取0.07480.513-5.793
29高知0.07280.5-3.831
30岐阜0.06750.463-11.76
31滋賀0.06470.444+6.942
32佐賀0.06450.443-9.41
33栃木0.05950.408-12.37
34愛媛0.0590.405-7.524
35島根0.05230.359
36沖縄0.04880.335-2.982
37秋田0.04450.305-18.94
38福岡0.0410.281-2.844
39福井0.03860.265-14.22
40富山0.03590.246-7.949
41山口0.02720.187+6.667
42京都0.0180.124-18.92
43奈良0.01540.106-3.145
44石川0.01330.0913-30.37
45神奈川0.01130.0776+22.83
ミニトマト出荷量

詳細なデータとグラフ

ミニトマトの現状と今後

ミニトマトは、近年急速に消費が拡大した野菜の1つであり、手軽な食べ方・弁当需要・高糖度志向などが背景にあります。トマトよりも単価が高く、付加価値がつけやすいため、小規模~中規模農家でも採算が取りやすい作物です。施設栽培との親和性も高く、高品質・高収益の作物として注目されています。


全国収穫量の推移と2023年の現状

  • 収穫量:155.4千t(前年比-1.208%)

  • 出荷量:145.7千t(前年比-0.749%)

全国的にはやや減少傾向がみられますが、これは気候変動の影響、高温障害、労働力不足、施設の老朽化などが複合的に影響していると考えられます。収穫量減に対して出荷量の減少幅が小さい点からも、需給バランスが引き締まり、流通量が維持されていることがうかがえます。


熊本県—全国トップのミニトマト王国

  • 収穫量:43.7千t(前年比+5.811%)

  • 出荷量:42.2千t(前年比+5.764%)

熊本県はミニトマト生産においても日本最大の供給地です。冬春型の大規模施設栽培が中心であり、自動環境制御・養液栽培・スマート農業の先進技術が導入されています。特に近年は高糖度品種「アイコ」などの栽培が盛んで、価格面でも優位に立っています。

今後も、施設の大規模更新や企業農業の拡大、担い手の確保によって、さらなる増加が見込まれます


北海道—冷涼な夏の短期露地供給型

  • 収穫量:14.1千t(前年比-4.73%)

  • 出荷量:13.2千t(前年比-2.941%)

北海道は露地ミニトマトの夏季供給地として重要です。冷涼な気候により、果皮が硬めで糖度の高い品種が育ちやすい特性があります。しかし、2023年は夏の不安定な天候や干ばつ傾向が影響し、収穫量は減少しました。

今後は簡易ハウスの導入や被覆資材の活用による安定生産がカギとなります。


愛知県—高品質ブランド産地としての成熟と課題

  • 収穫量:13.8千t(前年比-13.21%)

  • 出荷量:13.4千t(前年比-12.99%)

愛知県は施設園芸の先進地域で、長年にわたり安定した生産を誇ってきました。ミニトマトに関しても、高糖度で形の整ったブランド品種を多く栽培しています。しかし2023年は夏の高温障害や病害の拡大、施設老朽化などで大幅な減少に。

持続的な生産を維持するためには、施設の再整備・担い手育成・収穫自動化技術の導入が求められます。


中位グループの主要県の動向

  • 宮崎県(9.14千t、-0.544%)/出荷量8.48千t(-0.586%)冬春期の施設栽培が中心。比較的安定した気候の下で、生産量も横ばい傾向。今後はブランド強化と加工需要の取り込みが焦点。

  • 茨城県(8.16千t、-2.973%)/出荷量7.45千t(-2.868%)関東圏供給に強み。露地と簡易施設の併用で、夏秋期中心の出荷。高温障害が年々深刻化しており、今後は耐暑性品種の導入が急務

  • 福島県(6.62千t、-1.634%)/出荷量6.07千t(-1.78%)東北南部の標高を活かした夏秋トマトが主体。放射能リスク克服後、地域ブランド確立に向けた取り組みが続く

  • 静岡県(5.48千t、-3.521%)/出荷量5.22千t(-2.793%)温暖な気候を活かし、周年栽培を展開。しかし水資源や電気代の高騰、気温上昇により収穫減。エネルギー効率化の投資が課題

  • 千葉県(4.47千t、-8.961%)/出荷量4.22千t(-9.052%)都市近郊型農業が中心で、直販・契約出荷など多様な販路を持つが、農地転用や担い手不足が重なり減少。

  • 長崎県(4.33千t、-0.915%)/出荷量3.98千t(-1.241%)温暖な気候を活かした早出し栽培に強みがあり、京阪神エリアへの出荷が多い。気候リスク対策と施設の自動化が課題。

  • 長野県(3.3千t、-7.821%)冷涼な高原地帯での夏期供給に特化した産地。年々、気温上昇の影響を受けやすくなっており、2023年も高温障害が原因で収穫減。


今後の展望と課題解決の方向性

高温・気象変動への対応

ミニトマトは高温に弱く、果皮割れや着果不良が起きやすい作物です。今後は以下の技術的対策が必要です:

  • 耐暑性・耐病性品種の開発

  • 光・温度制御型ハウスの導入

  • 遮光・自動潅水などの環境制御システム

担い手と施設の世代交代

既存施設の老朽化、農家の高齢化が急速に進行しています。補助金を活用した施設の再投資と、法人化・雇用型農業への転換が推奨されます。

高付加価値ミニトマト市場への対応

  • 糖度の高い「フルーツトマト系」

  • 色・形状がユニークな品種(黄色・緑・しずく型など)

  • 機能性訴求(リコピン・ビタミン強化)など、差別化によるブランド化と販売戦略の強化が生産者の収益安定に寄与します。

リレー出荷と地域間分業の強化

全国でリレー出荷を構築することで、周年供給と価格の安定化が可能です。

時期 地域例
冬春 熊本、宮崎、愛知
北海道、長野
福島、茨城

おわりに

ミニトマトは今後も高い市場需要が見込まれる作物ですが、気候変動・高温障害・担い手不足といった構造的課題への対応が求められています。2023年の生産データでは熊本県が圧倒的な優位を維持する1方、多くの県で減少傾向が見られます。今後の安定供給のためには、技術革新と地域ごとの特性を活かした戦略的な生産体制の構築が不可欠です。

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