日本のベッド価格は地域によって大きく異なり、宇都宮や新潟では平均を大きく上回る一方、那覇や青森では半分程度にとどまる。価格差の背景には、地域ごとの所得水準や住宅事情、流通コストの違いがある。また、今後は高齢化や生活スタイルの多様化、原材料費の変動が価格に影響を与える可能性があり、持続的な需要や新しい消費行動が注目される。
小売物価統計
ベッド小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 宇都宮 | 新潟 | 静岡 | 佐賀 | 鳥取 | さいたま | 盛岡 | 熊本 | 松江 | 広島 |
最新値[万円] | 6.367 | 9.18 | 8.489 | 8.389 | 8.189 | 8.088 | 7.985 | 7.973 | 7.96 | 7.729 | 7.729 |
前年同月比[%] | +1.074 | -1.184 | +23.05 | +12.02 | +17.08 | +13.7 | +10.37 | -8.23 | +10.4 | +14.86 | +19.27 |
ベッド小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 那覇 | 高松 | 徳島 | 青森 | 水戸 | 津 | 山口 | 京都 | 山形 | 奈良 |
最新値[万円] | 6.367 | 3.48 | 3.927 | 4.372 | 4.398 | 4.489 | 4.501 | 4.979 | 4.998 | 5.149 | 5.185 |
前年同月比[%] | +1.074 | -5.985 | -5.317 | -7.372 | +28.66 | +1.981 | -28.19 |
ベッドの推移


詳細なデータとグラフ
ベッドの家具現状と今後
2025年4月現在、日本全国におけるベッド1台の平均小売価格は63,670円(6.367万円)。しかしながら、地域ごとの価格には大きなばらつきが見られ、最も高い宇都宮(9.18万円)と最も安い那覇(3.48万円)では約5.7万円の差が存在します。上位には宇都宮、新潟、静岡、佐賀などの地方都市が並び、下位には那覇、高松、徳島、青森などの地方都市も並んでおり、地域の規模ではなく流通構造や需要層の違いが反映されていると考えられます。
価格上昇・下落の要因とその背景
上昇傾向の地域
新潟(+23.05%)、静岡(+12.02%)、佐賀(+17.08%)、鳥取(+13.7%)、広島(+19.27%)などでは前年より大幅な価格上昇が見られました。これらの地域では以下の要因が影響していると推測されます:
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輸送コストの上昇:地方都市では物流拠点が遠く、燃料費や人件費の影響を受けやすい。
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高機能・高価格帯商品の普及:近年はマットレスの品質やデザインにこだわる層が増加しており、売れ筋が中高価格帯にシフト。
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インテリアへの意識の高まり:地方でも住環境改善の動きが強まり、家具に投資する家庭が増えている。
下落傾向の地域
盛岡(-8.23%)、青森(-7.372%)、徳島(-5.317%)、高松(-5.985%)、奈良(-28.19%)などでは価格が下落傾向にあります。主な要因としては:
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需要の低下や価格競争の激化:小売業者間での競争が激化し、値引き販売が主流になっている地域。
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格安家具チェーンの進出:地方であってもネット通販や低価格店舗が市場を席巻しており、平均価格が押し下げられている。
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所得水準との関係:消費者の可処分所得が伸び悩んでいる地域では、価格重視の消費行動が顕著。
日本全体のベッド価格動向と構造的課題
原材料費の上昇
2020年以降、ウッドショックや金属部品の価格上昇が家具価格全体を押し上げる要因となりました。特に輸入材やバネ、ウレタンなどの価格高騰がベッド価格に反映されています。
ネット通販との競争
Amazonや楽天、ニトリ、IKEAなどのオンライン家具販売が普及し、都市部と地方部の価格格差を縮小させる1方で、物流費の格差が残る地方では依然として高値が続く状況も見られます。
高齢化と単身世帯の増加
高齢者や単身世帯の増加により、コンパクトで機能的なベッドへの需要が高まっています。このような市場の変化が、高価格帯の大型ベッドから、中価格帯や機能重視型へのシフトを引き起こしています。
今後の価格推移の期待と展望
持続的な価格の「2極化」
今後は、「デザイン性・快適性を重視する高価格帯」と「価格を重視した低価格帯」に分かれる2極化の傾向が1層顕著になると予想されます。従来のような「中価格帯の大量生産モデル」は縮小していく可能性が高いです。
国内生産回帰による安定化の可能性
円安が続く中、輸入品の価格上昇が進むことで、1部家具メーカーが国内生産に回帰する動きが出始めています。これにより品質管理や納期の安定性が向上し、価格の乱高下が緩和される可能性もあります。
環境配慮型商品の普及
SDGsや環境意識の高まりに伴い、リサイクル素材を使ったベッドや、省エネ素材の活用などが注目されつつあります。こうした新商品はやや高価格帯となる傾向があるものの、消費者の価値観変化によって受け入れられ始めています。
政策的・流通的視点での提言
今後、地域間の価格格差を縮め、消費者の選択肢を広げるためには以下の対策が必要です:
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地方物流網の効率化:流通コストの見直しと再構築。
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価格比較・透明性の向上:店舗間での価格表示の統1や、レビューによる品質基準の共有。
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国産家具メーカーの支援:中小家具業者への技術革新支援により、安定した価格と供給体制の確立。
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