アフリカが主導するプランテン生産の現状と今後の展望【2023年版】

果物(南国)
生産量

2023年の世界のプランテン生産量は44.4Mtで、アフリカ諸国が中心となり、ウガンダが世界の25%を占める最大の生産国です。気候やインフラ課題はあるものの、ナイジェリアやコロンビアなど一部の国では生産性が改善中。今後は品種改良や市場整備により、生産と流通の効率化が進むと期待されます。

生産量のデータとグラフ

プランテン生産量の最大と最新

世界 ウガンダ コンゴ民主共和国 カメルーン ガーナ ナイジェリア フィリピン コロンビア
最新 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2019年 2023年 2023年
最大期 2022年 2020年 2015年 2015年 2018年 2019年 2015年 2015年
最新値[Mt] 44.4 11.09 4.898 4.608 4.44 3.278 3.148 2.589
最大値[Mt] 44.73 11.76 4.969 4.667 4.688 3.278 3.244 3.652
前年比[%] -0.7381 -1.244 0.2126 -0.3531 0.6677 2.021 1.106 4.464
全体比[%] 100 24.98 11.03 10.38 10 7.384 7.09 5.832

これまでの推移

プランテンの生産量
最新の割合

詳細なデータとグラフ

プランテン生産量についての推移と展望

プランテンは、食用バナナの一種で、通常のバナナと異なり「加熱して食べる」ことが一般的な果物です。主にアフリカ、中南米、東南アジアの熱帯地域で栽培され、現地では主食または主菜として消費されることが多い重要な農産物です。とくに発展途上国においては、食料安全保障や農業経済における基幹作物の一つとしての地位を占めています。


世界の生産量の推移と現状

1961年から2023年にかけて、世界のプランテン生産量は安定的に増加傾向を示してきました。食糧需要の増大、人口増加、地域内消費の高まりがその背景にあります。

2023年の世界生産量は44.4Mt(メガトン)で、前年から-0.7381%の微減を記録しました。これは一部地域における気候変動の影響や病害虫被害、生産資材の高騰といった外的要因が影響していると考えられます。


ウガンダ ― 世界最大のプランテン生産国

ウガンダは2023年に11.09Mtの生産を誇り、世界シェアで24.98%を占める最大の生産国です。伝統的に「マトケ」と呼ばれる料理で使われるプランテンは、国民の主食であり、農村経済にとって不可欠な作物です。

ただし、前年比では-1.244%とわずかに減少しています。これは、持続的な農地利用の限界や、農業インフラの遅れによる生産性の伸び悩みが一因と見られます。


中部アフリカの成長圏 ― コンゴ民主共和国とカメルーン

コンゴ民主共和国(DRC)4.898Mt(11.03%)を生産し、前年比0.2126%の微増。小規模農家による自給的農業が中心ですが、国内消費量が非常に高く、市場向け流通網の整備が課題です。

カメルーンは4.608Mt(10.38%)の生産で、前年比は-0.3531%と微減。栽培地域は南部や中部が中心で、近年は都市部の消費増加による市場化が進んでいます。

両国ともに自然条件に恵まれているものの、インフラ整備や病害虫への対策が将来の成長の鍵となります。


西アフリカの安定圏 ― ガーナとナイジェリア

ガーナは4.44Mt(10%)を生産し、前年比で0.6677%増と堅調に推移。農業支援政策や国内流通の効率化が寄与しています。政府はプランテンの加工品(チップスや粉末)の輸出促進も模索中です。

ナイジェリアも3.278Mt(7.384%)と存在感があり、前年比で2.021%と比較的高い成長を記録しています。多様な気候帯により、年間を通じて生産が可能な点が強みです。


アジアと中南米の生産 ― フィリピンとコロンビア

フィリピンは3.148Mt(7.09%)で、前年比1.106%の増加。バナナ輸出国として有名な同国では、プランテンも一部で国内消費用・加工食品用として重要です。台風の影響や輸出の競合とのバランスが課題となります。

コロンビアは2.589Mt(5.832%)を生産し、前年比4.464%と最も大きな伸びを示しています。南米におけるプランテンの中核国であり、加工・輸出の両面で成長の余地があります。輸出向けの高品質プランテン生産が拡大しており、将来はアジア市場進出の可能性もあります。


直面する課題と将来の展望

プランテン生産の今後には以下のような構造的課題と機会が存在します:

  • 気候変動:干ばつや洪水、病害虫の拡大により生産の安定性が脅かされる。

  • インフラ不足:収穫後処理・貯蔵・輸送インフラの未整備が収益化の障害に。

  • 栽培技術の未普及:伝統農法に頼る地域では生産性が低迷。

  • 市場の未整備:国内流通網の弱さと価格変動による農家の所得不安定。

一方で、以下のような改善要素もあります:

  • 品種改良病害抵抗性の強化

  • 政府の農業振興政策

  • 国際開発機関の支援(特にFAOやIFADなど)。

  • アグリビジネスの成長と農産加工産業の拡大。

将来的には、アフリカ諸国が引き続き中心を担いつつ、コロンビアやフィリピンなどの生産拡大、そして世界的な健康志向による輸出市場の拡大が見込まれます。


まとめ

プランテンは、単なる果物にとどまらず、多くの国々にとって主食かつ経済の柱となる作物です。2023年時点ではアフリカ諸国が生産の中心を担い、ウガンダが圧倒的な存在感を放っています。今後は気候やインフラ面での課題を乗り越えつつ、生産性向上と市場の多様化を目指す動きが求められます。

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