2023年の日本のブロッコリー収穫量は171.4千トンで微減傾向。北海道が最大産地で夏季供給を担い、埼玉・愛知・香川などがリレー栽培を支える。熊本は前年比+11%と好調。将来的には気象変動や人手不足への対応、加工需要への対応が鍵となる。
ブロッコリーの収穫量ランキング
都道府県 | 最新値[kt] | 全国比[%] | 前年比[%] | |
---|---|---|---|---|
全国 | 171.4 | 100 | -0.868 | |
1 | 北海道 | 26.6 | 15.52 | -3.623 |
2 | 埼玉 | 15.2 | 8.868 | -1.935 |
3 | 愛知 | 14.3 | 8.343 | -5.298 |
4 | 香川 | 13.7 | 7.993 | +3.008 |
5 | 徳島 | 11.9 | 6.943 | +1.709 |
6 | 長野 | 11.4 | 6.651 | -0.87 |
7 | 長崎 | 10.9 | 6.359 | |
8 | 熊本 | 9.38 | 5.473 | +11.14 |
9 | 鳥取 | 6.92 | 4.037 | +1.615 |
10 | 群馬 | 6.43 | 3.751 | -1.38 |
11 | 福島 | 3.74 | 2.182 | -5.793 |
12 | 福岡 | 3.61 | 2.106 | +0.838 |
13 | 静岡 | 3.36 | 1.96 | +14.68 |
14 | 鹿児島 | 3.31 | 1.931 | -4.885 |
15 | 千葉 | 2.95 | 1.721 | +2.787 |
16 | 兵庫 | 2.34 | 1.365 | +0.862 |
17 | 茨城 | 1.95 | 1.138 | -1.015 |
18 | 東京 | 1.8 | 1.05 | +1.124 |
19 | 石川 | 1.64 | 0.957 | -1.796 |
20 | 栃木 | 1.57 | 0.916 | -9.249 |
21 | 岡山 | 1.25 | 0.729 | -6.716 |
22 | 神奈川 | 1.22 | 0.712 | -9.63 |
23 | 愛媛 | 1.05 | 0.613 | +10.41 |
24 | 青森 | 0.865 | 0.505 | -24.78 |
25 | 三重 | 0.823 | 0.48 | +16.24 |
26 | 岩手 | 0.821 | 0.479 | -3.977 |
27 | 山口 | 0.74 | 0.432 | +3.352 |
28 | 和歌山 | 0.719 | 0.419 | -7.702 |
29 | 島根 | 0.647 | 0.377 | -23.88 |
30 | 佐賀 | 0.616 | 0.359 | -10.72 |
31 | 福井 | 0.495 | 0.289 | -16.1 |
32 | 大阪 | 0.483 | 0.282 | +7.095 |
33 | 高知 | 0.474 | 0.277 | -11.57 |
34 | 大分 | 0.413 | 0.241 | -1.9 |
35 | 広島 | 0.299 | 0.174 | -0.333 |


ブロッコリーの出荷量ランキング
都道府県 | 最新値[万t] | 全国比[%] | 前年比[%] | |
---|---|---|---|---|
全国 | 15.64 | 100 | -0.446 | |
1 | 北海道 | 2.55 | 16.3 | -2.672 |
2 | 愛知 | 1.33 | 8.504 | -5.674 |
3 | 香川 | 1.31 | 8.376 | +3.15 |
4 | 埼玉 | 1.31 | 8.376 | -1.504 |
5 | 徳島 | 1.11 | 7.097 | +1.835 |
6 | 長野 | 1.1 | 7.033 | -0.901 |
7 | 長崎 | 1.02 | 6.522 | +0.99 |
8 | 熊本 | 0.833 | 5.326 | +11.21 |
9 | 鳥取 | 0.644 | 4.118 | +1.738 |
10 | 群馬 | 0.556 | 3.555 | -1.418 |
11 | 福島 | 0.329 | 2.104 | -5.187 |
12 | 福岡 | 0.329 | 2.104 | +0.612 |
13 | 静岡 | 0.315 | 2.014 | +15.81 |
14 | 鹿児島 | 0.292 | 1.867 | -5.195 |
15 | 千葉 | 0.253 | 1.618 | +2.846 |
16 | 兵庫 | 0.197 | 1.26 | +1.026 |
17 | 東京 | 0.165 | 1.055 | +0.61 |
18 | 茨城 | 0.163 | 1.042 | -1.212 |
19 | 石川 | 0.151 | 0.965 | -1.948 |
20 | 栃木 | 0.138 | 0.882 | -3.497 |
21 | 神奈川 | 0.114 | 0.729 | -6.557 |
22 | 岡山 | 0.11 | 0.703 | -6.78 |
23 | 愛媛 | 0.0833 | 0.533 | +12.87 |
24 | 青森 | 0.0768 | 0.491 | -24.71 |
25 | 岩手 | 0.0714 | 0.457 | -4.032 |
26 | 山口 | 0.0679 | 0.434 | +3.349 |
27 | 和歌山 | 0.0651 | 0.416 | -4.825 |
28 | 島根 | 0.058 | 0.371 | -24.18 |
29 | 三重 | 0.0488 | 0.312 | +16.19 |
30 | 佐賀 | 0.0463 | 0.296 | -10.62 |
31 | 大阪 | 0.0451 | 0.288 | +7.381 |
32 | 高知 | 0.0448 | 0.286 | -11.81 |
33 | 福井 | 0.0448 | 0.286 | -1.322 |
34 | 大分 | 0.0316 | 0.202 | -1.863 |
35 | 広島 | 0.0243 | 0.155 | -0.41 |

詳細なデータとグラフ
ブロッコリーの現状と今後
2023年の全国におけるブロッコリー収穫量は171.4千トン、出荷量は15.64万トンで、いずれも前年比でわずかに減少しました(収穫量:-0.868%、出荷量:-0.446%)。ブロッコリーは冷涼な気候に適する作物であると同時に、年中出荷できるように全国各地でリレー栽培が行われている点が特徴です。
また、健康志向の高まりや食卓での需要の定着により、国産ブロッコリーの需要は安定しており、1定の成長余地があります。1方で、高温期の品質管理や収穫時期の集中による価格変動が課題となっています。
最大産地・北海道の優位と課題
北海道(収穫量26.6kt/-3.623%、出荷量2.55万t/-2.672%)
北海道は夏季の主力供給地であり、全国最大のブロッコリー産地となっています。特に道央や道南地域での大規模露地栽培が主流であり、広大な農地と冷涼な気候が品質の高いブロッコリーを安定供給する基盤となっています。
ただし、2023年は天候の影響によりやや減収・減出荷となりました。今後の課題は、気象変動への対応や機械化の推進、および人手不足への対策です。夏の1大産地としての地位は今後も維持される見通しです。
関東・中部のリレー産地群
埼玉県(15.2kt/-1.935%、1.31万t/-1.504%)
愛知県(14.3kt/-5.298%、1.33万t/-5.674%)
群馬県(6.43kt/-1.38%、0.556万t/-1.418%)
埼玉・愛知・群馬といった関東・中部地方では、秋冬~春どりのブロッコリー栽培が主流です。関東平野部の地の利を活かした都市近郊型生産や、愛知における促成・抑制栽培が消費地供給の安定を支えています。
2023年は愛知の減少が目立ちましたが、これは天候や収穫期集中の影響と考えられます。埼玉・群馬は微減であり、生産体制自体に大きな変化は見られません。引き続き都市圏への安定供給拠点としての役割を果たすでしょう。
西日本の特色ある生産地
香川県(13.7kt/+3.008%、1.31万t/+3.15%)
徳島県(11.9kt/+1.709%、1.11万t/+1.835%)
長崎県(10.9kt/+0.99%、1.02万t/+0.99%)
熊本県(9.38kt/+11.14%、0.833万t/+11.21%)
鳥取県(6.92kt/+1.615%、0.644万t/+1.738%)
これらの地域では、冬季から春季にかけての温暖地栽培が盛んです。香川・徳島では瀬戸内海式気候を活かした安定栽培が行われており、2023年は揃って増産・増出荷となっています。
特筆すべきは熊本県で、前年比約11%の大幅増加を示しました。これは気候条件の安定と需要増への対応策の結果と見られ、今後も生産拡大が期待されます。長崎や鳥取も地理的利点と気候の安定性により、緩やかな増加傾向が続いています。
冷涼地と高冷地の補完的役割
長野県(11.4kt/-0.87%、1.1万t/-0.901%)
長野県は冷涼な高地気候を活かした夏~初秋のブロッコリー供給地で、気温と日照のバランスがよく、品質も高く評価されています。2023年は微減でしたが、生産環境の整備が進んでおり、安定供給が見込まれます。
冷涼地の夏作は、北海道と並び真夏の供給の柱であり、今後もリレー栽培の1翼を担う重要な産地です。
今後の展望と課題
気象リスクとリレー体制の柔軟化
全国的な収穫・出荷量は微減に留まっており、大規模な衰退傾向は見られません。しかし、特定地域における天候不順や高温化の影響が生産に波及しており、リレー体制の見直しや多地域分散の重要性が高まっています。
品質差・価格競争の激化
近年は外国産冷凍ブロッコリーの輸入増加や、国内でも価格重視の流通構造が進んでおり、品質とコストの両立が生産現場に求められています。特に、収穫作業の人手不足と労賃高騰は今後の生産量維持に影響を与えかねません。
加工・業務用需要への対応
コロナ禍以降、外食産業や業務用需要の回復が見られ、冷凍・カット加工品の需要も増しています。これにより、周年安定供給が可能な国内産の価値が再評価されており、今後は施設栽培や大型契約栽培の拡充が1つの方向性となるでしょう。
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