日本のビール風アルコール飲料(350mL×6本パック)は、2025年4月時点で平均928.9円と上昇傾向が続いています。特に静岡や山形では前年比で16%以上の急騰が見られる一方、青森や福島では価格が下落しています。価格上昇の背景には、原材料費の高騰や物流コストの増加、酒税制度の段階的改正などがあり、地域差も顕著です。今後は節税志向商品の需要とともに、値上げ圧力が継続する可能性があります。
小売物価統計
ビール風アルコール飲料小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 和歌山 | 静岡 | 山形 | 高松 | 八王子 | 宮崎 | 那覇 | 立川 | 富山 | 大阪 |
最新値[円] | 928.9 | 1030 | 1014 | 1005 | 988 | 987 | 981 | 977 | 970 | 970 | 970 |
前年同月比[%] | +5.438 | +8.65 | +16.15 | +16.05 | +13.04 | +13.58 | +9.243 | +5.85 | +7.898 | +8.259 | +6.011 |
ビール風アルコール飲料小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 青森 | 八戸 | さいたま | 仙台 | 枚方 | 名古屋 | 柏 | 福島 | 長岡 | 富士 |
最新値[円] | 928.9 | 848 | 869 | 873 | 886 | 886 | 887 | 888 | 889 | 889 | 891 |
前年同月比[%] | +5.438 | -1.05 | +1.282 | +1.042 | +3.505 | +0.34 | +6.228 | -3.159 | +3.855 | +5.195 |
ビール風アルコール飲料の推移


詳細なデータとグラフ
ビール風アルコール飲料の現状と今後
「ビール風アルコール飲料」とは、1般的に新ジャンルと呼ばれる、第3のビールや発泡酒などのカテゴリーを指します。日本では酒税の区分上、ビールとは異なる扱いを受けており、麦芽の使用比率が低い、または大豆やトウモロコシなどの副原料が用いられていることが多く、低価格で販売されてきました。主に価格志向の消費者層に支持され、家庭用需要の中心商品として長年親しまれています。
長期的な価格推移と背景
2010年から2025年にかけて、ビール風アルコール飲料(350mL×6)の平均価格は上昇傾向にあります。2025年4月現在で平均928.9円に達し、前年比でも+5.438%の上昇を示しています。特に近年は価格上昇が顕著になっています。
この背景には以下の要因があります:
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原材料費の高騰:大麦やホップ、大豆などの国際価格が上昇。
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物流・人件費の増加:輸送費や人手不足による賃金上昇が価格に反映。
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酒税制度の改正:2020年から段階的にビールと新ジャンルの税率が統1されつつあり、新ジャンルの価格メリットが減少。
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円安の影響:輸入原材料に依存する企業はコスト増に直面。
地域別の価格差とその理由
価格が最も高い地域は和歌山(1,030円)、次いで静岡(1,014円)、山形(1,005円)と続きます。逆に最も安いのは青森(848円)、8戸(869円)、さいたま(873円)です。
この地域差の要因は以下の通りです:
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物流の距離:離島や山間部は流通コストが高い。
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消費者の購買傾向:所得水準や節約志向によって需要価格帯が異なる。
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競争環境の違い:スーパーやディスカウントストアの数、PB(プライベートブランド)の有無も影響。
注目すべきは静岡や山形の前年比+16%を超える上昇。これらは原材料・物流費の影響に加えて、特定のブランドが値上げした可能性や販路の制限も考えられます。
今後の価格動向の見通し
今後のビール風アルコール飲料の価格は、以下の理由からさらに上昇する可能性が高いと考えられます:
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酒税の1本化の影響継続 第3のビールの酒税が2026年までにビールと同1になることで、ビールとの価格差が縮小。価格面の優位性が減り、企業側も利幅を維持するために値上げに踏み切る可能性があります。
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持続的なインフレ圧力 原材料高、エネルギー価格の上昇、円安といった外的要因は今後も継続的なコスト増を招く可能性があります。
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代替商品のシフト 消費者が価格上昇に反応して、より安価なチューハイやノンアル商品に移行することで、市場縮小に対応する形で単価の維持・引き上げが図られる可能性もあります。
消費者と企業の対応
消費者にとっては、家計への影響が大きくなるため、PB商品の選択や、量販店でのまとめ買い、まとめ売りセールへの関心が高まると予想されます。
1方、企業側は値上げだけでなく、以下のような戦略を取る可能性があります:
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機能性飲料・低カロリー商品の投入:差別化による価格納得感の演出
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プロモーションの強化:まとめ買いキャンペーンやポイント還元施策
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容量の調整:「実質値上げ」的に内容量を350mLから340mLへ縮小する等の動き
まとめ
日本のビール風アルコール飲料市場は、長らく「安く酔える」需要を背景に支持されてきましたが、原材料・物流・税制といった外部環境の変化により、価格上昇が避けられない状況にあります。特に地域間での価格差は、流通構造や購買行動の差異を反映しています。今後は、価格志向の商品だけでなく、付加価値や健康志向に対応した商品の展開が1層重要になるでしょう。企業の価格戦略と消費者の選択のせめぎ合いが、引き続き市場の方向性を左右する鍵となります。
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