2025年4月時点のビデオデッキ支出は全国平均2.794万円で、近畿や関東で高額傾向。一方、市場全体は縮小傾向であり、中古品が主流に。購入世帯割合は低いながら前年比で増加しており、思い出保存や映像資産活用の目的が主因。今後はデジタル変換や趣味用途にシフトしていく見込み。
家計調査結果
ビデオデッキの相場
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 近畿 | 関東 | 大都市 | 全国 | 小都市A | 小都市B | 中都市 | 北海道 | 九州・沖縄 | 四国 |
最新値[万円] | 2.794 | 4.659 | 4.285 | 4.175 | 3.387 | 3.324 | 3.119 | 2.504 | 2.452 | 2.206 | 2.205 |
前年同月比[%] | -40.53 | -30.2 | +34.75 | +0.0719 | -13.17 | -0.604 | +33.84 | -46.83 | -75.49 | -40.09 |
ビデオデッキ支出の世帯割合
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 四国 | 北海道 | 関東 | 小都市B | 北陸 | 大都市 | 全国 | 東海 | 東北 | 小都市A |
最新値[%] | 0.299 | 0.54 | 0.38 | 0.37 | 0.37 | 0.36 | 0.31 | 0.28 | 0.25 | 0.25 | 0.25 |
前年同月比[%] | +54.98 | +322.2 | +27.59 | +236.4 | +80 | +24 | +27.27 | -26.47 | +257.1 | -16.67 |
ビデオデッキの推移


詳細なデータとグラフ
ビデオデッキの家電現状と今後
2025年4月時点での日本におけるビデオデッキの平均支出額は2.794万円となっており、家電としてはもはや主流ではないものの、1定の需要が残っていることがわかります。地域別にみると、近畿(4.659万円)や関東(4.285万円)が突出して高く、都市圏での高価格帯支出が目立っています。1方で、4国(2.205万円)や9州・沖縄(2.206万円)では支出額がかなり低く、価格帯の地域差が大きい点が特徴です。
これらの差異は、機器の入手経路(新品か中古か)、需要層の年齢、保存メディアの活用状況などによって説明されます。特に都市部では「過去の資産(VHS・8mmなど)をデジタル化したい」というニーズが高く、機能性の高い高価格モデルを選ぶ傾向が強いと考えられます。
需要減少と変化する役割
かつてテレビと並ぶ必需家電であったビデオデッキですが、2000年代以降のDVD、Blu-ray、ストリーミング配信の台頭により需要は激減しました。2025年現在、平均支出額が前年比で-40.53%と大きく下落しており、市場の縮小は加速しています。
しかし1方で、関東(+34.75%)や小都市B(+33.84%)などでは支出額が増加しており、これは1定の層が高性能機種を求めて購入した結果と推測されます。つまり、需要の中心は「量」ではなく「質」へと移行していると言えるでしょう。たとえば以下のようなケースが想定されます:
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過去のホームビデオをデジタル化したい
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特定の放送記録や教材ビデオを再生したい
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業務用途やライブラリ管理用として必要
購入世帯割合の動向とユーザー層の変化
2025年4月時点でのビデオデッキを購入した世帯の割合は平均0.299%で、きわめて限定的です。しかし前年比で+54.98%と急増しており、これは1時的な需要の盛り上がりを示唆します。特に東北(+257.1%)や小都市B(+236.4%)では顕著で、「思い出の記録を見たい」「地域の古いメディアを活用したい」という1過性かつ目的志向型の需要が背景にあると考えられます。
なお、9州・沖縄(-31.25%)や東海(-26.47%)など、支出・世帯割合ともに減少している地域では、すでに需要のピークが過ぎたか、デジタル移行が早く進んでいた可能性が高いです。
ビデオデッキ市場の構造的課題
ビデオデッキという製品は、以下のような大きな構造的問題を抱えています:
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生産終了と入手困難 大手家電メーカーはすでにビデオデッキの新規生産を終了しており、現在流通している多くの製品は中古・リユース市場経由です。品質や耐久性に不安が残り、修理対応も限定的です。
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メディアの劣化と互換性の問題 VHSやベータ、8mmなど古いメディアは劣化が進んでおり、再生には専用の再生機器が必要です。互換性を確保できる製品が減少しているため、再生困難に陥るケースが増加しています。
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知識や操作スキルの継承不足 ビデオデッキの操作や録画・再生に慣れた世代が高齢化し、若年層には扱いが難しい家電となりつつあります。これは市場の新規需要を育てにくい1因です。
今後のビデオデッキの推移と期待される動向
今後のビデオデッキ市場は「復活」ではなく、「終末期におけるニッチな復興」となる可能性が高いです。以下のような展望が考えられます:
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デジタル変換サービスとの連携 ビデオデッキ自体を購入せず、業者に持ち込み「VHS→DVD/Blu-ray→クラウド」などへの変換を依頼するケースが増加するでしょう。自治体や図書館が支援する地域保存活動とも連携可能です。
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DIY・趣味用途の活用 レトロ家電愛好家による再生・修理、アナログ映像収集といった用途で、中古市場が1定の需要を維持することが予想されます。YouTubeなどでのレトロ映像公開も後押し要因となるかもしれません。
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サブカルチャー的な再評価 1980~90年代カルチャーの再評価とともに、ビデオデッキが象徴的アイテムとして1部でブームを生む可能性もあります。インテリア的価値やファッション的アプローチも無視できません。
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公共機関での保存・再生ニーズ 大学・放送局・研究機関・アーカイブ団体などが、過去資料の再生用に保守的に所蔵し続けることで、特殊市場が持続する場合があります。
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