日本の世帯におけるパソコン支出は2025年4月時点で平均11.24万円と高水準で、地方を中心に支出額が上昇。前年同月比でも大幅増加が見られ、テレワークや教育用途の定着が背景にある。支出世帯の割合も拡大し、今後は高性能機や家庭内複数台化により支出の維持・増加が見込まれる。一方で、価格高騰による格差や中古市場の影響も課題として残る。
家計調査結果
パソコンの相場
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 東海 | 四国 | 小都市A | 北海道 | 大都市 | 全国 | 近畿 | 関東 | 中国 | 東北 |
最新値[万円] | 11.24 | 14.25 | 13.5 | 13.07 | 12.99 | 11.24 | 11.16 | 11.11 | 10.9 | 10.77 | 10.57 |
前年同月比[%] | +19.58 | +57.75 | +12.63 | +53.25 | +13.69 | +7.836 | +15.84 | +24.79 | +4.035 | +19.07 | +35 |
パソコン支出の世帯割合
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 関東 | 中都市 | 近畿 | 東北 | 北陸 | 大都市 | 全国 | 小都市A | 東海 | 中国 |
最新値[%] | 1.421 | 1.77 | 1.71 | 1.62 | 1.6 | 1.58 | 1.54 | 1.53 | 1.48 | 1.4 | 1.37 |
前年同月比[%] | +24.45 | +34.09 | +35.71 | +14.89 | +150 | +1.935 | +22.22 | +24.39 | +6.475 | +11.11 | +8.73 |
パソコンの推移


詳細なデータとグラフ
パソコンのデジタル家電現状と今後
2025年4月時点で、日本の世帯がパソコン購入に費やした月間平均支出は11.24万円で、全体の中でも比較的高額な家電支出となっています。特に東海(14.25万円)や4国(13.5万円)、北海道(12.99万円)などの地方において支出が多いことが特徴で、都市圏よりも地方での支出額の高さが目立ちます。これは大都市圏ではシェアPC、タブレットの活用、企業・教育機関による提供などにより個人支出が抑えられている可能性がある1方、地方では家庭単位で性能の高いパソコンを求める傾向があるためと推察されます。
支出増加の背景にある要因
前年同月比で全国平均+19.58%、東海では+57.75%という大幅な増加が見られた背景には、以下のような複数の要因が考えられます:
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買い替え需要の顕在化 Windows 11対応機種への移行や、バッテリー・性能の経年劣化に伴う買い替えが進んだことで、1斉に支出が増加したと見られます。
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テレワーク・リモート学習の定着 パンデミックを契機に広がったリモート環境の定着が、家庭用の高性能PCの需要を恒常化させています。
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物価上昇の影響 円安や半導体価格の上昇が端末価格に転嫁され、支出単価の増加を招いています。
支出世帯割合の増加傾向と地域差
パソコンを購入した世帯の割合は全国平均で1.421%。これは耐久消費財としてのパソコンの性格から見て高い水準であり、前年同月比+24.45%と着実な増加を示しています。
特筆すべきは、4国(+106.8%)、小都市B(+38.64%)など、従来あまり支出が活発でなかった地域で大幅な伸びが見られる点です。これはインターネット学習の浸透、オンライン行政サービスの増加など、地方においてもパソコンの必要性が急速に高まっていることを示唆しています。
1方、北海道は-11.84%と支出世帯割合が減少しており、すでに1巡した買い替えサイクルや代替手段(スマートフォン・タブレット)の普及による影響が考えられます。
今後のパソコン支出の見通し
今後もパソコンの支出は以下の理由から高水準で推移する可能性があります。
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生成AI・動画編集など高負荷作業への需要増 より高性能なプロセッサやGPUを搭載した機種が求められ、端末単価は上がる傾向です。
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家庭内複数台化の進行 リビング用、子ども用、在宅勤務用などの用途別にパソコンを複数持つ家庭が増加し、支出全体を押し上げる要因となります。
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持続する教育機関のICT化 GIGAスクール構想に伴い、パソコンやタブレット端末の家庭内使用が教育の1部となりつつあるため、親世代の購入需要も底堅く続くと考えられます。
課題と展望
1方で課題もあります。高価格化によって所得の低い世帯での購入が難しくなる「デジタル格差」は深刻です。また、中古市場の拡大やサブスク型端末レンタルの登場により、今後は「購入」ではなく「利用」の観点から支出の形態が変化していく可能性もあります。
総じて、パソコンの世帯支出は今後も緩やかな増加傾向を維持しつつ、その内訳や購入方法に多様性が広がると予想されます。
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