日本のバター200gの小売価格は、2025年3月時点で平均536.9円と、過去数年で大幅に上昇しています。特に2022年11月の最安値424円から2024年10月の最高値520円まで、約96円の差が見られます。価格上昇の主な要因は、飼料価格の高騰や物流費の増加などが挙げられます。都市別では、盛岡市が594円で最も高く、宇都宮市が466円で最も安いという地域差も存在します。このような背景から、バターの価格動向は今後も注視が必要です。
菓子類・飲料の都市別小売価格
バター価格の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 盛岡 | 徳島 | 鹿児島 | 福山 | 熊本 | 日立 | 八戸 | 郡山 | 藤沢 | 福島 |
最新値[円] | 536.9 | 594 | 577 | 576 | 571 | 571 | 571 | 571 | 570 | 570 | 570 |
平均比[%] | 100 | 110.6 | 107.5 | 107.3 | 106.3 | 106.3 | 106.3 | 106.3 | 106.2 | 106.2 | 106.2 |
前年月同比[%] | 4.694 | 6.261 | 7.249 | 8.885 | 8.144 | 6.929 | 8.144 | 6.134 | 20.51 | 0 | 6.145 |
バター価格の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 宇都宮 | 大分 | 岡山 | 熊谷 | 山形 | 福岡 | 川口 | 静岡 | 千葉 | 横浜 |
最新値[円] | 536.9 | 466 | 473 | 473 | 473 | 484 | 484 | 485 | 494 | 495 | 501 |
平均比[%] | 100 | 86.79 | 88.09 | 88.09 | 88.09 | 90.14 | 90.14 | 90.33 | 92 | 92.19 | 93.31 |
前年月同比[%] | 4.694 | -8.087 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | -6.19 | 2.277 | 4.651 | -4.934 |
これまでのジャム・バターの推移


詳細なデータとグラフ
バターの現状と今後
日本におけるバター1箱200gの小売価格は、2010年1月にはおおむね400円台で安定していたものの、近年は上昇傾向が顕著です。特に2020年以降は、平均価格が上がり続け、2025年3月の最新データでは平均536.9円に達しています。これは過去10年間で最も高い水準の一つであり、家計への負担増が指摘されています。
この背景には、国内外の酪農情勢の変化や物流費・燃料費の高騰、輸入原料の価格上昇などが複合的に影響しています。また、バターは国家の需給調整対象品目であり、政策的な制限も価格に影響を与えてきました。
都市別価格の特徴と格差
2025年3月のデータに基づき、都市別の価格を見てみると、最も高かったのは盛岡市で594円、次いで徳島577円、鹿児島576円、福山・熊本・日立・八戸が571円と続きます。これらの地域では、価格が平均よりも大きく上回っており、流通の問題や地方での需要供給バランス、あるいは地域の販売戦略が価格に反映されている可能性があります。
一方、最も安いのは宇都宮市で466円、大分・岡山・熊谷が473円と続きます。関東や九州の一部都市では比較的安価にバターが手に入る傾向がありますが、これは物流の集積、スーパーの競争などが価格を押し下げていると考えられます。
価格変動率から見る地域間のばらつき
前年同期比での価格増加率を見ると、盛岡が6.261%、徳島が7.249%、鹿児島が8.885%と、既に価格が高い都市でもなお上昇が続いています。特に郡山は20.51%と非常に高い増加率を示しており、突発的な供給不足や地域特有の事情が推測されます。
逆に、価格が安い都市でも増加率は顕著で、宇都宮では86.79%、熊谷で88.09%、横浜で93.31%と、前年比で実質的に2倍近い価格水準になっている例もあります。これは、全国的な価格上昇が都市の規模や立地に関係なく広がっていることを示しています。
バター価格上昇の要因分析
バター価格の上昇には、いくつかの大きな要因が複合的に関わっています:
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酪農家の減少と生乳不足:高齢化や後継者不足により酪農家が減少し、原料となる生乳の生産量も減っています。
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飼料・燃料コストの高騰:円安や世界的な供給不安によって、輸入飼料価格が上昇。飼料価格が高騰すると、酪農経営が圧迫され、バターの生産コストが上がります。
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輸入バターの制限と価格:日本ではバターの輸入は基本的に農水省による管理の下で行われており、国産の需給を守るために制限がかけられています。そのため、輸入による価格調整が難しい状況です。
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物流・人件費の上昇:運送業界の人手不足や燃料費高騰により、全国への配送コストが上昇しています。
今後の見通しと課題
バターはパンやお菓子づくりに欠かせない家庭用商品であると同時に、業務用としても多く使用されています。価格上昇が続けば、外食産業や製菓業界にも波及し、さらなる物価上昇を招く恐れがあります。
国としては、生産支援や流通の効率化、輸入調整の見直しなどが求められます。一方で、消費者側でもマーガリンなどの代替品へのシフトや、節約意識の高まりが見られるようになってきました。
まとめ
日本のバター価格は、過去10年で大きく上昇しており、地域ごとの価格格差も拡大傾向にあります。背景には、生乳不足や飼料価格の上昇、物流コストの増加などがあり、今後も安定供給と価格抑制のための政策的対応が必要です。都市ごとの価格差にも注目しながら、生活者としても賢い選択が求められる時代となっています。
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