ハンバーグ1パックの平均価格は2025年4月時点で370.9円、前年比+1.95%。大分など一部地域で30%以上の急騰が見られる一方、那覇や松江では大幅下落。為替や原材料コストの影響を受けやすく、今後は価格帯の二極化が進むと予測される。安定需要が続く中で、内容重視の商品展開が鍵となる。
小売物価統計
ハンバーグ小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 水戸 | 大分 | 熊本 | 岡山 | 山形 | 広島 | 盛岡 | 新潟 | 長野 | 山口 |
最新値[円] | 370.9 | 433 | 431 | 430 | 426 | 422 | 411 | 407 | 404 | 402 | 401 |
前年同月比[%] | +1.953 | +4.087 | +33.44 | +13.16 | +5.446 | +7.379 | -1.909 | +6.266 | +6.596 | +4.688 | +0.754 |
ハンバーグ小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 宮崎 | 金沢 | 鹿児島 | 佐賀 | 京都 | 長崎 | さいたま | 奈良 | 松江 | 那覇 |
最新値[円] | 370.9 | 310 | 322 | 325 | 330 | 331 | 337 | 338 | 342 | 343 | 343 |
前年同月比[%] | +1.953 | +3.333 | -5.294 | +5.863 | +5.769 | -0.301 | +5.643 | -2.312 | -4.469 | -9.737 | -9.499 |
ハンバーグの推移


詳細なデータとグラフ
ハンバーグの現状と今後
2025年4月時点で、日本におけるハンバーグ1パックの平均小売価格は370.9円となっており、前年同月比では+1.953%の上昇です。価格上昇のペースは比較的穏やかであり、他の加工食品と比べると安定的な動きを見せています。
この背景には、ハンバーグという商品の性質上、冷凍・チルド品としての保存性、製造工程の効率化、大手メーカーの価格競争などが挙げられます。大幅な価格変動よりも、徐々に上昇する傾向が続いています。
高価格地域の特徴とその要因
価格が高い上位10都市は以下の通り:
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水戸:433円(+4.087%)
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大分:431円(+33.44%)
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熊本:430円(+13.16%)
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岡山:426円(+5.446%)
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山形:422円(+7.379%)
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広島:411円(-1.909%)
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盛岡:407円(+6.266%)
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新潟:404円(+6.596%)
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長野:402円(+4.688%)
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山口:401円(+0.754%)
この中で最も注目すべきは大分の33.44%という異常値に近い上昇率です。このような急騰は、地場メーカーの仕入コストの急増、特売終了、価格改定タイミングの集中などが重なったことが考えられます。
また、水戸・熊本などの中堅都市でも価格は高めで、地方都市における地産地消型の製造スタイルや人件費の上昇も影響していると見られます。特に冷蔵・冷凍流通コストの地域格差が価格に反映されやすい商品でもあります。
低価格地域とその傾向
反対に、価格が低い都市は以下の通り:
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宮崎:310円(+3.333%)
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金沢:322円(-5.294%)
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鹿児島:325円(+5.863%)
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佐賀:330円(+5.769%)
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京都:331円(-0.301%)
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長崎:337円(+5.643%)
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さいたま:338円(-2.312%)
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奈良:342円(-4.469%)
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松江:343円(-9.737%)
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那覇:343円(-9.499%)
この中でも松江と那覇の価格下落(約-9.7%、-9.5%)は顕著であり、地域内の需要低迷や大手小売業者による価格競争、もしくは業務用ハンバーグなどの廉価商品が流通している可能性が高いです。
また、金沢や奈良、京都などの都市圏で値下がりが見られるのは、観光回復と共に冷凍惣菜などの外販が強化され、業務用供給が過剰気味であった背景も考えられます。
2022年からの価格推移と背景要因
データは2022年11月から2025年4月までの約2年半の動向を含んでいます。2022年当時は、コロナ禍後半の影響がまだ色濃く、冷凍・チルド食品の家庭内需要が高まりました。この時期は価格がやや高めで推移したものの、2023年に入って供給体制が安定すると同時に価格競争が再燃。大手メーカーやスーパーによるPB(プライベートブランド)強化により、安価商品が市場に流通し始めます。
ただし、2024年からは再び円安や輸入原料(特に牛豚のミンチ肉)の価格上昇が進み、じわじわと平均価格を押し上げる傾向が強まりました。特に国産原料を使う高品質商品と、輸入依存度の高い商品との間で価格差が広がっています。
今後の価格推移と課題
為替と輸入原料コストの影響
ハンバーグの主成分である牛・豚の合挽肉は、国産よりも外国産が多く使われるケースが多く、為替の変動が価格に大きく影響します。今後、円安が続けば370円台の平均価格が400円前後に接近する可能性もあります。
加工コストの上昇
包装資材、人件費、エネルギー費の高騰により、今後の製造コストは下がりにくくなっています。企業努力による値上げ回避にも限界があり、特売やまとめ売りの形でしか価格維持が難しくなると予測されます。
価格帯の2極化
「安価でボリューム重視」の冷凍食品型と、「高品質・国産・健康志向」型のプレミアム路線が並存するようになり、価格帯は上下で2極化していくと考えられます。特に都市圏では、前者のニーズが薄れつつあるため、品質訴求型の価格上昇が容認されやすい土壌があります。
今後への期待と戦略的提言
消費者にとってハンバーグは「簡単」「おいしい」「定番」という価値が揺るがない中核食品です。今後も安定した需要が見込まれますが、価格面では値上げへの心理的抵抗が小さくないのも事実です。
したがって小売・製造各社には、次のような対応が求められます:
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価格据え置き型の小容量戦略
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お弁当用途や冷凍保存に最適化したパッケージ提案
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値段以上の満足感を訴求するレシピ付き販売
今後の展望としては、400円を超える価格水準も都市部中心に1般化していくと見込まれる1方で、地方や業務用では引き続き300円前後の競争が激化していくでしょう。
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