ナスの世界生産動向2023:アメリカと中国が牽引、急増と課題の両面を分析

生産量
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2023年の世界のナス(茄子)生産量は1,242Mtで、前年比6.836%の大幅増加となりました。アメリカが生産量の31.39%を占めて最も多く、次いで中国(23.28%)、ブラジル(10.63%)が続きます。アメリカとインドは12%以上の成長率を記録し、特にブラジルは前年比20%超の急成長。一方でアルゼンチンは約30%の減少を見せています。今後は気候変動や需給バランス、スマート農業の導入が生産体制を左右する重要要素となるでしょう。

生産量のデータとグラフ

ナス生産量の最大と最新

世界 アメリカ 中国 ブラジル アルゼンチン インド ウクライナ メキシコ
最新 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年
最大期 2023年 2016年 2023年 2023年 2021年 2023年 2021年 2016年
最新値[Mt] 1242 389.7 289.1 132 41.41 38.09 31.03 27.55
最大値[Mt] 1242 412.3 289.1 132 60.53 38.09 42.11 28.25
前年比[%] 6.836 12.39 4.201 20.24 -29.86 12.91 18.5 3.754
全体比[%] 100 31.39 23.28 10.63 3.335 3.068 2.499 2.219

 

これまでの推移

ナスの生産量
最新の割合

 

詳細なデータとグラフ

 

ナス生産量についての推移と展望

ナスは果実野菜のひとつで、アジアから欧米にかけて多様な料理に使われています。高栄養価かつ調理多様性があることから、世界各国で重要な農作物と位置づけられています。生産と消費の両面で各地域の農業と文化に深く根付いていることが、その持続的な需要の背景にあります。


世界全体の推移と現況(1961〜2023年)

1961年には数十Mt規模であったナスの世界生産量は、2023年には1,242Mtに達し、前年比でも6.836%増という大幅な伸びを示しました。この背景には、温暖化による栽培可能地の拡大と市場ニーズの高まりが挙げられます。


アメリカ:最大のナス生産国

アメリカは389.7Mtを生産し、世界全体の31.39%を占める最大の生産国となっています。前年比では12.39%の伸びを記録し、施設園芸や地域生産者ネットワークの拡充が影響しています。

  • 特徴:温暖地域(カリフォルニア州、フロリダ州)での大規模栽培

  • 背景:ナスを含む地中海式食生活の普及、国内市場での安定需要

近年は有機栽培や品種改良によって品質向上も図られており、輸出拡大も視野に入っています。


中国:伝統作物からの変化

中国は289.1Mt(23.28%)を誇り、前年比でも4.201%と堅調に成長。

  • 地域:江蘇省、山東省、河南省などの内陸部を中心とした大規模農業地帯

  • 特徴:品種の多様性、伝統的料理への利用頻度の高さ

  • 背景:中産階級の食の多様化と都市部での需要増加

施設型農業と露地栽培の組み合わせにより、柔軟な供給体制を構築しています。


ブラジルとラテンアメリカの飛躍

ブラジルは132Mtを生産し、前年比20.24%の驚異的な伸びを見せました。

  • 要因:内需の拡大と地域農業支援策、品種転換の成功

  • 特徴:東南部・中西部での新規農地開発による供給増加

ラテンアメリカ全体としても、気候条件と栽培技術の向上により今後の生産国として注目されつつあります。


アルゼンチンの急減とその背景

アルゼンチンは41.41Mt(前年比-29.86%)と大幅減少。

  • 背景要因:干ばつや燃料コスト高騰による輸送困難

  • 経済不安:通貨インフレと農業補助金削減の影響

今後の復調には、灌漑システムの再整備と輸出志向型農業への転換が課題です。


インドとアジアの成長機運

インドは38.09Mt(+12.91%)と安定成長。

  • 特徴:国内消費が主で、ナスカレーなど食文化に深く結びついている

  • 課題:農薬利用と品種ごとの品質差

インドでは今後も農村部の収入源としてナス栽培が重視される見通しです。


ウクライナ・メキシコの堅調成長

  • ウクライナ:31.03Mt(+18.5%)と高成長。内需と東欧向け輸出の両立が成果を上げています。

  • メキシコ27.55Mt(+3.754%)。主にアメリカ向け輸出用に、施設栽培で品質向上を図る体制が整っています。

両国とも戦略的な市場志向型農業へのシフトが進んでいます。


ナス生産における世界的課題

  • 気候変動:高温障害や干ばつが影響し、露地栽培が不安定化。

  • 病害虫の拡大:とくにアブラムシやウイルス感染が一部地域で問題化。

  • 価格の不安定性:輸送費、肥料費の変動が生産者に直接影響。

  • 流通構造の課題:鮮度保持が難しく、長距離輸送に課題あり。


第10章:今後の予測と展望

  • アメリカと中国の二極構造が続くと見られるが、ブラジルやインドの台頭で競争が活性化。

  • スマート農業精密灌漑の導入により、乾燥地域でも安定生産が期待される。

  • 気候対応型品種(耐乾性・耐病性)の普及が中長期的なカギ。

  • 健康志向や菜食ブームの影響で、ナスの需要は堅調に推移する可能性が高い。


まとめ

2023年のナス生産はアメリカと中国の圧倒的な存在感が際立ちつつも、ブラジルやインドといった新興国の急成長が明らかになりました。今後は、持続可能性と市場ニーズへの対応が世界各国の生産体制に求められ、スマート農業や品種改良が国際競争の鍵を握ると予測されます。

 

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