トマトの世界生産動向:中国・アメリカ・インドの役割と今後の展望

生産量

2023年の世界のトマト生産量は192.3Mtで、前年比+3.049%と成長傾向にあります。中国(70.21Mt)は圧倒的な生産量を誇り、アメリカやブラジル、スペインなども前年より大きく伸びました。一方、インドやイタリア、エジプトではやや減少傾向。気候変動や品種改良、温室栽培の普及が今後のトマト生産のカギを握っており、持続可能な農業と輸出主導の生産構造への移行が求められます。

トマトの生産量ランキング

2023年
降順昇順
各国最新値[Mt]全体比[%]前年比[%]
世界192.3100+3.049
1中国70.2136.51+2.666
2インド20.4310.62-1.3
3トルコ13.36.916+2.308
4アメリカ12.376.432+20.87
5エジプト6.2113.23-2.459
6イタリア6.0163.128-1.961
7メキシコ4.3952.285+4.194
8ブラジル4.1662.166+9.093
9スペイン3.9682.063+8.667
10ナイジェリア3.8041.978+5.633
11イラン3.3681.751-0.724
12ロシア2.7211.415+2.864
13ウズベキスタン2.2061.147+0.664
14ポルトガル1.8130.942+17.55
15ウクライナ1.6840.875+33.88
16アルジェリア1.6820.875+1.701
17モロッコ1.4450.751+4.043
18アルゼンチン1.430.744+2.662
19チュニジア1.2880.669+11
20カメルーン1.2480.649+2.507
21インドネシア1.1440.595-2.135
22モザンビーク0.9320.485-41.7
23チリ0.930.484+30.7
24コロンビア0.8960.466+2.385
25ポーランド0.8830.459+12.2
26アゼルバイジャン0.8460.44+2.303
27カザフスタン0.7920.412-1.115
28アンゴラ0.7660.398+30.28
29パキスタン0.7630.397-3.809
30ギリシャ0.7530.392+0.085
31シリア0.7410.385+13.94
32オランダ0.7260.377-5.714
33日本0.7120.37+0.54
34フランス0.6560.341-7.714
35サウジアラビア0.6370.331-3.325
36スーダン0.6340.33+0.204
37ヨルダン0.5920.308-2.49
38ケニア0.5830.303-5.53
39タンザニア0.5720.297+2.078
40マラウイ0.5510.286+0.786
41カナダ0.5430.282+2.668
42イラク0.5350.278-15.13
43南アフリカ0.5280.275+13.65
44グアテマラ0.5140.267+6.703
45タジキスタン0.510.265+2.985
46バングラデシュ0.4690.244+6.083
47ジンバブエ0.4590.239+63
48ニジェール0.3990.208-1.524
49韓国0.390.203+2.965
50ガーナ0.3750.195-0.197
51トルクメニスタン0.3460.18-0.33
52ベラルーシ0.3360.175+1.816
53キューバ0.3360.175+9.846
54イスラエル0.3250.169+10.46
55オーストラリア0.3220.167-1.004
56アルバニア0.3090.161-1.814
57ブルキナファソ0.3060.159-0.549
58ドミニカ共和国0.2910.151+18.97
59ベルギー0.290.151-3.046
60キルギスタン0.2810.146+13.46
61ベナン0.2790.145+4.767
62レバノン0.2720.141+0.0377
63ルーマニア0.2720.141-9.166
64マリ0.2460.128+3.249
65リビア0.2270.118+1.204
66ペルー0.2260.117+7.031
67オマーン0.2250.117-25.34
68フィリピン0.2190.114+1.247
69パレスチナ0.1890.0985-3.731
70ベネズエラ0.1820.0949-0.0459
71ハンガリー0.1770.0922+28.67
72マレーシア0.1640.0852-15.63
73アルメニア0.1590.0825-14.75
74セネガル0.1530.0795+1.291
75イエメン0.1510.0784-13.11
76タイ0.140.0727+1.773
77北マケドニア0.1160.0605-23.02
78ブルガリア0.1160.0601-8.548
79セルビア0.1140.0592-23.1
80ドイツ0.1010.0525-1.096
81ボリビア0.08790.0457+1.181
82ルワンダ0.08440.0439+4.111
83スリランカ0.08040.0418-8.704
84アラブ首長国連邦0.07790.0405-0.0601
85ニカラグア0.07420.0386-18.97
86ホンジュラス0.0730.0379-4.211
87北朝鮮0.06640.0345+0.0555
88クウェート0.06610.0344+11.91
89イギリス0.06340.033-7.148
90オーストリア0.0570.0296-0.0527
91コスタリカ0.05660.0294+0.652
92ジョージア0.05550.0289+24.72
93ニュージーランド0.05170.0269-0.194
94ボスニア・ヘルツェゴビナ0.05110.0266+51.36
95コンゴ民主共和国0.05090.0265+0.367
96コートジボワール0.04830.0251+0.415
97モルドバ0.04340.0226-7.692
98パラグアイ0.04230.022-10.39
99マダガスカル0.04070.0212+0.247
100エクアドル0.04010.0208-23.26
101ウガンダ0.03830.0199-0.342
102エチオピア0.03610.0188+4.997
103ウルグアイ0.03610.0187+0.0192
104スイス0.03550.0185-3.272
105フィンランド0.03090.016-9.451
106カタール0.02770.0144+2.568
107ガイアナ0.02690.014+2.331
108ザンビア0.0260.0135+0.119
109ジャマイカ0.02540.0132-14.4
110ソマリア0.0240.0125-0.284
111エルサルバドル0.02260.0117-4.613
112パナマ0.02240.0117-11.24
113クロアチア0.02240.0116-13.31
114モーリシャス0.02040.0106+42.85
115チェコ0.02030.0106+50.82
116シエラレオネ0.01970.0103+0.593
117プエルトリコ0.01960.0102+0.596
118スロバキア0.01950.0101+14.12
119スウェーデン0.01750.00909+1.099
120ノルウェー0.01510.00785+11.25
121キプロス0.0130.00674-9.993
122コモロ0.01150.00597+1.566
123デンマーク0.01140.00592
124カーボベルデ0.009990.00519-0.939
125バーレーン0.009450.00491+6.169
126ナミビア0.008840.0046-0.496
127マルタ0.008230.00428+12.59
128リトアニア0.008140.00423-56.12
129スロベニア0.008070.0042-22.1
130バハマ0.007710.00401+0.437
131エスワティニ0.005290.00275+0.211
132トーゴ0.005280.00275+0.304
133ラトビア0.004710.00245-2.079
134メラネシア0.004230.0022+24.07
135コンゴ0.003870.00201-0.378
136リベリア0.003560.00185-0.728
137アイルランド0.003510.00183-4.878
138フィジー0.003190.00166+34.74
139ハイチ0.00230.0012+0.625
140モンゴル0.002160.00112-1.771
141ポリネシア0.002080.00108-2.419
142ボツワナ0.002050.00106-67.47
143モンテネグロ0.001610.000835-16.16
144ジブチ0.001580.000824+6.69
145ベリーズ0.001520.000792+11.9
146トリニダード・トバゴ0.001370.000713-58.96
147アイスランド0.00120.000624-17.86
148スリナム0.000930.000484+33.86
149フランス領ポリネシア0.0009280.000483-4.824
150トンガ0.0008730.000454-0.515
151バルバドス0.0008410.000437-7.15
152東ティモール0.0005960.00031-0.391
153パプアニューギニア0.0005390.00028+0.00185
154バヌアツ0.00050.00026-0.398
155グレナダ0.0004550.000237-32.99
156セイシェル0.000450.000234-0.458
157ドミニカ0.0004210.000219-0.187
158ガボン0.0003490.000181-0.195
159クック諸島0.0002810.000146-0.0143
160セントルシア0.0002380.000124-12.82
161モルディブ0.000230.00012+0.555
162ブータン0.0002060.000107+0.287
163ブルネイ0.0001417.34E-5-0.445
164ルクセンブルク0.000126.24E-5-7.692
165セントクリストファーネイビス8.4E-54.37E-5-52
166アンティグアバーブーダ8.09E-54.21E-5-10.62
167エストニア8.0E-54.16E-5-20
168ミクロネシア4.7E-72.44E-7
169ナウル4.7E-72.44E-7
170シンガポール1.0E-75.2E-8-67.74
トマトの生産量
トマトの生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

トマトの現状と今後

トマトは果菜類の中でも特に重要な作物であり、世界中で広く栽培されています。栄養価の高さ、加工適性の良さ、そして通年需要の高さにより、食料・経済の両面で国際農業における中心的な存在です。


世界全体の生産推移と現況

2023年の世界全体のトマト生産量は192.3Mtで、前年比+3.049%の増加を示しました。世界の人口増加と都市部の消費拡大、加工食品需要の高まりが主な背景です。特に温室・施設園芸の導入によって、気候に左右されにくい安定生産が拡大しています。


中国:世界のトマト供給を支える巨人

中国のトマト生産量は70.21Mtと、世界全体の36.5%を占める圧倒的な規模です。近年も+2.666%と安定した成長を見せており、内需と輸出の双方を背景に拡大を続けています。施設園芸や機械化の導入が進んでおり、低コスト高収量を実現しています。


インド:高温多湿と収量の壁

インドは20.43Mtと中国に次ぐ規模ですが、前年比-1.3%とやや減少しました。高温期の病害虫被害や流通インフラの課題が影響しており、今後の成長には耐病性品種の導入や冷蔵物流網の整備が不可欠です。


アメリカ:生産急増の背景と課題

アメリカのトマト生産量は12.37Mtで、前年比+20.87%と大幅増加しました。これは主に西海岸を中心とした施設栽培の回復と、加工用トマトの需要増が寄与しています。環境配慮型の農法導入が進む1方、水資源の制約が今後のリスク要因です。


ヨーロッパ諸国の動向:イタリアとスペインの対比

イタリア(6.016Mt)は前年比-1.961%とやや減少。1方、スペイン(3.968Mt)は+8.667%と好調でした。両国とも加工用トマトの輸出が主軸で、気候条件とEU農業政策の影響が大きいです。スペインは再生可能エネルギー活用型の温室栽培が成長要因の1つです。


中東・アフリカの新興勢力

エジプト(6.211Mt、-2.459%)やナイジェリア(3.804Mt、+5.633%)では、気候条件と農業投資の差が明暗を分けました。エジプトは灌漑や水管理の課題が生産減の背景にあり、ナイジェリアは需要拡大を背景に栽培面積が拡大しています。


中南米の成長と課題

メキシコ(4.395Mt、+4.194%)とブラジル(4.166Mt、+9.093%)は、輸出指向の施設園芸と国内需要の増加に支えられ、トマト生産が堅調に推移しています。特にメキシコはアメリカ市場向けの供給が主軸で、品質管理と物流体制が強化されています。


今後の展望とリスク

トマトの世界生産は今後も緩やかに拡大していくと見られますが、以下の要因が鍵を握ります:

  • 気候変動対応型農業:高温耐性・病虫害耐性品種の育成が急務

  • スマート農業の導入:水資源の効率的利用と精密管理の普及

  • 輸出入の柔軟性:貿易摩擦や為替変動への備え

  • 労働力不足の克服:ロボット化・自動化の推進

とくに乾燥地域や気候変動の影響が強い地域では、灌漑技術とエネルギーコストの管理が生産持続のカギとなるでしょう。


第10結論

トマトは世界の食卓に欠かせない作物であり、今後も主要農産物として重要な役割を担うことに変わりありません。生産量では中国が主導的立場にあり、アメリカやスペインなどが技術面で追随しています。インドやアフリカ諸国では潜在力は大きいものの、気候や流通網などの課題が明確です。気候変動・人口動態・技術革新を視野に入れた戦略的農業政策が、今後の世界のトマト生産の命運を左右するでしょう。

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