2023年の世界のトマト生産量は192.3Mtに達し、過去最高を記録しました。中国が全体の36.5%と最大の生産国で、続くインドやアメリカ、トルコも重要な供給国です。アメリカは前年比で20.87%と大幅増加し、気候や需給の回復が背景にあります。一方でインドやエジプト、イタリアは減少傾向にあり、気候変動や経済的要因が影響しています。今後は、食用だけでなく加工品や輸出用途の需要も見込まれ、生産・供給体制の多様化が進むと予想されます。
生産量のデータとグラフ
トマト生産量の最大と最新
世界 | 中国 | インド | トルコ | アメリカ | エジプト | イタリア | メキシコ | |
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最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 2023年 | 2023年 | 2021年 | 2023年 | 2014年 | 2009年 | 2004年 | 2018年 |
最新値[Mt] | 192.3 | 70.21 | 20.43 | 13.3 | 12.37 | 6.211 | 6.016 | 4.395 |
最大値[Mt] | 192.3 | 70.21 | 21.18 | 13.3 | 15.88 | 10.28 | 7.683 | 4.559 |
前年比[%] | 3.049 | 2.666 | -1.3 | 2.308 | 20.87 | -2.459 | -1.961 | 4.194 |
全体比[%] | 100 | 36.51 | 10.62 | 6.916 | 6.432 | 3.23 | 3.128 | 2.285 |
これまでの推移


詳細なデータとグラフ
トマト生産量についての推移と展望
トマトは、果実野菜の中でも最も生産量の多い品目のひとつであり、生食・加工・輸出用として世界中で重要な役割を果たしています。その多様な用途により、生産の地域的分散と国際競争が進んでおり、農業だけでなく食品産業や貿易にも大きな影響を与えています。
世界全体の推移と現状(1961年〜2023年)
世界のトマト生産は、1961年の約2,800万トンから2023年の192.3Mtまで飛躍的に増加しました。近年では気候変動による不安定な年もあるものの、2023年は前年比3.049%増と堅調な伸びを示しています。これは、主にアメリカ・中国・トルコなどの増産によるものです。
中国:世界最大のトマト大国
中国は70.21Mtを生産し、世界の36.51%を占めています。地域ごとに生産品種や用途が分かれており、生食用・加工用の両方に対応した供給体制を整えています。前年比は2.666%の増加と安定した成長を見せており、今後も内需と輸出両面での強さが期待されます。
インド:成長から一転、やや減速
インドは20.43Mtと世界第2位ですが、前年比では-1.3%とやや減速。モンスーンの影響や輸送インフラの課題が影響しています。農業政策の支援や市場価格の不安定さも課題となっており、技術革新や集約農業の導入が鍵を握ります。
アメリカ:急回復の背景と構造的強み
アメリカは前年比20.87%増の12.37Mtと大幅な回復を遂げました。主な生産地であるカリフォルニア州では、干ばつ緩和や灌漑の整備が寄与したと見られます。また、アメリカは加工用トマトの一大供給国であり、缶詰、ソース、ケチャップなどの加工需要が市場を支えています。
トルコ・エジプト・イタリア:地域の要所と気候の影響
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トルコ(13.3Mt、前年比2.308%増)はEU向けの輸出拠点として重要。多収品種の導入と温暖な気候により、安定した生産力を誇ります。
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エジプト(6.211Mt、-2.459%減)は砂漠農業の進展で注目されていましたが、水不足と輸送難で生産減。
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イタリア(6.016Mt、-1.961%減)は加工用トマトの伝統的供給国ながら、近年は人手不足と高コストが課題に。
メキシコ:成長する輸出国
メキシコは4.395Mtで前年比4.194%の増加。アメリカ市場向けの生食用トマトが中心で、近代的な温室農業の導入が生産力を高めています。北米自由貿易協定(USMCA)下での競争力も強化されています。
今後の予測と課題
今後、世界のトマト需要は安定的に増加すると見られます。理由は以下の通りです:
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加工食品市場の拡大
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健康志向の高まりによる生食需要増
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アジア・アフリカでの消費拡大
ただし、生産には以下の課題がつきまといます:
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気候変動:干ばつ・豪雨などによる収量不安定
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労働力不足:高齢化と移民規制が影響
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水資源管理:特に乾燥地域での灌漑依存
こうした課題への対応として、スマート農業、AIによる需給予測、水耕・温室栽培の導入などが各国で進められています。
まとめ
トマトは、食卓の必需品から加工食品まで広範囲に利用される重要作物であり、今後もその戦略的価値は高まる一方です。主要生産国の動向だけでなく、新興国の技術導入や環境政策の影響も、生産と市場の鍵を握ります。
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