2025年4月時点でジャム1瓶150gの全国平均小売価格は271.4円で、前年同月比で+14.83%と大幅な上昇を記録しています。特に宮崎や佐賀、大分など地方都市では300円を超える水準に達し、果実原料や砂糖価格の上昇、輸送費の増加、地域ブランド志向の高まりが背景にあります。一方、名古屋や前橋などでは依然として200円台前半の価格帯を維持。今後も価格は高止まりもしくは緩やかな上昇が続くと見込まれ、消費者・小売業双方にとって柔軟な対応が求められます。
小売物価統計
ジャム小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 宮崎 | 佐賀 | 大分 | 青森 | 和歌山 | 熊本 | 長崎 | 神戸 | 水戸 | 山口 |
最新値[円] | 271.4 | 322 | 322 | 321 | 311 | 302 | 301 | 300 | 300 | 295 | 295 |
前年同月比[%] | +14.83 | +27.78 | +33.61 | +29.96 | +26.42 | +21.77 | +19.44 | +19.05 | +16.73 | +17.06 | +31.11 |
ジャム小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 名古屋 | 前橋 | 奈良 | 長野 | 千葉 | 岐阜 | 高松 | 徳島 | 大津 | 京都 |
最新値[円] | 271.4 | 214 | 225 | 235 | 236 | 240 | 241 | 241 | 243 | 247 | 252 |
前年同月比[%] | +14.83 | -2.174 | +9.813 | +15.69 | +7.143 | +2.553 | +5.195 | +4.564 |
ジャムの推移


詳細なデータとグラフ
ジャムの現状と今後
2025年4月時点で、ジャム1瓶(150g)の全国平均小売価格は271.4円。前年比では+14.83%と、食料品全体の中でもかなりの値上がり率を記録しています。
高価格地域(300円以上)
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宮崎・佐賀(322円)
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大分(321円)
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青森(311円)
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和歌山(302円)これらの地域は、果実の産地としても知られ、地元ブランドや特産品のジャムが高価格帯を形成しています。また、地方都市では物流コストの上乗せや、観光地向けのプレミアム商品が売れ筋となっている可能性もあります。
低価格地域(250円未満)
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名古屋(214円)
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前橋(225円)
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奈良(235円)
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長野・千葉(236〜240円)これらの地域では、大手量販店やPB(プライベートブランド)製品が多く流通し、価格競争力の強い市場構造となっています。
過去の価格推移と上昇の背景要因
原材料価格の高騰
ジャムの主成分である果実(いちご、ブルーベリー、りんごなど)の価格は、天候不順や農家の高齢化により年々高騰しています。特に輸入果実は円安や輸送費上昇の影響を受けやすく、ジャム製品全体のコストを引き上げています。
砂糖価格の国際的高騰
ジャムには砂糖が欠かせません。近年の国際的な砂糖相場の上昇と、国内製糖企業の供給調整により、製造原価が押し上げられています。これは他の加工食品と比較してもジャムの価格上昇を加速させる要因です。
エネルギー・包装コストの増加
瓶詰め商品のため、ガラス容器の価格や加熱・滅菌処理のエネルギー費用も高く、全体的な製造コストの増加要因となっています。容器資材の原油由来コストも無視できません。
地域別価格差の構造と消費傾向
高価格地域の特徴
宮崎や佐賀などは、地元産果実を使った「地産地消型ジャム」が流通しており、観光客や地元消費者が品質に対価を払う文化が形成されています。また、県内メーカーの小規模流通によって価格調整の余地が少なく、競争原理が働きにくい点も高価格の1因です。
低価格地域の構造
名古屋や前橋などでは、全国チェーンのスーパーやドラッグストアで安価なPB商品が流通しており、価格が低水準にとどまっています。これらの地域では、ジャムの購買が「日常品」として捉えられており、機能性や高級感よりも価格重視の購買傾向が強いことが特徴です。
今後のジャム価格の見通し
上昇傾向は緩やかに継続
果実・砂糖・容器資材など、構成原価のほぼすべてにおいて上昇圧力が存在しており、今後もジャム価格は基本的に高止まりまたは緩やかな上昇を続けると見込まれます。
内容量の調整(ステルス値上げ)の可能性
価格を1定に保つ代わりに、内容量を減らす実質値上げが進む可能性が高く、150gという基準も将来的に135gや120gへ移行する企業も出てくると予想されます。
プレミアム化と分化の進行
健康志向・無添加志向の高まりにより、今後はプレミアム系ジャム(オーガニック、糖質カット、果肉ごろごろ系など)と、価格重視の廉価商品との2極化が進むでしょう。特に高齢者層と若年層で志向が分かれる中で、製品の幅が広がることで平均価格はやや押し上げられる傾向があります。
消費者と小売業への示唆
消費者へのアドバイス
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内容量の変化や実質価格の動向に敏感になる
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複数の店舗で価格比較し、地元産やセール商品を賢く選択
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フルーツソースや冷凍果実を代替する「脱ジャム消費」も選択肢
小売業者への提案
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地域限定のPB商品開発により差別化を図る
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150g未満の小容量ラインを展開し、価格の心理的負担を軽減
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地元果実を用いた限定品で「地域密着型ブランド力」を強化
まとめ
ジャム1瓶150gの価格は近年で急騰傾向にあり、前年比でも+14%超という大きな上昇が確認されました。上昇の要因は果実・砂糖・容器・エネルギーと多岐にわたり、単なるインフレ以上の構造的変化が背景にあります。今後は価格の高止まりとプレミアム化・廉価化の2極化が進行し、消費者の購買行動も分化していくでしょう。食品全般の中でも、ジャムは「贅沢品と日用品の狭間」にある商品として、社会的・経済的な動きと密接に関係しています。
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