2025年4月時点で日本のコーヒー飲料1Lの平均小売価格は156.2円。和歌山184円、秋田173円などの高価格地域と、鹿児島124円、熊本131円などの低価格地域との間に顕著な地域差がある。前年同月比では平均で6.67%上昇しており、那覇や徳島では20%超の値上がりが見られる一方、鹿児島や大分などでは10%以上の値下がりも確認された。今後は原材料価格や物流コストの影響により、価格は上昇傾向が続くと予想されるが、消費者ニーズの多様化やPB商品の台頭が価格抑制要因となる可能性もある。
小売物価統計
コーヒー飲料小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 和歌山 | 秋田 | 水戸 | 那覇 | 横浜 | 富山 | 鳥取 | 徳島 | 京都 | 奈良 |
最新値[円] | 156.2 | 184 | 173 | 172 | 170 | 169 | 169 | 168 | 167 | 166 | 165 |
前年同月比[%] | +6.669 | +12.2 | +13.82 | -1.149 | +24.09 | +11.92 | +11.18 | +15.86 | +21.9 | +9.934 | +9.272 |
コーヒー飲料小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 鹿児島 | 熊本 | 甲府 | 札幌 | 青森 | 仙台 | 大分 | 佐賀 | 宇都宮 | 新潟 |
最新値[円] | 156.2 | 124 | 131 | 131 | 137 | 143 | 145 | 145 | 146 | 146 | 146 |
前年同月比[%] | +6.669 | -17.88 | +16.96 | +5.645 | +1.481 | -6.536 | +8.209 | -16.67 | +3.546 | -9.877 | -12.57 |
コーヒー飲料の推移


詳細なデータとグラフ
コーヒー飲料の現状と今後
2025年4月時点でのコーヒー飲料(1L)の全国平均小売価格は156.2円です。高価格帯を見ると、最も高いのは和歌山の184円で、秋田173円、水戸172円、那覇170円と続きます。1方、最も安いのは鹿児島の124円で、熊本・甲府が131円、札幌が137円などとなっており、最高値と最低値の差は60円にのぼります。
この価格差は、以下の要因によって形成されています。
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地域の物流コスト(特に離島や山間部など)
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地元消費者の購買力・嗜好
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小売店間の競争状況
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PB(プライベートブランド)商品の比率
前年同月比の価格動向とその背景
2025年4月のデータによると、前年同月比での価格上昇は平均+6.669%と、明らかなインフレ傾向が見られます。とくに、那覇(+24.09%)、徳島(+21.9%)、鳥取(+15.86%)、秋田(+13.82%)などの地方都市で、2ケタ台の価格上昇が目立ちます。これは以下のような複合要因によるものと考えられます。
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原材料費の上昇:コーヒー豆や砂糖、ミルクといった素材の国際価格の高騰。
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包装資材費や人件費の増加:ペットボトルや紙パックなどの製造コストが上昇。
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物流コストの上昇:燃料費の高騰、労働力不足による運送費増。
1方で、鹿児島(-17.88%)や新潟(-12.57%)、大分(-16.67%)といった地域では価格が大幅に下落しています。これは、以下のような供給側および需要側の動向が背景にある可能性があります。
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地元小売店による値下げキャンペーンや在庫処分
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低価格PB商品の販売増加
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地域の消費減退に伴う価格競争の激化
過去10年における価格の長期的な推移
データ期間である2013年6月から2025年4月までを見通すと、以下のような変遷が見られます。
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2013年〜2016年頃:価格は比較的安定。円高の影響もあり、原材料の輸入価格は抑えられていた。
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2017年〜2019年:徐々に価格が上昇。国際的なコーヒー豆の需給逼迫や原油高による物流費上昇が影響。
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2020年〜2021年(コロナ禍):1時的に価格が下がる傾向。外出自粛により在宅需要が増え、廉価商品が好まれた。
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2022年以降:世界的インフレや円安の影響で価格上昇が顕著に。2024年から2025年にかけても6〜7%台の上昇が続いている。
今後の価格推移と予想されるリスク
上昇傾向の持続
2025年以降も、原材料価格の高止まり、円安、物流費増加の3拍子が揃っているため、コーヒー飲料1Lの価格は引き続き緩やかな上昇が予想されます。特に価格が安定していた地域も、今後は値上げ圧力にさらされる可能性があります。
価格抑制要因も存在
1方で、以下のような要因が価格上昇を抑える可能性もあります。
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PB商品の拡充:低価格志向に応える商品展開。
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代替飲料の人気:麦茶・ミネラルウォーターなどへのシフト。
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技術革新:容器コスト削減や流通効率化による価格圧縮。
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消費者の節約志向:物価高騰下で、家庭の支出を抑える動きが強まる。
今後の注目ポイントと政策的視点
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地方と都市の価格差拡大への対策:物流支援、地域インフラ整備などが必要。
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物価上昇と生活コストのバランス:政府や小売業界による価格情報の透明化、補助金や軽減税率の再検討。
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サステナブルな生産体制の構築:環境対応型の原材料調達、リサイクル容器の推進などが価格と品質の両立に繋がる可能性。
まとめ
日本のコーヒー飲料1L価格は、2025年4月時点で156.2円。10年以上にわたり緩やかな上昇を続けており、地域間には60円近い価格差が存在します。原材料価格や物流コストの高騰、円安の影響で今後も上昇傾向は続く見込みですが、PB商品や節約志向の拡大によって価格が抑制される可能性もあります。政府や業界の対応によって、持続可能かつ手頃な価格が維持されるかどうかが今後の焦点となります。
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