2025年4月時点で日本のケーブルテレビ受信料の平均は3,791円。都市部で高く、地方で安価な傾向がある。インターネットや動画配信との競合、加入者の高齢化、インフラ更新などが価格に影響。今後は多機能化や地域密着の価値を軸に、価格は地域差を維持しつつ緩やかに上昇が続くと見られる。
小売物価統計
ケーブルテレビ受信料小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 西宮 | 福岡 | 神戸 | 姫路 | 北九州 | 伊丹 | 京都 | 札幌 | 旭川 | 函館 |
最新値[円] | 3791 | 4900 | 4900 | 4900 | 4900 | 4900 | 4900 | 4900 | 4300 | 4300 | 4300 |
前年同月比[%] | +1.566 | +13.16 | +13.16 | +13.16 |
ケーブルテレビ受信料小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 和歌山 | 那覇 | 佐世保 | 長崎 | 宇部 | 八戸 | 富士 | 浜松 | 静岡 | 鳥取 |
最新値[円] | 3791 | 2300 | 3075 | 3086 | 3086 | 3200 | 3300 | 3300 | 3300 | 3300 | 3300 |
前年同月比[%] | +1.566 | +26.92 |
ケーブルテレビ受信料の推移


詳細なデータとグラフ
ケーブルテレビ受信料の現状と今後
2025年4月現在、日本におけるケーブルテレビ受信料の全国平均は3,791円となっている。これはテレビ放送に対する個人の負担額としては決して小さくない水準であり、通信環境の進化とともに変化してきた価格の1端を示している。
価格が最も高いのは西宮、福岡、神戸、姫路、北9州、伊丹、京都で、いずれも4,900円と全国最高水準を記録している。北海道の札幌・旭川・函館も4,300円と高額であり、特定の都市で高値が集中している様子がうかがえる。
1方、最も安い地域は和歌山の2,300円で、那覇(3,075円)、佐世保・長崎(3,086円)などが続き、地方部で相対的に低価格となっている。
2010年から2025年の価格推移と背景
ケーブルテレビ受信料は2010年ごろには3,000円前後の水準が1般的だったが、それから15年の間に徐々に価格が上昇し、2025年には全国平均で3,791円に達している。
2025年4月時点の前年比は+1.566%と、全体としては緩やかな上昇である。しかし、地域によっては札幌・旭川・函館で+13.16%、鳥取では+26.92%と大幅な上昇も見られ、地域差の顕在化が進んでいる。
この価格上昇には以下のような要因が影響している:
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設備維持・更新コストの上昇(光回線化、HD化など)
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コンテンツ提供料の上昇(スポーツ、映画など有料チャンネル)
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契約者数の減少による固定費の圧迫
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地域ごとの行政支援や補助の有無
ケーブルテレビ業界の構造的課題
ケーブルテレビ業界は、いまやインターネット・動画配信サービス(VOD)との競争の只中にある。
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サブスクリプション型サービスとの競合NetflixやAmazon Prime Video、ABEMAなどの動画配信サービスが台頭し、月額1,000〜2,000円で多様なコンテンツを提供していることが、ケーブルテレビの価格に対する割高感を生んでいる。
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加入者の高齢化と地域格差加入者は高齢層に偏っており、若年層の多くは地上波かVODに移行している。これが新規加入を難しくし、受信料単価の上昇に拍車をかけている。
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インフラ更新の負担地方都市を中心に光ファイバー化や4K対応などの設備投資が進められているが、その負担は契約者に転嫁される傾向にある。
地域ごとの受信料差の背景
地域間で2,000円以上の価格差が生じていることは、以下の要素に起因する。
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事業者の競争有無:独占的に運営されている地域では価格が高くなりがちで、逆に複数事業者が存在する地域では競争によって価格が抑えられる。
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行政との連携体制:自治体によっては、CATVを防災・地域情報インフラとして活用しているケースもあり、補助金や公共出資によって価格が安定している。
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都市部と地方のコスト構造:都市部では設備の密度が高く、配線コストが低いため利益を確保しやすいが、地方では1軒あたりのコストが高くなる。
今後のケーブルテレビ受信料の展望
今後、ケーブルテレビ受信料がどのように推移するかは、以下の3つのシナリオが考えられる。
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価格上昇シナリオ加入者の減少が止まらない場合、1人あたりの負担増は不可避。特に地方ではインフラ維持のために価格改定(値上げ)が続く可能性が高い。
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多機能型サービスへの移行による価格維持ケーブルテレビ事業者が、インターネット接続、電話、防犯カメラ連携、地域SNSなどをパッケージにして提供することで、価格の正当化と維持を図る動きが進む。
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VODへの対抗策としての値下げ圧力若年層の囲い込みやVODとの差別化のために、1部サービスでは基本料金の引き下げや無料コンテンツの充実を行う動きも予想される。
生活者としての視点と選択
消費者としては、ケーブルテレビ受信料が情報・娯楽・地域連携・安心の対価であることを意識することが重要である。VODの方が安く見える場合もあるが、ケーブルテレビは次のような独自の価値を持つ:
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地域密着型のローカル番組(例:地元高校野球中継)
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災害情報・行政情報のリアルタイム配信
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高齢者にとっての扱いやすさと信頼性
よって、価格だけでなく、提供される“地域価値”を踏まえて選択する視点が今後ますます求められる。
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