日本のケーキ1個あたりの小売価格は2015年以降上昇傾向にあり、2025年3月時点の全国平均は505.3円。都市によって価格差が大きく、大津や京都では600円台、一方で長野や宮崎などでは400円以下も見られる。特に地方都市での価格上昇率が高く、物価や人件費、原材料の高騰が影響。今後は高止まりが続く見通しで、地域特性や消費傾向を踏まえた価格戦略が鍵となる。
菓子類・飲料の都市別小売価格
ケーキ価格の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 大津 | 京都 | 金沢 | 奈良 | 横浜 | 広島 | 東京都区部 | 神戸 | 山形 | さいたま |
最新値[円] | 505.3 | 660 | 648 | 637 | 613 | 596 | 594 | 581 | 580 | 573 | 572 |
平均比[%] | 100 | 130.6 | 128.3 | 126.1 | 121.3 | 118 | 117.6 | 115 | 114.8 | 113.4 | 113.2 |
前年月同比[%] | 5.08 | 11.3 | 8.908 | 2.247 | 2.337 | 6.05 | 19.52 | 6.606 | 8.614 | 39.42 | 2.143 |
ケーキ価格の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 長野 | 宮崎 | 甲府 | 青森 | 福井 | 鹿児島 | 大分 | 鳥取 | 前橋 | 福島 |
最新値[円] | 505.3 | 385 | 399 | 404 | 406 | 415 | 421 | 432 | 432 | 435 | 442 |
平均比[%] | 100 | 76.2 | 78.97 | 79.96 | 80.36 | 82.14 | 83.32 | 85.5 | 85.5 | 86.1 | 87.48 |
前年月同比[%] | 5.08 | 0 | 0 | 7.733 | 7.692 | 0 | 0 | 5.109 | 3.597 | 6.098 | 11.06 |
これまでの洋菓子の推移


詳細なデータとグラフ
ケーキの現状と今後
2015年から2025年3月までの10年間において、日本のケーキの小売価格は緩やかながらも上昇傾向を示しています。2025年3月時点での全国平均価格は505.3円で、ここ数年のインフレ傾向を反映しています。特に2022年以降は原材料価格やエネルギー費の高騰、輸送コストの上昇が影響し、値上げの動きが全国で加速しています。以前は400円台前半が主流だった価格も、今や500円台が一般的となり、都市によっては600円台半ばに達しています。
都市別価格の特徴と地域格差
都市別に見ると、最も高いのは大津市(660円)で、以下京都市(648円)、金沢市(637円)、奈良市(613円)と続きます。これらの都市はいずれも観光地として知られ、地元の素材や伝統を活かした高級ケーキの需要が高く、価格帯もそれに合わせて上昇していると考えられます。
一方、最も安価なのは長野市(385円)で、次いで宮崎市(399円)、甲府市(404円)など、地方都市や人口密度が比較的低い地域が目立ちます。これらの都市では競争環境や購買力の差から、価格を抑える傾向が強く表れています。
価格上昇率の地域差と注目すべき動き
価格の上昇率にも注目すると、特に低価格圏の都市での上昇幅が非常に大きいことがわかります。たとえば福島市(+87.48%)、前橋市(+86.1%)、鳥取市・大分市(ともに+85.5%)などでは、約2倍近くの価格上昇が見られました。これは、以前の価格水準が極めて低かったこと、また物価上昇に対応する形で急激な値上げを迫られた結果と見られます。
逆に、価格が高い都市では上昇率が比較的抑えられており、金沢市(+2.247%)、奈良市(+2.337%)、さいたま市(+2.143%)などでは安定した推移を見せています。すでに価格が高水準にあるため、過度な値上げを避ける販売戦略が取られていると推察されます。
価格高騰の要因
ケーキの価格上昇には、いくつかの構造的な要因があります。
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原材料価格の高騰 小麦粉、乳製品、バター、卵など、ケーキの主原料が世界的な需給バランスの崩れにより価格上昇。特に2022〜2023年のウクライナ情勢以降、小麦の供給不安が影響しました。
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エネルギーコストの上昇 製造・輸送・冷蔵保存にかかる電力・燃料費の高騰が、間接的に価格へ転嫁されています。
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人件費の上昇 人手不足によるベーカリー・パティスリー業界の人件費上昇が、販売価格の上昇要因に。
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消費者ニーズの多様化と高付加価値志向 安全性、無添加、地元素材、オーガニックなど、より品質の高いケーキを求める声が増え、それに応える形で価格が引き上げられています。
今後の展望と課題
今後、ケーキの価格は一定程度の高止まりが続くと予想されます。消費者の節約志向と高品質志向が交錯する中で、店舗側は価格と価値のバランスに苦慮するでしょう。また、地域ごとの購買力や観光需要にも左右されやすく、今後は地域経済の動向や人口動態の変化も、ケーキ価格に影響を与えることになります。
一方で、地元の素材を活かした新たなブランドケーキや、冷凍配送技術を活かした通販ケーキの拡大など、新たな価格帯や市場の形成も期待されています。
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