クレジット購入の地域差と今後の動向|家計調査に見る日本の家計変化

借入(勤労世帯)



家計調査によると、近年の日本の勤労世帯におけるクレジット購入は拡大傾向にあり、特に富山市や千葉市、名古屋市など都市部を中心に大幅な増加が見られます。一方で、九州地方や四国地方では依然として低水準にとどまる地域もあり、地域間格差が顕著です。背景には物価上昇、キャッシュレス化、耐久消費財の購入増などがあり、今後も中堅所得層を中心に拡大が続くと見込まれますが、返済能力や家計管理への課題も浮上しています。

クレジット購入の家計調査結果

クレジット購入の多い都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 全国 富山市 千葉市 名古屋市 岡山市 東京都区部 金沢市 甲府市 長崎市 広島市 奈良市
最新値[万円] 15.32 43.05 27.44 26.36 23.03 22.7 20.4 20.08 19.83 19.27 19.09
前年月同比[%] +20.43 +262 +61.21 +42.82 +111.1 -4.377 +60.35 +102.1 +164.7 +93.96 -19.42

クレジット購入の少ない都市

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 全国 徳島市 宮崎市 大分市 那覇市 和歌山市 鳥取市 青森市 神戸市 秋田市 熊本市
最新値[万円] 15.32 7.866 7.956 8.02 8.179 8.215 8.254 8.695 9.761 9.953 10.21
前年月同比[%] +20.43 -17.62 -48.84 +20.92 +3.817 -20.42 -8.317 +6.165 -5.539 -46.65 -51.45

 

これまでのクレジット購入の推移

クレジット購入の推移
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

クレジット購入の現状と今後

近年の日本では、キャッシュレス決済の普及やオンラインショッピングの増加に伴い、クレジットカードを利用した「後払い型」の消費行動が拡大しています。2025年3月時点の家計調査では、勤労世帯の全国平均で1世帯当たり15.32万円のクレジット購入が記録されており、2020年以降の傾向と比べても高水準を維持しています。クレジット購入の主な内訳としては、家電・家具などの耐久消費財や、旅行・教育費など一時的な支出が多く、またコロナ禍を経た「買い控えの反動」も影響しています。


都市ごとの特徴と格差

最新データで最もクレジット購入額が高かったのは富山市で、1世帯あたり43.05万円と、全国平均の2倍以上に達しています。続く千葉市や名古屋市、岡山市も20万円台後半から中盤で高水準です。これらの都市は比較的可処分所得が高く、教育・住宅・車両関連などで大型支出が多い傾向にあります。反対に、徳島市(7.87万円)や宮崎市(7.96万円)など、四国・九州地方ではクレジット購入が抑制的です。これは所得水準、クレジット利用慣習、商業インフラの差によるもので、都市部と地方の間に明確なギャップが存在します。


世代間の差異と利用目的

クレジットカードの利用には世代差も顕著です。若年層(20~30代)は、ネットショッピングやサブスクリプションサービスの支払いに利用し、中高年層(40~60代)は大型出費や教育関連、医療費補填などに使用する傾向が強いです。高齢層は依然として現金志向が強い一方で、一部はリボ払いや分割払いを利用し始めており、今後の注意が必要です。なお、リボ払い・ボーナス払いの利用は、家計の見えにくさや利息負担増につながるリスクもあります。


問題点と今後の課題

クレジット購入の増加は、家計の柔軟性を高める一方で、返済負担の見通しの甘さによる借金の積み上げや、リボ払いや多重債務化のリスクを伴います。特に富山市のように急激に利用額が増加している都市では、クレジットカードに頼った家計運営が常態化している可能性も否定できません。金融リテラシーの底上げや、利用履歴の把握、収支バランスの見直しが今後重要になります。


今後の推移と展望

2025年以降もキャッシュレス推進政策やポイント還元制度の拡充によって、クレジットカード利用は拡大すると見込まれます。特に中堅所得層が、インフレによる可処分所得の減少を補うために、一時的にクレジット購入に依存する傾向が強まるでしょう。ただし、過剰な利用による返済難リスクも潜在しており、消費者庁や金融機関の対応(利用明細の見える化、限度額の設定指導など)が求められます。


【結語】

クレジット購入は、現代の家計支出において柔軟かつ便利な手段である一方、家計の見通しを不透明にしやすい側面を持っています。地域や世代による傾向を理解しつつ、過度な利用を避け、計画的な資金管理が求められる時代が続いています。今後の家計運営においては、「手軽さ」の裏にあるリスクも直視する必要があります。

 

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