キュウリの世界生産動向2023:中国が82%を占める驚異の現状と展望

生産量
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2023年の世界のキュウリ生産量は97.81Mtで、中国がその82%を占める圧倒的な供給国となっています。中国は前年比でも3.344%増と伸長しており、施設園芸と需要の強さが背景にあります。一方、トルコやスペインは気候や輸出市場の変動により減少。ロシアやウズベキスタン、ウクライナは安定的に増加しています。今後は、環境対応型農業やスマート農業の導入が進み、生産の地域分散と持続可能性が焦点となります。

生産量のデータとグラフ

キュウリ生産量の最大と最新

世界 中国 トルコ ロシア メキシコ ウズベキスタン ウクライナ スペイン
最新 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年
最大期 2023年 2023年 2022年 2015年 2019年 2023年 2021年 2020年
最新値[Mt] 97.81 80.22 1.872 1.68 1.037 0.9618 0.8743 0.7222
最大値[Mt] 97.81 80.22 1.939 1.91 1.192 0.9618 1.08 0.7949
前年比[%] 2.766 3.344 -3.448 2.725 0.7923 6.343 5.905 -6.211
全体比[%] 100 82.01 1.914 1.718 1.06 0.9832 0.8939 0.7383

これまでの推移

キュウリの生産量
最新の割合

詳細なデータとグラフ

キュウリ生産量についての推移と展望

キュウリは、世界中で日常的に消費される果実野菜であり、生食用のほか、漬物や調理用としても利用されています。短期間で収穫できることから、経済的な収益作物としても重要視されており、特に温室栽培の拡大とともに生産量が飛躍的に伸びてきました。


世界全体の推移と現状(1961年〜2023年)

1961年には1,000万トン台であった世界のキュウリ生産は、2023年には97.81Mtにまで拡大しました。前年比では2.766%増と安定的な成長を続けており、これは主に中国の生産拡大による影響が大きいとされます。


中国:世界最大のキュウリ生産国

中国は80.22Mtを生産し、世界全体の82.01%を占める圧倒的な存在です。前年比3.344%の増加で、年々生産量を増やし続けています。

  • 地域:山東省、河北省、河南省などの集約農業地域が中心

  • 栽培形態:ビニールハウスや温室を活用した施設園芸が発達

  • 背景要因:国内需要の安定、農業政策の支援、近代農業技術の普及

中国の圧倒的な供給力は、世界市場に対する価格形成にも大きな影響を与えています。


トルコ:欧州・中東向け輸出国の減退

トルコの生産量は1.872Mtで、前年比-3.448%と減少傾向。

  • 原因:気温の上昇や干ばつ、エネルギー価格の高騰による温室運営コストの上昇

  • 特徴:EUや中東への輸出が中心で、品質重視型の栽培が進む

今後は輸出競争力の回復が鍵となります。


ロシア・ウズベキスタン・ウクライナ:新興地域の台頭

  • ロシア1.68Mt(前年比+2.725%)。温室栽培の投資が進んでおり、自給率向上政策の影響も。

  • ウズベキスタン:0.9618Mt(+6.343%)と大幅増。中央アジアの農業成長が顕著で、地域市場への供給力を高めつつあります。

  • ウクライナ0.8743Mt(+5.905%)。戦時下にありながらも国内農業の回復力が評価されています。

これらの国は今後、中国に次ぐ中規模供給国としての地位を固める可能性があります。


メキシコとスペイン:市場変動に揺れる輸出国

  • メキシコ1.037Mt(+0.7923%)。主にアメリカ向けに生食用を輸出しており、温室栽培の効率化が進んでいます。

  • スペイン:0.7222Mt(-6.211%)と大幅減。気候変動やEU内価格競争、輸送コストの上昇が背景です。EU圏内での農薬基準など環境規制の影響もあり、生産構造の転換期にあります。


キュウリ生産の課題

気候変動

気温の上昇や異常気象が露地栽培や一部温室栽培に影響し、収量や品質にばらつきが出ています。

労働力不足

施設園芸における収穫や管理は手間がかかるため、各国で熟練農業労働者の不足が顕在化しています。

輸送・保存の問題

キュウリは水分含有量が多く、傷みやすいため、輸送時の品質保持や保冷流通体制が今後の流通強化のカギとなります。


今後の展望と予測

  • 中国の一極集中が続くと見られるが、地域リスク(疫病、気象災害)への備えが課題。

  • ロシア、ウズベキスタン、メキシコなどがサブ供給国として台頭し、生産の多極化が進む可能性。

  • スマート農業・AI管理・水耕栽培の導入が、効率性と環境負荷軽減の両立を図る手段として注目されています。

  • 世界的な健康志向やサステナブル食品市場の拡大により、生食向けキュウリの需要は堅調と予測されます。


まとめ

2023年時点で世界のキュウリ生産はほぼ中国が独占状態にありますが、他国も着実に生産体制の整備を進めています。今後は、安定供給と環境対応の両立が求められる中、各国の技術革新と政策支援が鍵を握ります。多極化と持続可能性が次のテーマとなるでしょう。

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