2025年6月時点でのキャベツ市場では、価格は沖縄・札幌・金沢などで高く、全国平均は77.67円/kg。卸売数量は東京都が最多で、全国的に数量・価格とも前年から減少傾向。気候安定による豊作や輸送改善が価格を押し下げ、生産者側の経営環境にも影響が出始めている。
キャベツの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 主要比 | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|---|
主要市場 | 77.67 | 100 | -9.69 | |
1 | 沖縄県 | 101.3 | 130.5 | -16.03 |
2 | 札幌市 | 97.67 | 125.8 | -11.75 |
3 | 金沢市 | 90.67 | 116.7 | -4.894 |
4 | 北九州市 | 86.67 | 111.6 | -8.127 |
5 | 広島市 | 84.33 | 108.6 | -9.319 |
6 | 名古屋市 | 83.33 | 107.3 | -4.58 |
7 | 神戸市 | 82.33 | 106 | -4.633 |
8 | 大阪市 | 78.33 | 100.9 | -6.746 |
9 | 横浜市 | 78 | 100.4 | -6.024 |
10 | 仙台市 | 77.67 | 100 | -7.171 |
11 | 京都市 | 76.67 | 98.71 | -10.16 |
12 | 福岡市 | 74.33 | 95.71 | -4.293 |
13 | 東京都 | 71.67 | 92.27 | -14 |
14 | 高松市 | 69.67 | 89.7 | -23.44 |
市場価格の推移

全国の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 主要比 | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|---|
主要市場 | 32.18 | 100 | -14.75 | |
1 | 東京都 | 12.77 | 39.7 | -15.78 |
2 | 大阪市 | 3.93 | 12.21 | -17.83 |
3 | 名古屋市 | 3.587 | 11.15 | -8.542 |
4 | 横浜市 | 3.24 | 10.07 | -0.826 |
5 | 福岡市 | 2.135 | 6.635 | -20.57 |
6 | 札幌市 | 1.445 | 4.491 | -11.62 |
7 | 京都市 | 1.28 | 3.978 | -18.37 |
8 | 広島市 | 0.97 | 3.015 | -12.69 |
9 | 仙台市 | 0.586 | 1.821 | -35.89 |
10 | 北九州市 | 0.507 | 1.576 | -28.79 |
11 | 高松市 | 0.479 | 1.489 | +29.81 |
12 | 沖縄県 | 0.474 | 1.473 | -16.4 |
13 | 神戸市 | 0.471 | 1.464 | -30.12 |
14 | 金沢市 | 0.301 | 0.935 | -17.98 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
キャベツの卸売り市場の現状と今後
2025年6月時点での全国主要市場におけるキャベツの平均価格は77.67円/kgと、比較的安価な水準となっています。ただし、都市別にみると大きな価格差があります。最も高い沖縄県は101.3円/kg、次いで札幌市97.67円/kg、金沢市90.67円/kgと続き、いずれも本州の中心地から離れた地域が上位を占めています。これは、流通コストや輸送距離、地元の生産量の少なさに起因する傾向です。
また、2024年6月と比べた前年同月比では、全体的に価格は減少傾向にあります。全国平均で-9.69%、沖縄では-16.03%、札幌市で-11.75%と、特に価格が高かった都市ほど下落率が大きいのが特徴です。この点から、過去1年での需給の変動や消費行動の変化が影響していることがうかがえます。
卸売数量の傾向と規模
卸売数量では、全国主要市場で32.18ktを記録しています。都市別では、東京都(12.77kt)、大阪市(3.93kt)、名古屋市(3.587kt)が圧倒的な取扱量を誇ります。これらの都市はいずれも大消費地であるとともに、大規模な中央卸売市場を有しており、広範な流通網を背景に多数のキャベツが集荷・分配されているためです。
ただし、数量も全体的に減少しています。東京で-15.78%、大阪で-17.83%、名古屋で-8.54%と、物流や取引が縮小している様子が読み取れます。特に仙台(-35.89%)や北9州(-28.79%)など地方都市での落ち込みが顕著で、地域によっては流通の縮小や需要減が進行している可能性があります。
都市別の特徴と価格要因
価格が高い沖縄・札幌・金沢などは、輸送コストの影響を強く受ける地域です。特に沖縄県では地理的に本土からの輸送に依存しており、キャベツのような大型野菜では輸送効率の悪さが価格に反映されやすいといえます。
1方、大阪・名古屋・横浜など大都市圏では価格は比較的安定しており、価格と数量のバランスが取れた市場構造を維持しています。これは取扱量が多く、地元産地との連携や輸送効率の最適化が進んでいるためです。
価格変動の背景要因
価格下落の1因として考えられるのは、2024年から2025年初頭にかけての天候条件の安定です。気温や降水量が安定していた場合、キャベツは豊作傾向になりやすく、出荷量が増えることで価格は下落しやすくなります。
また、物流コストの抑制や円安による輸入野菜の競合の影響も考えられます。特に冷涼な地域ではキャベツが春から初夏にかけて多く出回るため、季節要因も価格を押し下げる要因となります。
キャベツの生産動向と今後の見通し
キャベツの主な産地は、群馬県、千葉県、愛知県、長野県などであり、これらの地域から各都市市場への安定供給が続いています。とくに夏場は高原地帯、冬場は温暖な9州など、季節ごとに産地リレーが行われるため、全国どこでも比較的安定して流通します。
ただし、農業従事者の高齢化、気候変動による作柄不安、農地の縮小などは今後の供給リスクとして注意が必要です。さらに、価格が下がりすぎると農家の経営を圧迫し、作付け面積が減少する可能性もあり、中長期的には価格の変動幅が大きくなるリスクもあります。
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