2025年4月のキャベツ価格は全国的に大幅下落しましたが、都市によって価格差は2.5倍以上。地場供給力や輸送コストが価格を左右し、札幌など高値圏と九州の低値圏が顕著です。今後も安値基調が続く見込みですが、産地の高齢化や気候変動による不安定化への備えが課題です。
キャベツの卸売り市場価格
キャベツの高い順
札幌市 | 金沢市 | 仙台市 | 沼津市 | 北九州市 | 広島市 | 東京都 | 函館市 | 佐世保市 | 福岡市 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最新 | 2025年4月 | 2025年4月 | 2025年4月 | 2016年12月 | 2025年4月 | 2025年4月 | 2025年4月 | 2016年12月 | 2016年12月 | 2025年4月 |
最大期 | 2025年1月 | 2018年2月 | 2024年12月 | 2016年11月 | 2018年2月 | 2018年2月 | 2018年2月 | 2010年4月 | 2014年9月 | 2025年1月 |
最新値[円/kg] | 136 | 129 | 123.7 | 123 | 122 | 121.3 | 120 | 120 | 116 | 114.7 |
最大値[円/kg] | 247.7 | 305 | 250.3 | 192 | 222 | 254 | 253 | 179 | 181 | 226 |
前月比[%] | -38.55 | -28.2 | -33.87 | -35.94 | -24.84 | -31.58 | -34.07 | -6.25 | -35.2 | -28.92 |
前年同月比[%] | -15.35 | -27.25 | -17.55 | +132.1 | -5.915 | -16.13 | -18.55 | +62.16 | +163.6 | -2.55 |
キャベツの安い順
八戸市 | 宮崎市 | 豊橋市 | 大津市 | 室蘭市 | 熊本市 | 久留米市 | 富山市 | 松本市 | 鹿児島市 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最新 | 2023年12月 | 2023年12月 | 2016年12月 | 2021年12月 | 2011年12月 | 2021年12月 | 2023年12月 | 2021年12月 | 2021年12月 | 2023年12月 |
最大期 | 2018年2月 | 2018年2月 | 2016年10月 | 2018年2月 | 2010年4月 | 2018年2月 | 2018年2月 | 2018年2月 | 2018年2月 | 2020年8月 |
最新値[円/kg] | 82 | 55 | 100 | 55 | 85 | 53 | 65 | 70 | 59 | 62 |
最大値[円/kg] | 275 | 193 | 220 | 242 | 197 | 235 | 262 | 260 | 292 | 198 |
前月比[%] | -19.61 | -29.49 | -31.51 | -27.63 | +44.07 | -25.35 | -30.85 | -13.58 | -16.9 | -28.74 |
前年同月比[%] | +13.89 | -1.786 | +170.3 | -17.91 | -14.14 | +6 | +1.563 | -14.49 | +5.085 |
キャベツの推移


その他のデータとグラフ
キャベツの価格についての推移と展望
キャベツは気候や需給に大きく影響を受ける野菜の代表例です。2008年以降のデータを見ると、春と秋の端境期に価格が上昇し、初夏や冬には安値になる傾向があります。平年並みの気象ならば価格は比較的安定しますが、近年は気候変動の影響で価格の乱高下が激しくなっています。
また、コロナ禍を契機に家庭内調理需要が一時的に増えたことで、2020~2021年には高値が続いた時期もありましたが、2023年以降は需給の緩みや物流コストの上昇により、価格が不安定になりやすくなっています。
2025年4月の市場動向と最近の問題点
2025年4月の都市別データでは、最も高い都市は札幌市の136円/kg、最も安い都市は熊本市の53円/kgと、価格差は2.5倍以上に及んでいます。
価格が高い都市では、以下のような傾向が見られます:
-
札幌市・金沢市・仙台市:北日本・日本海側の都市では、地場生産の不足や輸送コストの増加が価格を押し上げています。
-
沼津市・函館市・佐世保市: 一部では前年からの大幅な価格上昇が目立ち(例:沼津市 +132.1%、佐世保市 +163.6%)、過去の価格水準が極端に低かった可能性や一時的な供給不足の影響が疑われます。
一方、価格が著しく安い地域では、以下の特徴があります:
-
熊本市・宮崎市・鹿児島市: 九州の農業地帯では地場産キャベツの豊富な供給により価格が安定し、結果的に低価格帯にとどまっています。
-
大津市・松本市・富山市: 内陸部でも価格が抑えられており、地元生産や近隣都市との流通網の強さが背景にあります。
前月比・前年比の増減比から読み取れる問題
2025年4月は全国的に価格が急落しており、ほとんどの都市で前月比が20〜38%減。これは春キャベツの出荷がピークを迎えた影響と考えられます。
ただし、室蘭市のみ前月比+44.07%と上昇しており、地域特有の供給トラブルや急な需要増加があった可能性があります。
前年比で大きく価格が上昇している都市(例:佐世保市+163.6%、沼津市+132.1%、豊橋市+170.3%)は、前年に極端な安値であった反動である可能性が高く、単年での判断には注意が必要です。
今後のキャベツ価格の推移と課題
今後数か月は、春キャベツの供給が続くため、全国的に価格は安値圏で推移する見込みです。特に6月にかけては、九州や関西などの地場産地が活発に出荷を行うため、価格の下押し圧力が続くでしょう。
一方、以下の要因が中長期的な価格上昇リスクになります:
-
高齢化による産地の担い手不足
-
輸送コストの増加
-
気候変動に伴う作柄の不安定さ
安定供給と価格の平準化を図るためには、複数産地からのリスク分散、冷蔵保管技術の導入、さらには加工・業務用市場の需要開拓が不可欠です。
コメント