2014年から2025年にかけて、日本のキムチ1kgの平均小売価格は徐々に上昇し、地域間で価格差も拡大しています。原材料費や物流費の上昇が主因であり、今後も価格は緩やかな上昇が見込まれます。ただし、為替や農産物の供給状況次第では安定化も期待され、各地での競争やPB商品展開がカギとなります。
小売物価統計
キムチ小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 福井 | 熊本 | 鳥取 | 高知 | 津 | 甲府 | 和歌山 | 鹿児島 | 徳島 | 岡山 |
最新値[円] | 1053 | 1270 | 1270 | 1268 | 1268 | 1259 | 1249 | 1217 | 1182 | 1179 | 1157 |
前年同月比[%] | +2.191 | +3.673 | +20.72 | +13.72 | +12.31 | +12.52 | +13.42 | -3.981 | +1.202 | -0.345 |
キムチ小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 大津 | 奈良 | 松山 | 岐阜 | 宮崎 | 山形 | 富山 | 大分 | 松江 | 前橋 |
最新値[円] | 1053 | 704 | 830 | 847 | 850 | 852 | 864 | 911 | 933 | 935 | 947 |
前年同月比[%] | +2.191 | +12.16 | -5.257 | -1.048 | +6.234 | -3.03 | -34.37 | -7.897 | +24.01 | -4.536 |
キムチの推移


詳細なデータとグラフ
キムチの現状と今後
キムチは韓国発祥の漬物として、日本国内でも根強い人気を持つ食品です。とくに健康志向の高まりとともに、発酵食品としての栄養価が注目され、家庭の食卓でも常連となっています。1方で、その価格は地域差が大きく、毎年の変動幅も広いため、食品物価の1端を示す指標としても経済的な注目を集めています。
過去10年間の価格動向 ― 緩やかな上昇と地域間格差の拡大
2014年から2025年4月までのデータを見ると、キムチ1kgの全国平均価格はおおよそ緩やかな上昇を続けてきました。2025年4月時点の全国平均は1,053円であり、物価上昇の影響を受けつつも比較的安定した推移といえます。
しかし、高い地域と安い地域の差は明確に拡大してきました。たとえば、福井や熊本では1,270円を記録し、1方で大津は704円と、約570円の開きがあります。これは全国流通のキムチに加え、地元スーパーのプライベートブランドや輸入品比率、物流コスト、地域の物価傾向、食文化の違いなどが大きく影響しています。
価格上昇の主な要因と問題点
キムチの価格上昇の背景には以下のような複合的要因が存在します。
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原材料費の高騰 白菜、ニンニク、唐辛子などの主要原料の価格が高騰しています。特に近年は天候不順の影響で白菜価格が乱高下しており、キムチ製造に直撃しました。
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物流費・人件費の上昇 運送業界の「2024年問題」に代表されるように、運転手不足と時間規制が物流コストを押し上げています。また、国内製造業も人手不足によりコスト増となっています。
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需要の地域的偏差と競争環境 熊本や高知では前年比で+13~20%もの価格上昇が見られました。これは、輸入キムチの減少や国内生産へのシフト、そしてプレミアム路線への移行が進んでいることが背景にあります。1方で、富山では-34.37%と大きな下落が見られ、激しい価格競争の影響を受けています。
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国際情勢と為替の影響 韓国からの輸入キムチに頼る部分もあるため、為替相場の変動が価格に直結しています。円安が進行すれば、当然ながら輸入キムチの価格も上昇するため、日本国内での価格にも反映されます。
今後の価格推移予測と消費者への影響
キムチの価格は、今後も緩やかな上昇が見込まれるものの、以下の3つの条件によって方向性が変わります。
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原材料価格の安定化 国内農業の効率化や、天候の回復によって白菜などの価格が安定すれば、製造コストの抑制が可能になります。
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輸入バランスの変化 国内生産と輸入のバランスが見直され、競争が生まれれば価格の抑制につながるでしょう。特に韓国企業の再3入や自由貿易の推進が価格に影響を与えます。
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消費者の購買行動の変化 物価高が進む中で、キムチも「たまに買う高級品」から「日常的な副菜」に戻す必要性が議論されるかもしれません。大手スーパーによる低価格PB商品の拡充が鍵となります。
今後は、価格の上下に1喜1憂するよりも、「価格に見合う品質」や「安定供給体制」の確立が重要になります。健康志向の高まりとともに、消費者の需要は今後も持続する可能性が高く、製造サイドの工夫がますます問われるでしょう。
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