日本のカレールウ(12皿分)の小売価格は2025年4月時点で平均283.6円。価格は比較的安定しているが、地域ごとの価格差や原材料・物流コストの影響も見られる。今後は物価高の一服により横ばい〜緩やかな上昇が予想される一方、プライベートブランド商品の台頭も競争を促すだろう。
小売物価統計
カレールウ小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 那覇 | 神戸 | 福井 | 松江 | 大分 | 金沢 | 宮崎 | 松山 | 新潟 | 大阪 |
最新値[円] | 283.6 | 314 | 314 | 308 | 308 | 304 | 301 | 301 | 300 | 300 | 299 |
前年同月比[%] | -1.12 | +2.667 | +9.22 | +6.738 | -10.68 | -0.99 | -5.66 | -0.993 |
カレールウ小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 高知 | 前橋 | 鹿児島 | 津 | 大津 | 岐阜 | 甲府 | 仙台 | さいたま | 奈良 |
最新値[円] | 283.6 | 253 | 257 | 257 | 265 | 268 | 268 | 269 | 270 | 271 | 272 |
前年同月比[%] | -1.12 | -5.243 | -1.154 | -3.745 | +4.743 | -1.471 | +1.515 | -2.174 | -2.867 | -13.65 |
カレールウの推移


詳細なデータとグラフ
カレールウの現状と今後
カレールウは、日本の家庭料理における定番食材であり、ほとんどの家庭で常備されている加工食品です。12皿分というパッケージは、家庭での使用に最適なボリュームであり、家計支出の変動を映す食品の1つでもあります。2014年から2025年にかけての価格推移を見ていくと、地域差や価格調整の背景にはさまざまな要因が関わっていることが分かります。
価格の長期的な動向と平均値の変化
最新の平均価格は283.6円。これは2024年同月比で-1.12%という微減を示しています。10年以上のデータを通じて見ると、カレールウは加工食品の中でも比較的価格が安定している商品ですが、2022年~2023年にかけての原材料費・輸送コストの高騰を受けて1時的に値上がりした後、やや値下がり傾向に入っていることがわかります。2024年から2025年にかけて、物価高が1巡し、消費の冷え込みが見られる中で企業が値下げや価格据え置きを選択する傾向も見え隠れします。
地域別の価格差とその背景
高価格帯地域の特徴
那覇や神戸、福井、松江といった地域ではカレールウの価格が300円を超えています。これらの地域は、流通コストの高い離島(那覇)や、都市部・地方中心都市(神戸・松江)であることが多く、小売業者の価格設定に余裕があることが要因と考えられます。また、福井や松江では前年同月比で+2.7~9.2%と上昇幅が大きく、物流費や原材料コストの影響が色濃く反映されている可能性があります。
低価格帯地域の特徴
高知や前橋、鹿児島、津、大津などは250円台~260円台と、全国平均よりも20円以上安くなっています。これらの地域は大規模流通網に依存せず地場の流通が効いていたり、生活コストが比較的低く抑えられていたりすることで、小売価格も競争的になっていると推察されます。奈良の-13.65%という大幅な前年同月比下落は、セールや1時的な特売の影響が疑われます。
カレールウ価格に影響する要素
原材料価格の変動
カレールウの主原料は小麦粉、油脂、スパイス、砂糖などですが、特に2021年以降は小麦と油脂の国際価格の高騰が影響しました。国内生産が多いとはいえ、輸入依存もあるため為替変動の影響も無視できません。
人件費・物流費
慢性的な物流業界の人手不足や、トラック輸送費の上昇も影響しています。遠隔地への輸送コストが販売価格に転嫁されやすいため、那覇のような地域では価格が高止まりしています。
消費者の価格志向と小売側の戦略
2024年以降、消費者の節約志向が強まっており、小売各社は値下げやPB(プライベートブランド)商品の拡充を通じて価格競争を強めています。カレールウは「特売品」としても頻繁に扱われるため、実際の店頭価格はさらに変動しやすいという側面もあります。
今後の価格推移に対する展望
今後数年間で、カレールウの価格は「横ばい〜緩やかな上昇」になる可能性が高いと見られます。政府の食品価格抑制策や企業の努力により、急激な値上がりは避けられる見込みですが、依然として原材料価格の不安定さや物流コストはリスク要因です。
ただし、PB商品の拡大や少量パッケージ化の進行、冷凍・レトルト製品との競合も進んでおり、需要全体のシェア争いの中で「値段据え置き+品質向上」で勝負するメーカーも出てくるでしょう。また、エネルギーコストや為替レートが安定すれば、さらなる価格安定も期待できます。
まとめ
カレールウの小売価格はこの10年間で大きな波を経験しながらも、加工食品としての安定感を保ってきました。地域差はあるものの、全体としては大幅な値上げを回避している状況です。今後も家計に優しい食品としてのポジションを維持しつつ、物価のトレンドに柔軟に対応していく必要があります。
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