カステラ価格の推移と地域差―平均238円から見る今後の展望

洋菓子



カステラ100gの全国平均価格は2025年4月時点で238.4円に達し、特に広島・松山など観光地では300円を超える高価格帯に。一方で盛岡や大分では150円未満の地域も存在し、地域格差と価格の二極化が進んでいます。今後は素材高騰や観光需要の回復を背景に平均価格は250円台へと上昇し、価格に見合った品質がより重視される時代が来ると見られます。

小売物価統計

カステラ小売りの高い都市

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 広島 松山 富山 那覇 青森 新潟 山口 宇都宮 長野 前橋
最新値[円] 238.4 394 375 350 343 316 308 306 302 299 296
前年同月比[%] +3.904 +8.242 +7.143 +0.865 -0.58 -3.364 +12.41 +12.09 +2.721 +7.554 +27.04

カステラ小売りの安い都市

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 盛岡 大分 札幌 岡山 静岡 長崎 千葉 大津 松江 熊本
最新値[円] 238.4 124 129 157 159 169 176 182 184 188 192
前年同月比[%] +3.904 +0.781 -1.875 -9.143 +5.625 +1.099 +2.732 -13.9

 

カステラの推移

カステラ小売り価格
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

カステラの現状と今後

カステラは、日本で長い歴史を持つ洋菓子の1種であり、特に長崎を中心に「伝統菓子」として根付いています。その甘さとふんわりとした食感は、子どもから高齢者まで幅広い層に親しまれてきました。しかし、2010年から2025年にかけて、カステラの小売価格(100g)は平均238.4円に上昇し、「安価なおやつ」から「ちょっとした贅沢品」へと変化しつつあります。


価格上昇の背景にある3つの要因

  1. 原材料費の高騰 小麦粉、卵、砂糖といった基本材料の価格はこの15年間で断続的に上昇。とくに卵と砂糖は価格変動が激しく、安定供給が難しい時期もありました。素材の質にこだわるカステラにとって、こうした原料の価格上昇はコストに直結します。

  2. 熟練製法の継承とコスト カステラは大量生産が可能な製品でありながら、本格的な商品は手間暇をかけた製法で作られるため、人件費や設備費が価格に反映されやすい菓子です。

  3. 地域ブランド化と観光需要 近年では、観光土産や贈答用として高級カステラの需要が高まり、特定地域(例:広島や松山)では300円を超える価格帯の商品が増えています。このようなブランド価値の上昇も平均価格を押し上げる1因です。


地域ごとの価格差とその背景

最新データでは、カステラ100gあたりの価格が最も高いのは広島(394円)、次いで松山(375円)、富山(350円)などが続いています。こうした高価格帯の地域では、以下の傾向が見られます:

  • 観光と地域ブランドの影響:広島や松山は観光地としても知られ、地元製造の高級カステラが土産物として高単価で販売されている。

  • プレミアム志向の台頭:富山、新潟、山口といった地域でも、地元企業による差別化戦略が功を奏し、高価格帯の商品が主流となっている可能性があります。

1方、最も価格が安いのは盛岡(124円)大分(129円)であり、札幌(157円)岡山(159円)なども全国平均を大きく下回っています。これらの地域では、

  • 量販店主導の価格競争:スーパーや量販店で販売される大量生産品の流通が多く、価格競争によって値段が抑えられている。

  • カステラ文化の希薄さ:長崎のように地元文化としてのカステラの認知度が低く、価格に付加価値が乗りにくい傾向があります。


価格変動から見える地域間格差

価格の変化率に注目すると、前橋(+27.04%)新潟(+12.41%)、山口(+12.09%)といった地域で急激な値上げが確認されています。背景として考えられるのは:

  • 地元業者の価格是正(過去の安売りから適正価格への移行)

  • 観光やギフト需要の回復による高級ラインへの移行

1方で、熊本(-13.9%)岡山(-9.143%)などでは価格が下落。これは、

  • 地場メーカーの価格調整や、低価格競争の激化

  • 観光需要の減退や購買力の低下による価格下落圧力

などが関係していると見られます。


今後の価格動向と業界の課題

今後のカステラ価格は、以下のような方向性が想定されます:

  1. 平均250円台への突入 現在の平均が238.4円であり、原材料費の高止まりが続けば、2026年以降には250円台に突入する可能性が高いです。

  2. 低価格帯の淘汰と2極化の進行 100〜150円の商品は減少し、200円以上の商品が標準化。1方で、300円超の高級カステラも存在感を増すことで、価格の2極化が進行すると予測されます。

  3. 業界の取り組みと選ばれる商品像 持続可能な生産体制、素材のトレーサビリティ、地元との連携などが重要となり、「安心・安全・地元愛」のキーワードが今後の選ばれるカステラの条件になっていくでしょう。


カステラという文化をどう守るか

カステラは単なる菓子ではなく、日本の洋菓子文化の1角を担う存在です。その存在を守りながら消費者の支持を得るためには、

  • 適正価格と品質の両立

  • 世代に合わせた新商品開発(ミニサイズ、低糖質、地元素材)

  • 観光・地域経済との連携

などが不可欠です。単なる値上げでなく「価格に見合った納得感」を消費者に与えることが、これからの課題です。

 

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