2025年4月の日本におけるエアコン支出は平均17.25万円で、地域ごとの価格差が顕著。四国や東海では支出・購入割合ともに増加しており、高性能モデルへの需要が伸びている。一方、設置業者不足や電気代上昇といった課題も。今後はスマート化や分割・レンタルモデルへの期待が高まる。
家計調査結果
エアコンの相場
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 中国 | 四国 | 北陸 | 小都市A | 小都市B | 東海 | 近畿 | 全国 | 大都市 | 関東 |
最新値[万円] | 17.25 | 22.47 | 21.81 | 18.97 | 17.87 | 17.75 | 17.68 | 17.05 | 16.73 | 16.5 | 16.17 |
前年同月比[%] | +2.833 | -6.239 | +33.63 | +23.16 | +4.909 | +5.518 | +18.27 | +5.125 | -1.672 | -7.995 | -12.31 |
エアコン支出の世帯割合
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 北陸 | 関東 | 九州・沖縄 | 中都市 | 全国 | 大都市 | 中国 | 東海 | 小都市A | 小都市B |
最新値[%] | 0.919 | 1.32 | 1.11 | 1.06 | 1.04 | 0.96 | 0.95 | 0.94 | 0.93 | 0.93 | 0.89 |
前年同月比[%] | +10.1 | +45.05 | +6.731 | +70.97 | +6.122 | +11.63 | +9.195 | +49.21 | +45.31 | +14.81 | +28.99 |
エアコンの推移


詳細なデータとグラフ
エアコンの家電現状と今後
2025年4月における日本のエアコンの平均支出額は17.25万円と、家電の中でも高額商品に位置付けられます。地域別で見ると、中国地方が22.47万円と群を抜いて高く、次いで4国(21.81万円)、北陸(18.97万円)と続きます。最も低いのは関東(16.17万円)で、全国平均の16.73万円をやや下回っています。
この地域差は、気候条件、設置環境、居住様式、住宅断熱性能など複数の要因が絡んでいると考えられます。たとえば、中国・4国地方では新設や高性能モデルへの買い替えが進んでいる1方、関東ではシェア住宅や賃貸住宅における簡易なモデル選好、あるいは家主による設備更新などが価格抑制要因となっている可能性があります。
前年比の変化から読み解く需要と価格のバランス
前年同月と比較した支出額の変化では、4国(+33.63%)や北陸(+23.16%)、東海(+18.27%)などで急増している1方、関東(-12.31%)や大都市(-7.995%)、中国(-6.239%)では支出が減少しています。
この動向は、1部地域での新築住宅需要の再燃、補助金制度、酷暑予測などがエアコンの買い替え・導入を後押しした可能性を示しています。特に4国や東海などでは近年、猛暑による冷房需要の高まりが継続的であることから、高機能・省エネモデルへの投資が加速していると推察されます。
反対に、関東や大都市圏での支出減少は、すでにエアコンの普及が飽和しており、買い替えが1巡したこと、あるいは消費者が支出を抑えて廉価モデルへの志向を強めた結果とも考えられます。
購入世帯割合の変化に見る普及の第2波
2025年4月のエアコン購入世帯割合は全国平均で0.919%と高くはありませんが、前年同月比では+10.1%と着実に増加しています。特に東海(+45.31%)、中国(+49.21%)、小都市B(+28.99%)で大幅な増加が見られます。
これは単なる買い替えに加えて、新たにエアコンを導入する家庭が増えたことを意味します。たとえば地方都市では、新築住宅や中古物件の購入に伴うエアコン設置、または1部屋に複数台導入するような需要の変化が反映されていると見られます。
1方で、東北(-38.37%)、北海道(-34.48%)など寒冷地での割合減少は、冷房ニーズが低く、1定の普及率を超えた地域では需要が頭打ちとなった可能性があります。
エアコン市場の抱える構造的課題
現在のエアコン市場には以下のような課題が内在しています:
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高価格化と買い控え 省エネ性能や空気清浄機能などの高付加価値化が進む1方で、価格は上昇傾向にあり、結果として「必要だが高くて手が出ない」層が存在しています。
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設置工事の人手不足 特に夏場の繁忙期には、設置業者の不足により購入から設置までに時間がかかることが多く、購買意欲を削ぐ要因となっています。
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エネルギー負担と電気代上昇 エアコン稼働による電気代の高騰が、特に高齢者世帯の利用抑制を引き起こしており、結果として健康被害(熱中症リスク)につながる社会的問題ともなっています。
今後のエアコン市場の展望と期待される変化
エアコン市場の今後には、以下のような方向性が期待されます:
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スマート家電化の加速 スマートフォンやスマートスピーカーと連動し、自動制御・遠隔操作が可能なモデルが主流となることで、省エネと快適性を両立させるニーズに応える製品が増加する見通しです。
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分割払いやレンタルの1般化 高額商品であるエアコンの購入障壁を下げるために、リース契約や月額課金型のレンタルモデルの浸透が進む可能性があります。
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補助金制度の拡充と地域対応型モデルの増加 自治体による省エネ家電購入支援や、寒冷地専用の暖房強化モデル、湿潤地域向けの除湿強化型など、地域性に即した開発と販売が重要になってきます。
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工事不要の簡易型エアコンの普及 設置の自由度が高い窓用・床置きタイプなどが今後再評価されることで、賃貸層や短期利用ニーズにも対応可能となります。
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