日本のウイスキー小売価格の推移と今後の見通し:地域差と課題

アルコール

2025年5月時点でウイスキー700mLの全国平均は1,746円。岡山・大分・津などで高価格が目立ち、価格は前年同月比-1.752%とやや下落。プレミアム志向・輸入コスト・円安の影響が過去の価格上昇を牽引したが、近年は調整局面。今後は為替や需要動向によって都市間格差が継続の見通し。

都市別のウイスキー1本700mLの相場価格

2025年6月
降順昇順
都市最新値[円]前年同月比[%]
平均1741-1.72
1徳島1888+1.944
2岡山1885
3大分1872-1.162
4山口1869+2.467
5和歌山1836-1.923
6大阪1823-2.042
71821-1.461
8宇部1818+1.678
9宮崎1813
10福山1810-2.003
11那覇1803+0.278
12鳥取1795-0.883
13松江1795-1.374
14静岡1781+4.703
15佐賀1768+0.626
16立川1766
17松山1766-0.507
18今治1766-0.451
19高知1765+1.554
20姫路1763-0.17
21奈良1763-1.398
22枚方1762-1.289
23東大阪1761+0.629
24京都1761-2.275
25広島1759-0.283
26長崎1758-1.513
27熊本1758
28横浜1758+0.171
29佐世保1757-1.513
301754-1.516
31八王子1751+0.748
32郡山1748
33東京都区部1747-1.355
34神戸1746-1.3
35所沢1745-1.245
36水戸1744
37福島1742-6.041
38北九州1739-0.685
39高松1738-0.23
40函館1738
41秋田1736-2.142
42川口1736-0.459
43岐阜1736-0.516
44福井1735-2.528
45山形1735-9.541
46仙台1734-4.882
47伊丹1733-0.517
48長岡1730-0.46
49小山1728-1.314
50盛岡1724-3.146
51西宮1721-2.493
52浦安1721-2.382
53長野1719+0.233
54松本1719-0.406
55日立1718-2.275
56千葉1713-2.058
57札幌1712-3.113
58相模原1710-3.006
59大津1709-2.063
60川崎1708-5.374
61八戸1705-1.899
62新潟1704-1.956
63甲府1701-1.676
64さいたま1700-1.163
65福岡1698-1.279
66鹿児島1694
67府中1691-3.756
68旭川1689-1.17
69富士1689-3.042
70宇都宮1688-3.598
71松阪1682-7.123
72浜松1678-2.385
731678
74前橋1678-3.452
75青森1676-1.931
76藤沢1671
77名古屋1668-4.413
78金沢1659-3.714
79富山1656-3.889
80熊谷1639-6.289
81豊橋1633
ウイスキー1本700mL

詳細なデータとグラフ

ウイスキーの小売価格の相場と推移

2025年5月時点におけるウイスキー700mLの全国平均価格は1,746円であり、他の酒類と比較して相対的に高価格帯の嗜好品であることがわかります。価格の高い都市を見ると、岡山(1,885円)、大分(1,872円)、津(3重、1,852円)、和歌山(1,843円)、大阪(1,841円)といった地方中核都市や近畿圏が上位を占めています。

1方、価格の上昇幅は鈍化傾向にあり、全国平均で前年同月比-1.752%の下落となっています。これにより、ウイスキー市場が1部の地域で調整局面に入った可能性も考えられます。


都市別価格の特徴と地域性

  • 岡山(1,885円)・大分(1,872円) これらの地域は、地場の百貨店や高級スーパーが主な購入経路であることが多く、プレミアム・ウイスキーを標準ラインとして扱っているケースが見られます。また、消費者のこだわり需要に合わせた「地ウイスキー」や輸入品の取り扱いも影響していると考えられます。

  • 和歌山・大阪・津などの近畿圏 近畿地方では長年にわたって洋酒文化が根付き、ハイボール需要の高まりに合わせて市場が拡大してきました。大阪・和歌山は販売店の価格競争も活発ですが、高品質志向の消費者層も存在するため、全体的に価格が高止まりしています。

  • 那覇や徳島などの地方都市 離島である那覇は輸送コストの影響で、都市規模の割に高価格傾向。徳島では逆に前年同月比-4.555%と大幅な下落を示しており、これは小売側の値引き戦略や在庫調整の影響と推測されます。


価格の推移と近年のトレンド

ウイスキー価格は2010年代半ばから急激に上昇傾向にあり、背景には次のような要因がありました:

  • 国産プレミアムウイスキーの世界的評価向上 サントリーの山崎・響などが海外で高評価を受け、日本国内でも需要が急拡大。これにより、特定ブランドの品薄・転売が相次ぎ、全体の価格帯が引き上げられる構造となりました。

  • 国際情勢と輸入コストの変動 スコッチ・バーボンなど輸入ウイスキーについては、為替変動や輸入税、運賃の増加によって価格がじわじわと上昇。円安による輸入価格高騰も大きな影響を与えました。

しかし、2024年以降には価格の調整局面が見られ、2025年には前年同月比で下落に転じている都市も多く、過熱した市場が1服し始めた兆しといえるでしょう。


価格高騰要因と今後の見通し

ウイスキーの価格に影響を与える主要な要素は以下の通りです:

  • 需要増による供給不足 特に国産ウイスキーでは長期熟成が求められるため、生産量を即時に増やせず、人気ブランドの品薄が続くという構造的な問題があります。

  • 為替レートと国際原材料価格 輸入穀物・燃料・パッケージ資材のコスト上昇は、生産コスト全体の押し上げに直結します。

  • 消費者の嗜好変化と多様化 若年層を中心に「クラフトウイスキー」や「ボトラーズ(独立瓶詰業者)」の製品が注目されており、高価格帯・少量生産品へのシフトが価格全体に波及しています。

今後、為替の安定や市場の再調整が進めば、1部地域で価格の横ばいや緩やかな下落が進む可能性もあります。ただし、地域差は引き続き存在し、高所得層や観光需要の強いエリアでは高価格帯が維持される見通しです。

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