日本のイカ価格の現状と推移:高騰の背景と地域差・今後の見通し

食料品

2025年5月のイカ100gの平均価格は243.9円で、都市間で大きな差があり、佐賀や山口では400円超の高値。国内水揚げ量の減少と輸入依存による価格上昇、都市別の流通網や地元志向による差異が要因。今後も高値圏が続く見通し。

都市別のイカ100gの相場価格

2025年6月
降順昇順
都市最新値[円]前年同月比[%]
平均219-1.434
1北九州367+0.273
2福岡349-4.121
3函館344+55.66
4佐賀341+5.901
5佐世保320+10.34
6大分317+10.07
7宇部315-2.174
8府中305+48.78
9盛岡297+10.41
10旭川297+4.947
11山口294+3.521
12立川271+13.39
13長崎257-12.88
14254+12.39
15姫路248+2.058
16仙台244-1.215
17東京都区部240-6.977
18小山234+11.43
19所沢233+23.94
20宮崎232-14.07
21熊谷231+4.525
22八王子229+7.009
23高松227+26.11
24今治227+41.88
25神戸226+5.116
26富士226-12.74
27西宮225+17.19
28甲府223-13.57
29日立223+24.58
30熊本222-10.84
31さいたま221-5.15
32山形220+18.28
33浜松217-3.556
34鹿児島216+16.76
35藤沢215
36水戸215+20.79
37札幌215-19.17
38福井214+6.468
39川崎214-5.727
40川口214-8.547
41大津214-5.727
42東大阪212-7.826
43伊丹209-0.948
44横浜208-12.24
45岡山207-4.608
46浦安206-25.36
47郡山205+11.41
48大阪205-8.482
49徳島204-2.857
50名古屋199-9.955
51宇都宮198-16.46
52前橋198-18.52
53豊橋197
54松阪197-10.05
55静岡195-28.83
56和歌山195-14.1
57京都193-6.311
58192-9.434
59188
60秋田187+26.35
61枚方187+4.469
62奈良187-9.662
63青森186+4.494
64千葉186-23.46
65相模原184-23.97
66岐阜184-18.58
67松山180+7.143
68福島175-12.94
69松本175+7.362
70広島170+18.06
71高知169-1.17
72八戸169+21.58
73金沢167-18.54
74富山162-19.4
75長岡161+13.38
76福山157+11.35
77松江157-50.32
78新潟154-3.145
79長野149-28.71
80鳥取146-1.351
81那覇146+36.45
イカ100g

詳細なデータとグラフ

イカの小売価格の相場と推移

2025年5月現在、イカ100gあたりの全国平均価格は243.9円。これは前年同月比で+2.594%の上昇であり、他の魚介類に比べると穏やかな伸びとなっています。

しかし、都市ごとに見ると大きな価格差が存在します。

特に高値を記録している都市は以下の通りです:

  • 佐賀:412円(+32.9%)

  • 福岡:365円(-4.20%)

  • 宇部:364円(+6.43%)

  • 旭川:354円(-14.08%)

  • 山口:349円(+33.21%)

  • 仙台:322円(+20.6%)

  • 盛岡:315円(+15.38%)

  • 札幌:315円(+8.62%)

  • 府中:308円(+36.28%)

  • 大分:308円(-0.97%)

これらの都市では、全国平均を大きく上回る水準にあり、特定地域においてイカの高級化や仕入れ価格の上昇が顕著です。


都市別の価格傾向と背景

佐賀・山口・府中 ― 高騰の中心

佐賀(+32.9%)と山口(+33.2%)、府中(+36.3%)といった都市は急激な価格上昇が目立ちます。これらは主に仕入れ原価の上昇地元スーパーでの高品質志向の顕在化が背景と考えられます。

福岡・旭川 ― 下落傾向を示す例外

福岡(-4.2%)、旭川(-14.1%)は他都市と対照的に価格が前年より下落。これらの地域は漁港との距離が近く、輸送コストが低いため、地元漁獲を優先的に消費する構造が価格の安定につながった可能性があります。

東北・北海道圏(盛岡・仙台・札幌)

この地域ではじわじわとした価格上昇が続いており、+8〜20%の範囲で上がっています。これはイカの水揚げ量の減少による影響が、都市部よりもやや遅れて価格に反映された結果ともいえます。


過去からの推移と近年の動向

2000年代初頭はイカ100gあたり150〜180円前後が標準でしたが、2010年代中盤以降、急速に価格が上昇しました。

近年の平均価格上昇には、以下の背景があります:

  • 国内のスルメイカ漁獲量の激減:とくに日本海・太平洋ともに2010年代後半から漁獲が減少。

  • 東アジア全体の海洋資源圧迫:中国・韓国の大型漁船による乱獲も影響。

  • 輸入イカへの依存度上昇と円安の影響:南米・アフリカなどからの冷凍イカの価格上昇が影響。


イカの生産と流通の特徴

イカは主に以下の地域で水揚げされます:

  • 北海道・青森・新潟など日本海側の港町

  • 長崎・山口など西日本の対馬海流域

近年では国内水揚げが激減しており、ペルー、チリ、モーリタニアなどからの輸入冷凍イカが主流になっています。特に外食産業での需要が高いため、業務用ルートへの供給が優先され、小売市場では高価格でも安定供給が難しい状況です。

加えて、イカは傷みやすく鮮度管理が難しいため、都市によって保存・輸送費が価格に反映されやすい傾向にあります。


今後の展望と消費者の選択

今後もイカ価格は地域差を伴いながら高止まりまたは緩やかな上昇傾向を維持する可能性が高いです。

  • 漁獲規制と資源管理が進まなければ、国産イカの供給改善は見込めない

  • 円安の長期化で、輸入イカの価格も割安になりにくい

  • 消費者の購買行動は、冷凍・カット済み製品へのシフトが進む見通し

安定した価格で購入したい場合は、冷凍イカのまとめ買いや、価格変動の少ない業務用ルート(通販など)を利用するのも1案です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました