日本のいか価格の現状と推移:高騰の背景と地域差・今後の見通し

食料品



日本のいか100gの小売価格は2025年4月時点で平均266.7円となり、前年同月比で13.68%上昇。特に長崎や今治で高騰が顕著で、大津では117%超の急騰。一方、和歌山や高知では大幅に下落している。背景には漁獲量の減少や輸入依存、地域ごとの流通網の違いがあり、今後も供給不安やコスト上昇から価格の上昇傾向は続く可能性がある。

小売物価統計

いか小売りの高い都市

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 長崎 佐賀 佐世保 函館 旭川 北九州 福岡 大津 仙台 今治
最新値[円] 266.7 478 382 380 349 345 340 317 317 314 313
前年同月比[%] +13.68 +38.95 +15.76 +5.556 +0.877 -8.108 -7.038 +117.1 +13.77 +42.27

いか小売りの安い都市

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 那覇 鳥取 高知 和歌山 長岡 富山 新潟 前橋 名古屋 松阪
最新値[円] 266.7 137 178 183 184 209 212 212 215 221 224
前年同月比[%] +13.68 +23.42 +4.094 -20.09 -23.97 +12.97 +5.473 +7.614 +9.137 +2.791 +3.704

 

いかの推移

いか小売り価格
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

いかの現状と今後

2025年4月時点で、日本のいか100gの平均小売価格は266.7円。前年同月から+13.68%と明確な上昇を示しています。この値動きは1時的な変動ではなく、長期的なトレンドの1環と見られます。2010年からの長期データを基にすると、ここ数年は価格上昇圧力が継続しており、平均価格は着実に切り上がっている傾向です。

要因としては、漁獲量の減少と燃料費高騰、円安による輸入コストの上昇が複合的に影響しています。いかはかつて日本の食卓の定番でしたが、今や「高級魚介類」の扱いに近づいています。

地域差に見る価格の多様性と背景

高価格帯地域

最も高いのは長崎(478円)、次いで佐賀(382円)、佐世保(380円)と、9州の西側が目立ちます。さらに函館(349円)、旭川(345円)と北海道勢も上位に位置します。長崎の価格上昇は+38.95%、今治も+42.27%と急騰していますが、特筆すべきは大津の+117.1%。これは販売形態や計測ベース(調理済みや産地表示変更など)の影響がある可能性があります。

低価格帯地域

最も安いのは那覇(137円)、鳥取(178円)、高知(183円)など、比較的漁獲地の周辺が多く含まれます。興味深いのは、高知(-20.09%)、和歌山(-23.97%)など、漁港が近くても価格が大きく下がっている地域もある点です。これは地元消費と流通のミスマッチ、あるいは地元需要の低下の可能性が示唆されます。

背景にある需給バランスと流通の課題

いかの価格上昇の背景には、国内の漁獲量減少が大きく関わっています。特にスルメイカは過去10年間で漁獲量が激減しており、1部では「漁師泣かせの魚」と言われるほどです。加えて、中国や韓国との漁業競合、海水温の上昇による回遊ルートの変化も要因です。

輸入いかも代替策として活用されていますが、近年はグローバルな需要増や輸送コストの上昇、為替の影響で価格が上がっており、国内市場の価格に直接波及しています。

また、いかを使った加工品の需要は依然高く、それが原料の争奪を引き起こす1因にもなっています。

今後の価格見通しと社会的影響

このまま供給不安が続く限り、いかの価格は中長期的に高止まり、もしくはさらに上昇する可能性があります。特に都市部や内陸地域では輸送コストの上乗せもあり、価格転嫁が進むと見られます。

また、学校給食や居酒屋チェーンなど、いかを頻繁に使用する分野では、代替食材へのシフトが進むでしょう。家庭消費も節約志向が強まれば、いかの購入頻度は下がり、特売・冷凍品中心の購買行動が加速することが予想されます。

政策と消費者への影響

水産庁はすでに漁獲規制や資源回復の試みを進めていますが、いかについては国際的な管理協定の対象が限定的であり、抜本的対策が難しい分野でもあります。消費者としては、産地や鮮度、価格帯に応じた「賢い買い物」が求められます。

また、地域ごとの価格差は、地元市場を活性化させるヒントにもなります。たとえば、那覇や鳥取のような低価格地域では、観光と連動した販促や地産地消型の商品展開がチャンスになります。

 

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