2023年の世界のアーティチョーク生産量は1.61Mtで、前年比+1.084%とわずかに増加しました。エジプトやイタリア、スペインなど地中海沿岸諸国が主な生産地ですが、ペルーやモロッコの成長が目立っています。一方で欧州では気候変動や需要減少により生産縮小が続いています。今後は健康志向や多様な食文化の浸透とともに、品質重視の付加価値型生産が鍵となるでしょう。
アーティチョークの生産量ランキング
各国 | 最新値[Mt] | 全体比[%] | 前年比[%] | |
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世界 | 1.61 | 100 | +1.084 | |
1 | エジプト | 0.45 | 27.94 | -3.389 |
2 | イタリア | 0.37 | 22.96 | -2.219 |
3 | スペイン | 0.183 | 11.34 | -8.742 |
4 | アルジェリア | 0.14 | 8.691 | +12.51 |
5 | ペルー | 0.136 | 8.462 | +39.61 |
6 | 中国 | 0.0824 | 5.116 | -0.302 |
7 | モロッコ | 0.0466 | 2.898 | +13.71 |
8 | トルコ | 0.0365 | 2.265 | -10.64 |
9 | アメリカ | 0.0351 | 2.181 | +1.91 |
10 | アルゼンチン | 0.0297 | 1.842 | -4.697 |
11 | フランス | 0.0233 | 1.449 | +7.264 |
12 | チュニジア | 0.0233 | 1.446 | -3.01 |
13 | イラン | 0.0183 | 1.138 | -0.407 |
14 | シリア | 0.0104 | 0.644 | +257.2 |
15 | チリ | 0.00974 | 0.605 | -8.269 |
16 | ギリシャ | 0.00431 | 0.268 | -40.8 |
17 | ウズベキスタン | 0.00384 | 0.239 | -0.539 |
18 | イスラエル | 0.00243 | 0.151 | +14.6 |
19 | メキシコ | 0.00202 | 0.125 | -0.504 |
20 | マルタ | 0.00134 | 0.0832 | +8.943 |
21 | キプロス | 0.00077 | 0.0478 | -6.098 |
22 | カザフスタン | 0.000633 | 0.0393 | +0.664 |
23 | レバノン | 0.000448 | 0.0278 | -15.41 |
24 | ジンバブエ | 0.000304 | 0.0189 | +0.0263 |
25 | ポーランド | 0.0002 | 0.0124 | -50 |
26 | ハンガリー | 5.0E-5 | 0.00311 | +66.67 |
27 | コスタリカ | 2.77E-5 | 0.00172 | -0.18 |
28 | ケニア | 2.69E-5 | 0.00167 | -0.186 |
29 | ポルトガル | 1.0E-5 | 0.000621 | |
30 | スイス | 2.0E-6 | 0.000124 | |
31 | ルーマニア | 0 | 0 | |
32 | ルクセンブルク | 0 | 0 | |
33 | リトアニア | 0 | 0 | |
34 | ヨルダン | 0 | 0 | |
35 | ベルギー | 0 | 0 | |
36 | フィンランド | 0 | 0 | |
37 | デンマーク | 0 | 0 | |
38 | チェコ | 0 | 0 | |
39 | スロバキア | 0 | 0 | |
40 | エストニア | 0 | 0 |


詳細なデータとグラフ
アーティチョークの現状と今後
アーティチョーク(チョウセンアザミ)は地中海原産の多年草で、つぼみ部分を食用とします。独特の苦味と風味があり、抗酸化物質や食物繊維を豊富に含むことから、健康志向の人々の間で近年注目されています。しかし、栽培には比較的温暖で乾燥した気候が必要で、機械化も難しく、生産地が限られるという特徴があります。
世界全体の生産動向|わずかな成長と地域偏重
2023年の世界生産量は1.61Mtで、前年より+1.084%の微増に留まっています。この数字は長期的な横ばい傾向を反映しており、アーティチョークが他の野菜ほど生産拡大していない現状を示します。需要はニッチですが安定しており、特定地域に依存する構造が続いています。
エジプト|世界最大の生産国
エジプトは0.45Mtで世界シェアの約28%を占める最大の生産国ですが、2023年は-3.389%の減少。これは灌漑水の不足や気候の不安定化が影響していると考えられます。エジプト産は主にヨーロッパ市場に輸出されていますが、品質や収穫時期の安定が今後の課題です。
イタリア・スペイン|伝統と減産のはざまで
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イタリア(0.37Mt / -2.219%)
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スペイン(0.183Mt / -8.742%)
両国ともアーティチョーク栽培の伝統国であり、地中海料理には欠かせない食材です。しかし、労働力不足や高齢化、気候変動による作柄不安定、そして若者の消費離れが生産減少の背景にあります。EU圏内では地産地消志向が高まる1方、生産は停滞しています。
アルジェリア・モロッコ|アフリカ北部の成長株
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アルジェリア(+12.51%)
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モロッコ(+13.71%)
近年アフリカ北部で生産が拡大。これらの国々は気候的に地中海沿岸諸国と似ており、低コストでの栽培が可能です。欧州市場への輸出も視野に入れており、今後も緩やかな増加が見込まれます。ただし、インフラや品質管理体制の整備が重要な課題となります。
ペルー|急成長する中南米のプレーヤー
2023年の生産量は+39.61%と大幅増加。南半球の生産国であるペルーは、北半球のオフシーズンに供給できる地理的優位性があります。特にアメリカやヨーロッパ向けの輸出拡大が進んでおり、加工品(缶詰や冷凍)としても高評価を得ています。
中国・アメリカ・アルゼンチン|小規模ながらも持続的
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中国(-0.302%):市場ニーズの増加にもかかわらず、生産拡大は限定的。需要は高級スーパーや輸入依存が中心です。
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アメリカ(+1.91%):主にカリフォルニア州での生産が続いており、オーガニックやファーマーズマーケット向けが主流。
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アルゼンチン(-4.697%):ペルーと同様のポテンシャルを持ちつつも、気候不順や輸出競争力の課題が残っています。
将来の展望|気候・消費・技術が鍵
アーティチョークの今後の世界生産を左右する要素には以下があります:
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気候変動への耐性品種の開発
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労働力の確保と収穫の効率化
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健康志向とヴィーガン食の拡大による需要増
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加工食品市場の伸長(缶詰・冷凍・オイル漬けなど)
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生産地の多極化(南米・アフリカの成長)
特に、中南米と北アフリカの生産国はコスト競争力と地理的優位性を活かし、今後の輸出拠点として注目されます。1方、欧州の伝統産地では品質とブランド力を維持した高付加価値路線が求められるでしょう。
まとめ|地中海伝統からグローバル・ニッチ市場へ
アーティチョークは、今なお地中海地域を中心に生産される伝統野菜でありながら、食の多様化や健康志向の高まりを背景に、世界市場でも着実に広がりを見せています。総量としては大きく変動しないが、新興国の台頭と高品質志向の2極化が進む中、産地ごとの強みを活かした差別化戦略が将来の鍵となるでしょう。
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