IMFの最新データによると、アフリカで一人当たりGDP(米ドル)が最も高いのはセイシェルで2.16万ドル。上位国にはモーリシャスやガボンが続くが、成長率にはばらつきがある。経済構造の違いや人口規模、資源依存などが影響し、課題も多い。今後は経済多様化と人口構成の変化が鍵となるだろう。
アフリカのデータとグラフ
一人当たりGDP(米ドル)、国別今年の予想
2025年 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
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名称 | セイシェル | モーリシャス | ガボン | 赤道ギニア | ボツワナ | リビア | 南アフリカ | アルジェリア | カーボベルデ | ナミビア |
最新値[万USD] | 2.163 | 1.233 | 0.884 | 0.775 | 0.702 | 0.68 | 0.64 | 0.569 | 0.542 | 0.466 |
前年比[%] | +0.468 | +3.785 | -3.915 | -1.747 | -1.355 | +11.52 | +1.027 | +0.156 | +1.735 | +4.239 |
一人当たりGDP(米ドル)の推移


詳細なデータとグラフ
一人当たりGDP(米ドル)の現状と今後
1人当たりGDP(米ドル)は、国の国内総生産(GDP)をその年の平均人口で割った数値であり、経済的な豊かさの指標として広く用いられます。特に米ドル建ての値は国際比較に適しており、世界の中での経済的地位を可視化するうえで重宝されます。ただし、為替変動や1時的なショックに敏感であるため、短期的な変動を鵜呑みにすることは避けるべきです。
最新データに見るアフリカの1人当たりGDP(米ドル)
2025年の予測値では、アフリカ諸国の中で最も高いのはセイシェルで21,630ドル。これは観光業を中心にサービス経済が安定している小規模国家であることが背景にあります。次いでモーリシャス(12,330ドル)、ガボン(8,840ドル)、赤道ギニア(7,750ドル)など、主に資源国または観光立国が上位に入っています。
ただし、前年比で見るとガボン(-3.915%)、赤道ギニア(-1.747%)、ボツワナ(-1.355%)とマイナス成長を記録した国もあり、資源価格の影響や政情不安の影響がうかがえます。
1方、リビアは前年比+11.52%と急成長を示していますが、これは前年度が極端に低かった反動である可能性もあります。
構造的要因と地域差
1人当たりGDPの水準には、以下のような構造的要因が深く関わっています。
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人口規模の影響:小国で人口が少ない国は、総GDPが小さくても1人当たりでは高水準になりやすい(セイシェル、モーリシャスなど)。
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資源依存の影響:ガボン、赤道ギニア、リビアなどは石油や鉱物資源に依存する経済構造のため、国際価格の影響を強く受ける。
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サービス経済と観光:セイシェルやモーリシャスは観光収入が安定しており、政情も比較的安定している点が寄与している。
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政治・安全保障リスク:リビアや赤道ギニアのように高い1人当たりGDPを持っていても、実際の生活水準には格差があることも多い。
課題と限界
分配の不平等
1人当たりGDPが高くとも、富の分配が偏っている場合、国民の多くが貧困状態にあるケースもあります。赤道ギニアはその代表例で、石油による経済成長にもかかわらず、1般市民の生活水準は向上していないという批判もあります。
為替と統計上の変動
ドル建てのため、為替変動の影響を受けやすく、特に自国通貨が不安定な国では見かけ上の成長と実質的な成長が1致しない場合があります。
経済の脆弱性
資源依存型の国では、価格が下落したときに税収や輸出が急減し、経済の持続性が危うくなるリスクが高いです。
今後の展望と可能性
経済の多様化
ボツワナやモーリシャスのように、鉱業や観光から金融やICTなどの多様なセクターへと経済をシフトしつつある国は、将来的にも安定的な成長が期待されます。
若年人口と労働市場
多くのアフリカ諸国では若年人口の比率が高く、これを経済成長に結びつけることができれば、労働生産性と所得の向上が期待されます。
インフラ投資とFDI(海外直接投資)
インフラ整備や教育分野への投資が進めば、長期的には1人当たりGDPの上昇につながります。また、政治的安定と法制度の確立があれば、外国からの投資が増え、雇用と所得の増加が望めます。
まとめ
アフリカの1人当たりGDP(米ドル)は、国ごとの経済構造や外部環境の影響を大きく受けており、1概に水準の高さだけでは国民の生活水準を測ることはできません。今後の鍵は「経済の多様化」「若年層の活用」「分配の公平性」の3点です。特にモーリシャスやボツワナのようなモデルを3考に、持続可能な成長を目指す道が重要となるでしょう。
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