2025年予測によると、アフリカのGDP(購買力平価)はエジプトがトップで2372指数、ナイジェリア、南アフリカが続く。為替の影響を受けにくいPPPは実質経済の規模を把握するうえで重要で、エチオピアやケニアなど成長率の高い国々が将来をけん引する可能性がある。都市化、人口増加、インフラ整備などが今後の成長を後押しすると予測される。
アフリカのデータとグラフ
GDP(購買力平価)、国別今年の予想
2025年 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
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名称 | エジプト | ナイジェリア | 南アフリカ | アルジェリア | エチオピア | モロッコ | アンゴラ | ケニア | ガーナ | タンザニア |
最新値[指数] | 2372 | 1585 | 1026 | 875.3 | 484.4 | 424.9 | 402.2 | 402 | 295.1 | 293.6 |
前年比[%] | +6.513 | +5.776 | +3.661 | +6.246 | +9.444 | +6.665 | +5.093 | +7.594 | +6.789 | +8.836 |
GDP(購買力平価)の推移


詳細なデータとグラフ
GDP(購買力平価)の現状と今後
GDP(購買力平価, PPP)は、各国の物価水準を調整して比較できる指標であり、国際的な経済力を実質的に把握するうえで重要です。米ドルベースの名目GDPと異なり、国内で得られる財・サービスの実質的な量を示すため、生活水準や経済成長の潜在力をより適切に評価できます。
2025年におけるアフリカのPPP GDP上位国
以下は、IMFによる2025年予測に基づくアフリカ主要国のGDP(PPP)とその前年比成長率です:
順位 | 国名 | PPP指数(2025年) | 前年比成長率 |
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1位 | エジプト | 2372 | +6.513% |
2位 | ナイジェリア | 1585 | +5.776% |
3位 | 南アフリカ | 1026 | +3.661% |
4位 | アルジェリア | 875.3 | +6.246% |
5位 | エチオピア | 484.4 | +9.444% |
6位 | モロッコ | 424.9 | +6.665% |
7位 | アンゴラ | 402.2 | +5.093% |
8位 | ケニア | 402.0 | +7.594% |
9位 | ガーナ | 295.1 | +6.789% |
10位 | タンザニア | 293.6 | +8.836% |
エジプトが圧倒的なトップで、ナイジェリア、南アフリカ、アルジェリアといった大国が続きます。特にエチオピアやタンザニア、ケニアの成長率が著しく、実質経済活動の拡大を示しています。
アフリカのPPP GDPの歴史的変遷と特徴
長期的にみた着実な成長
1980年代から比べて、アフリカのPPPベースGDPは全体として右肩上がりの傾向にあります。これは人口増加と都市化、インフラ投資の増加による内需拡大が要因とされています。
名目GDPとPPPの乖離
購買力平価ベースのGDPは、為替の変動に左右されず、物価レベルを考慮しているため、国内経済の実態をより正確に反映します。たとえば、ナイジェリアは米ドルベースでは南アフリカやエジプトに劣りますが、PPPベースでは2位となっており、実質的な経済活動の大きさが分かります。
主な国別分析
エジプト:多角化と人口ボーナス
エジプトはアフリカ最大のPPP GDPを誇ります。製造業、観光、交通インフラ(スエズ運河)など多角的な経済構造が下支えしており、人口増加と教育改革も経済成長を加速させています。
ナイジェリア:エネルギーと人口規模の強み
ナイジェリアは人口約2億を抱えるアフリカ最大の国で、石油・天然ガスによる収入が多い1方、PPPベースでも高い経済規模を維持しています。ただし、インフラ不足と腐敗問題がボトルネックとなっています。
南アフリカ:産業国家の成長鈍化
南アフリカは鉱業と金融業が発達しており、比較的先進的なインフラを持つ国ですが、成長率は鈍化傾向にあります。高失業率や社会不安が経済の伸びを制限しています。
ケニア・タンザニア:東アフリカの新興勢力
この2国は農業やIT産業に強みを持ち、人口の増加と政治的安定が実質経済を後押ししています。PPPベースでの成長率が高く、将来的な域内経済の中核になる可能性が高いです。
エチオピア:内需拡大と投資主導型成長
エチオピアは外貨建ての名目GDPでは減少傾向にありますが、国内インフラ投資と製造業育成を背景に、PPPベースでは高成長を維持しています。
購買力平価ベースGDPの利点と限界
利点:実態経済を可視化
PPPベースのGDPは、途上国の生活水準や実質消費を過小評価しにくく、国内市場の厚みを判断するうえで優れた指標です。
限界:国際比較における誤差
ただし、PPPの算出には複雑な仮定が含まれ、データの整合性や統計手法の違いにより、完全な比較は困難な場合もあります。また、外資導入や債務返済の能力評価にはドル建て名目GDPが依然として重要です。
今後の展望と成長シナリオ
アフリカのPPP GDPは今後も以下の要因により継続的な増加が見込まれます:
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人口増加と都市化の継続:特に若年層の多い国々で労働力が増加。
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インフラ投資の拡大:電力、水道、交通網などへの国際的支援。
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IT・モバイル経済の浸透:ケニアやナイジェリアではモバイル送金が経済活動を活性化。
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域内経済統合(AfCFTA):関税障壁が低下すれば内需拡大がさらに進展。
ただし、気候変動、紛争、債務危機などのリスク要因も多く、持続的成長には包括的な政策と国際連携が必要です。
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