アフリカの経常収支(GDP比)動向と課題:資源依存と構造転換の行方

アフリカ

アフリカにおける経常収支(GDP比)は、各国の輸出依存度や経済構造、外需の影響を強く受け、国ごとの差が大きいのが特徴です。ジブチやリビア、ナイジェリアなどは黒字幅が高い一方で、前年比では大幅に落ち込んだ国も多く、不安定な収支構造が露呈しています。鉱物資源や石油に依存した経済からの脱却、多角的な外貨収入の確保が今後の課題です。地域経済統合とサービス産業の拡充が持続的な改善へのカギとなります。

経常収支(GDP比)、今年の予想ランキング

2025年
降順昇順
名称最新値[%]前年比[%]
1ジブチ11.63-47.3
2パプアニューギニア10.7-26.42
3リビア10.4+49.99
4ナイジェリア6.879-24.77
5ジンバブエ2.994+108.6
6ガボン2.178-51.68
7アンゴラ2.115-60.93
8ガーナ1.644+3.008
9ザンビア0.453-127.2
10南アフリカ-1.232+91.3
11赤道ギニア-1.712-27.27
12モロッコ-1.951+34.55
13ブルキナファソ-2.141-66.52
14カーボベルデ-2.221+741.3
15エスワティニ-2.435-253.3
16チュニジア-2.732+64.18
17カメルーン-2.78-14.51
18コンゴ民主共和国-2.947-27.68
19タンザニア-3.008-3.559
20トーゴ-3.056+4.229
21チャド-3.384+154.8
22コートジボワール-3.557-14.72
23スーダン-3.627+3.422
24ニジェール-3.767-31.78
25ケニア-3.898+5.067
26アルジェリア-3.907+185
27コモロ-4.158-36.56
28エチオピア-4.757+13.21
29シエラレオネ-4.766-12.69
30モーリシャス-4.848-25.39
31ガンビア-4.903-12.6
32マリ-5.062-17.18
33モーリタニア-5.106-11.45
34サントメ・プリンシペ-5.108-49.82
35ギニアビサウ-5.512-36.48
36レソト-5.629-1285
37エジプト-5.81+6.978
38ベナン-6.099-4.985
39ウガンダ-6.362-12.61
40マダガスカル-6.529+21.99
41中央アフリカ共和国-6.883-23.16
42ソマリア-7.588-17.8
43ボツワナ-7.895+66.81
44セネガル-8.19-32.49
45セイシェル-8.858+17.76
46ブルンジ-9.654-28.82
47南スーダン-11.43-1067
48ルワンダ-13.81+8.907
49マラウイ-14.73-32.5
50ナミビア-15.57+1.269
51ギニア-15.96-16.57
52リベリア-18.22-13.57
53モザンビーク-41.25+255.7
経常収支(GDP比)、高い国

経常収支(GDP比)、低い国ランキング

2025年
降順昇順
名称最新値[%]前年比[%]
1モザンビーク-41.25+255.7
2リベリア-18.22-13.57
3ギニア-15.96-16.57
4ナミビア-15.57+1.269
5マラウイ-14.73-32.5
6ルワンダ-13.81+8.907
7南スーダン-11.43-1067
8ブルンジ-9.654-28.82
9セイシェル-8.858+17.76
10セネガル-8.19-32.49
11ボツワナ-7.895+66.81
12ソマリア-7.588-17.8
13中央アフリカ共和国-6.883-23.16
14マダガスカル-6.529+21.99
15ウガンダ-6.362-12.61
16ベナン-6.099-4.985
17エジプト-5.81+6.978
18レソト-5.629-1285
19ギニアビサウ-5.512-36.48
20サントメ・プリンシペ-5.108-49.82
21モーリタニア-5.106-11.45
22マリ-5.062-17.18
23ガンビア-4.903-12.6
24モーリシャス-4.848-25.39
25シエラレオネ-4.766-12.69
26エチオピア-4.757+13.21
27コモロ-4.158-36.56
28アルジェリア-3.907+185
29ケニア-3.898+5.067
30ニジェール-3.767-31.78
31スーダン-3.627+3.422
32コートジボワール-3.557-14.72
33チャド-3.384+154.8
34トーゴ-3.056+4.229
35タンザニア-3.008-3.559
36コンゴ民主共和国-2.947-27.68
37カメルーン-2.78-14.51
38チュニジア-2.732+64.18
39エスワティニ-2.435-253.3
40カーボベルデ-2.221+741.3
41ブルキナファソ-2.141-66.52
42モロッコ-1.951+34.55
43赤道ギニア-1.712-27.27
44南アフリカ-1.232+91.3
45ザンビア0.453-127.2
46ガーナ1.644+3.008
47アンゴラ2.115-60.93
48ガボン2.178-51.68
49ジンバブエ2.994+108.6
50ナイジェリア6.879-24.77
51リビア10.4+49.99
52パプアニューギニア10.7-26.42
53ジブチ11.63-47.3
経常収支(GDP比)、低い国

GDP国際収支・貿易人口・物価政府財政

詳細なデータとグラフ

経常収支(GDP比)の現状と今後

経常収支(GDP比)とは、国内総生産に対する経常収支の比率を示す指標であり、国の経済規模に対する外貨収支のバランスを表します。単に金額(USD)での黒字・赤字ではなく、経済の規模と相対的に比較することで、国際競争力や対外依存度、経済の健全性がより明確になります。


2025年の経常収支(GDP比)の国別概観

2025年の予測値では、ジブチ(11.63%)が最も高く、次いでパプアニューギニア(10.7%)リビア(10.4%)、ナイジェリア(6.879%)と続きます。ジンバブエ、ガボン、アンゴラなども黒字圏ですが、南アフリカ(-1.232%)は赤字となっています。

注目すべきは、前年比で大幅な変動を示す国が多い点です。ジブチ(-47.3%)、パプアニューギニア(-26.42%)、アンゴラ(-60.93%)などは黒字であるにもかかわらず、対GDP比では急落しており、収支構造の不安定性を物語っています。1方、ジンバブエ(+108.6%)南アフリカ(+91.3%)などでは対GDP比が改善しつつあります。


資源依存国家の収支構造

アフリカでは、リビア、ナイジェリア、アンゴラ、ガボンといった石油輸出国が経常収支の主役を担ってきました。これらの国では、原油価格の上昇期には対GDP比で10%を超える黒字を出す1方、価格の下落や輸出量の低下、国内情勢不安があると急激に悪化する傾向があります。

例えば、ナイジェリアは依然として6.879%の黒字を保つものの、前年比では▲24.77%の減少。これは原油価格の停滞、輸入拡大、補助金政策などが影響している可能性があります。


非資源国・小国の特徴と動向

ジブチは港湾サービスと物流ハブ機能により外貨を稼いでおり、対GDP比では高い黒字を維持していますが、前年比▲47.3%の落ち込みは、外的要因(紅海情勢など)やインフレ影響が反映されていると考えられます。

ジンバブエは逆に、前年比+108.6%という驚異的な改善を見せています。これは、金など鉱物輸出の増加、輸入制限、ディアスポラ送金の拡大などが要因として考えられます。

1方でザンビアは+0.453%と黒字ながらも前年比で▲127.2%と急減しており、銅価格の下落や輸入圧力が強まっている可能性があります。


経常収支(GDP比)の問題点と課題

アフリカ諸国の経常収支(GDP比)には以下の構造的課題が存在します:

  • 資源価格依存:特定のコモディティの価格変動に対して脆弱である。

  • 輸入超過構造:加工品・工業製品の輸入依存が高く、貿易赤字を抱えやすい。

  • 産業基盤の弱さ:輸出に占める1次産品の比率が高く、価格競争力も低い。

  • 外需ショックへの脆弱性:グローバル需要低下が直撃する構造となっている。

  • 債務返済負担:国際収支の黒字があっても、債務返済や利払いにより資金が流出するケースが多い。


今後の予測と改善の道筋

今後のアフリカにおける経常収支(GDP比)の安定には、以下の戦略的施策が鍵を握ります:

  1. 経済の多角化 資源依存から脱却し、農業、製造業、IT、観光業などを育成することが必要です。

  2. アフリカ域内貿易の強化 AfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)を活用し、域内取引による外貨節約と産業連携を図る。

  3. 財政と外貨政策の整合 為替安定政策、外貨準備の確保、インフレ制御を通じて輸出入のバランスを改善する。

  4. 金融送金の強化 ディアスポラ送金(海外労働者からの送金)を公式ルートに誘導し、経常収支への寄与を高める。

  5. 統計と政策の連携 経常収支の定期的な分析と政策への反映が不可欠。予算編成や借入戦略とも整合性を保つ必要があります。


まとめ

アフリカ諸国における経常収支(GDP比)は、経済構造や資源依存、政策対応の差によって国ごとに大きな違いが存在します。短期的には外的要因による変動が避けられないものの、中長期的には持続可能な輸出構造の確立と経済基盤の強化が安定した経常収支を築く鍵となります。今後は地域間の連携や、対内産業育成を通じた「輸出できる経済」への転換が求められます。

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