アフリカの経常収支(USD)は、資源輸出国の動向に強く左右されており、ナイジェリアやリビアなどの原油依存型経済では国際価格の変動が直接的に黒字・赤字に影響を及ぼしています。一方でガーナやジンバブエなど一部の国では、農産物輸出やディアスポラ送金などを通じて経常収支が改善しています。近年は一部で黒字拡大も見られますが、全体としては不安定性が高く、構造的課題が残る地域でもあります。経済の多角化と持続可能な輸出拡大が今後の焦点です。
アフリカのデータとグラフ
経常収支(USD)、国別今年の予想
2025年 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
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名称 | ナイジェリア | リビア | パプアニューギニア | アンゴラ | ガーナ | ジンバブエ | ジブチ | ガボン | ザンビア | サントメ・プリンシペ |
最新値[億USD] | 129.5 | 49.38 | 35.14 | 23.98 | 14.52 | 11.43 | 5.33 | 4.44 | 1.31 | -0.44 |
前年比[%] | -24.52 | +68.94 | -23.69 | -61.8 | +9.834 | +126.3 | -43.3 | -52.56 | -129.9 | -45.68 |
経常収支(USD)の推移


詳細なデータとグラフ
経常収支(USD)の現状と今後
経常収支とは、貿易収支(輸出入の差額)、サービス収支、所得収支、経常移転収支の合計であり、国の対外取引の健全性を示す指標です。プラスであれば外貨が流入し、マイナスであれば流出していることを意味します。特にアフリカ諸国では、輸出依存度の高い国々が多く、この収支は外部経済の影響を強く受けます。
経常収支の地域的な特徴と差異
アフリカでは、石油や天然資源を多く輸出する国々(ナイジェリア、リビア、アンゴラなど)が黒字を計上する傾向にあります。2025年の予測では、ナイジェリアが129.5億USDと最も大きな経常黒字を記録していますが、前年比では▲24.52%の減少となっており、資源価格の変動に対する脆弱性が表れています。リビアは68.94%の大幅増で、石油輸出の回復が反映されています。
1方で、サントメ・プリンシペのように経常赤字が恒常化している国もあり、慢性的な輸入超過や産業基盤の脆弱性が背景にあります。
個別国の事例分析
- ナイジェリア:原油輸出が収支を支える主軸。価格下落で大幅な黒字減少を経験。構造的には非石油分野の輸出開拓が課題。
- リビア:政治的不安定ながらも、エネルギー輸出の増加により大幅黒字増加。今後も政情次第で大きく変動するリスクが高い。
- ジンバブエ:前年比+126.3%と大幅な改善が見られ、農産物輸出や金の取引が寄与している可能性がある。
- ジブチ・ガボン:港湾サービスや石油に依存しており、国際需要減速により経常収支が悪化傾向。
- ザンビア:前年比で収支が大きく悪化(-129.9%)しており、銅価格の不安定さや輸入増の影響が想定される。
経常収支の構造的問題
多くのアフリカ諸国では、経常収支が1部の資源輸出に依存しており、価格の上下動がそのまま国家財政や通貨の安定性に影響します。また、サービスや所得収支は赤字が常態化しており、海外資本や技能に頼る構造的問題を反映しています。さらに、人口増加に伴う輸入需要の拡大も黒字維持を困難にしています。
今後の展望と改善の方向性
将来的な経常収支の安定には、以下のような取り組みが必要です。
- 輸出の多角化:鉱物や農産物、加工食品などの高付加価値輸出の推進。
- サービス産業の育成:観光、金融、ITアウトソーシングなどの分野で外貨を稼ぐ構造へ。
- 地域貿易の強化:アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)を活用し、域内取引の促進を目指す。
- マクロ経済の安定化:インフレ抑制、通貨管理、外貨準備の充実などが求められます。
まとめ
アフリカの経常収支は、資源価格の影響を強く受ける不安定な構造が続いており、1部の国では黒字が拡大する1方、他では深刻な赤字を抱えています。外需主導の経済構造からの転換と、地域内の産業連携が将来の鍵となるでしょう。各国が自国の収支構造を見直し、長期的視野に立った持続可能な戦略を構築できるかが試されています。
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