IMFによる2025年予測では、中国のGDP(購買力平価)は4.072万指数でアジア最大、インドが1.765万指数で急成長中(+9.019%)。日本は0.674万指数で3位だが伸び率は小幅。インドネシア、ベトナム、トルコなど新興国の上昇が目立つ。購買力平価GDPは為替影響を受けず、実質的な経済力を示す指標であり、アジア経済の内需拡大や生活水準の改善度を測る上で極めて重要である。今後は中国・インドの二強化とASEANの集団的台頭が加速する見通し。
アジア経済のデータとグラフ
GDP(購買力平価)、国別今年の予想
2025年 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
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名称 | 中国 | インド | 日本 | インドネシア | トルコ | 韓国 | サウジアラビア | 台湾 | タイ | ベトナム |
最新値[万指数] | 4.072 | 1.765 | 0.674 | 0.501 | 0.365 | 0.337 | 0.223 | 0.197 | 0.185 | 0.179 |
前年比[%] | +6.715 | +9.019 | +3.225 | +7.433 | +5.434 | +3.711 | +5.725 | +5.586 | +4.504 | +7.945 |
GDP(購買力平価)の推移


詳細なデータとグラフ
GDP(購買力平価)の現状と今後
購買力平価(Purchasing Power Parity, PPP)によるGDPは、各国での物価水準を考慮して調整された経済規模の指標です。つまり、1ドルで買えるモノ・サービスの量をベースに換算するため、実質的な生活水準や国内経済の真の規模を測るのに適しています。
主な特徴:
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為替の影響を受けにくい:通貨の1時的な変動に左右されず、より安定的な比較が可能。
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物価差を反映:発展途上国では生活コストが低いため、実質GDPが名目より高く出る傾向。
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実体経済の規模比較に有効:グローバルな購買力や市場規模を測る基準となる。
アジアにおけるGDP(PPP)の歴史的推移
1980年代〜1990年代:日本独走、他国は発展途上段階
日本は高度経済成長を経て、PPPでもアジア最大級の経済を誇っていた。1方で中国、インド、ASEAN諸国はまだ発展の初期段階で、PPPでも存在感は小さかった。
2000年代:中国の台頭
WTO加盟や国内市場の拡大によって、中国のGDP(PPP)は飛躍的に成長。2005年以降、日本を超え、アジア最大のPPP経済となる。
2010年代:インドとASEANの追撃
インドはソフトウェア・IT産業の勃興と人口の多さを背景に、急成長。ASEAN諸国(インドネシア、ベトナム、タイ)も中間所得層の拡大によりPPPが上昇。
2025年のGDP(PPP)予測から見る各国の状況
中国:4.072万指数(+6.715%)
世界最大の実質経済規模。工業・サービス業・都市化・インフラが牽引。内需主導経済への転換も進行中。
インド:1.765万指数(+9.019%)
最も高い成長率。人口規模の大きさと内需拡大、若年労働力の豊富さが強み。中期的には中国との差を縮小しうる唯1の国。
日本:0.674万指数(+3.225%)
成熟経済としては安定成長だが、人口減少・高齢化・低生産性といった構造問題で今後の順位低下は避けがたい。
インドネシア:0.501万指数(+7.433%)
人口大国・中間層拡大・内需成長が推進力。資源国としてのポジションも持つが、産業多角化が鍵。
トルコ:0.365万指数(+5.434%)
地理的に欧亜の中間に位置し、インフレや通貨問題を抱えながらも消費市場としての魅力がある。
韓国:0.337万指数(+3.711%)
高度な工業化経済を維持しつつも、少子化と輸出依存が成長制限要因。
サウジアラビア:0.223万指数(+5.725%)
石油以外への経済多角化政策(Vision 2030)により非石油部門の成長がPPPにも表れ始めている。
台湾:0.197万指数(+5.586%)
ハイテク製造とサプライチェーンの中心地として堅調。地政学リスクの懸念も。
タイ:0.185万指数(+4.504%)
観光業と製造業の2本柱。安定した経済運営が評価されている。
ベトナム:0.179万指数(+7.945%)
製造業誘致と外資導入で急成長。若年人口が多く、次世代の「東南アジアのエンジン」と期待される。
GDP(PPP)で見たアジア経済の構造的課題
生産性の向上と所得の質的変化
GDP(PPP)が高くても、労働生産性や賃金格差が大きい国もあり、成長の質が問われる段階に入っています。
都市と地方の格差
特に中国やインド、インドネシアなどの大国では都市部のPPPが極端に高く、農村部との乖離が大きな社会問題となっている。
中所得国の罠
ASEANやトルコなどは、1定のPPP水準に達した後の経済停滞=“中所得国の罠”に陥るリスクが指摘されており、イノベーションや制度改革がカギです。
今後のアジア経済とGDP(PPP)の展望
中国 vs インドの構図が鮮明に
両国とも人口が10億超で、PPPでは世界の2大経済圏となる。インドは高成長が続けば2030年までに中国に並ぶ可能性。
ASEAN諸国の中長期的成長
タイ・ベトナム・フィリピンなどは生産拠点としての魅力と消費市場の拡大が追い風。労働力の質的向上と社会基盤整備が急務。
技術革新と高付加価値化が鍵
韓国・台湾・シンガポールなどの成熟経済は、産業の高付加価値化とイノベーションで持続的成長を図る。
まとめ:購買力平価で見えるアジアの真の経済実力
名目GDPと異なり、購買力平価(PPP)で見るとアジアの経済的ポテンシャルがより鮮明になります。中国・インド・インドネシアといった人口大国は、生活水準の向上と内需の拡大を通じて今後もPPPベースでの成長が続く見込みです。アジアの経済秩序は「多極型」へと移行しつつあり、それぞれの国が抱える課題と可能性を克服できるかどうかが、今後の世界経済の鍵を握ると言えるでしょう。
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