アイスクリーム価格動向と地域差:110mLあたりの推移と今後の見通し

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2025年4月時点で日本のアイスクリーム(110mL)1個あたりの平均小売価格は296.9円と高水準で推移し、前年同月比では-0.0623%とわずかな下落でした。地域別では那覇が349円と最も高く、松本・長野の250円が最も安い結果です。都市によっては2%以上の上昇がみられる一方、所沢などでは値下がりも発生しています。これらの背景には原材料費、冷蔵輸送、地域の購買力などが関係しており、今後も高価格帯商品と低価格商品の二極化が進むことが予想されます。

小売物価統計

アイスクリーム小売りの高い都市

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 那覇 水戸 福山 函館 高松 岡山 福島 福井 松阪 松山
最新値[円] 296.9 349 323 322 322 321 321 317 316 316 316
前年同月比[%] -0.0623 +0.955 +2.265

アイスクリーム小売りの安い都市

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 松本 長野 前橋 所沢 府中 浦安 富士 熊谷 甲府
最新値[円] 296.9 250 250 256 257 257 266 269 272 273 274
前年同月比[%] -0.0623 +2.459 +2.459 -2.281 -3.019 +2.281 +0.738 +1.481

 

アイスクリームの推移

アイスクリーム小売り価格
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

アイスクリームの現状と今後

2025年4月時点における、日本のアイスクリーム(110mL)1個あたりの平均小売価格は296.9円です。この価格は過去10年間で徐々に上昇してきた傾向にあり、近年では300円近い水準で安定しています。

ただし、直近の前年比では-0.0623%と微減となっており、物価上昇が続く中で意外にも価格調整の兆しが見られています。これは需要鈍化への対策として、メーカーや小売が価格を抑制したことが影響していると考えられます。


高価格帯地域の特徴

高価格地域の上位は以下の通りです:

  • 那覇(349円)

  • 水戸(323円)

  • 福山・函館(322円)

  • 高松・岡山(321円)

  • 福島(317円)

  • 福井・松阪・松山(316円)

特に那覇は、全国平均を50円以上も上回る高価格です。これは地理的要因による冷蔵輸送コストの高さが反映されています。また、地方都市においては、流通コストの他にも「ご当地アイス」や観光土産的なプレミアム商品が含まれている可能性もあります。

1方で、松阪(+2.265%)福島(+0.955%)のように、価格がさらに上昇している地域もあります。これは、地域特化商品や高付加価値アイスの売上比率が増加している影響と推察されます。


低価格帯地域の動向と背景

1方、低価格帯は以下の通りです:

  • 松本・長野(250円)

  • 柏(256円)

  • 前橋(257円)

  • 所沢(257円)

  • 府中(266円)

  • 浦安(269円)

  • 富士(272円)

  • 熊谷(273円)

  • 甲府(274円)

これらの地域では、全国展開しているコンビニPB(プライベートブランド)やスーパーの特売品など、コストパフォーマンスを重視した商品が主流と見られます。特に関東周辺では物流網が発達しており、輸送コストを抑えやすいことも価格の安定要因です。

ただし、低価格帯でも松本・長野(+2.459%)、浦安(+2.281%)といったように、価格が上昇している地域もあり、エネルギーコストや包装資材の高騰がじわじわ影響を及ぼしている様子がうかがえます。

逆に、所沢(-3.019%)前橋(-2.281%)のように値下がりしている都市もあり、競争激化や在庫調整による特売の影響も考えられます。


価格変動の要因分析

原材料コスト

アイスクリームの主原料である乳製品(特に生クリームやバター)は、近年世界的に価格が高止まりしており、国産原料への依存度が高いプレミアム商品では特に価格転嫁の影響を受けやすくなっています。

冷蔵輸送と電力コスト

冷凍品であるアイスクリームは、冷蔵設備・配送にかかるコストが非常に高く、燃料費や電力料金の上昇が小売価格に直接跳ね返ってきます。特に離島・地方都市ではその影響が顕著です。

高付加価値化の流れ

ハーゲンダッツやプレミアムジェラート系アイスに代表されるように、ここ数年で「ご褒美アイス」や「ご当地ブランドアイス」の需要が拡大し、価格水準を押し上げてきました。この流れは1部地域で根強く、平均価格の底上げにつながっています。

小売戦略とPB商品

大手スーパーやコンビニによるPB商品の展開も進み、価格を抑えつつ品質を維持する競争が続いています。これが平均価格の上昇抑制に1定の歯止めをかけているといえるでしょう。


今後のアイスクリーム価格の展望

安定かつ緩やかな上昇が予想される

現在の価格水準から見て、今後も緩やかな上昇傾向が続くと見られます。ただし、年率1%未満の伸びにとどまる可能性が高く、背景には以下の要因が挙げられます:

  • 消費者の節約志向

  • 低価格PB商品の浸透

  • 物価高の中での娯楽支出の見直し

2極化の加速

プレミアム志向と節約志向の2極化が、アイスクリーム市場でもはっきりと進行しています。高価格帯では「高たんぱく質アイス」「糖質オフ」「クラフトアイス」などが台頭し、価格は300円を超えても需要があります。1方で、安価な量販アイスも根強い支持があり、価格帯による市場の分断が今後さらに明確になると見込まれます。


まとめ:価格の安定と嗜好の多様化が鍵

アイスクリームの小売価格は、地域や商品構成によって大きく異なるものの、全体としては高価格と低価格の2極化が進む中で、平均価格は高止まり傾向にあります。今後もエネルギー・原材料コストが不安定な中、価格調整の動きが続くでしょう。

メーカーや小売側は、単純な値上げではなく、「高付加価値」「健康」「地域性」などを打ち出すことが求められます。消費者にとっても「1口の贅沢」か「日常の冷涼感」かという選択軸が明確になりつつある今、アイスクリームは価格だけでなく体験価値で勝負する時代へと移行しています。

 

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