2025年4月時点で、わかめ100gの平均小売価格は303.4円と、前年同月比で8.6%上昇。特に函館・仙台・山形など東北や北海道地域で価格が高騰し、30%を超える上昇率も。一方、熊本・鹿児島では価格が低下する地域差も見られる。背景には天候不順による国産生産量の変動、輸入わかめの価格上昇、物流費の高騰がある。今後も高止まりの傾向が続くと見込まれ、消費者や業者にとっては価格転嫁と代替需要の模索が課題となる。
小売物価統計
わかめ小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 函館 | 府中 | 盛岡 | 甲府 | 八王子 | 川口 | 仙台 | 山形 | 秋田 | さいたま |
最新値[円] | 303.4 | 477 | 438 | 429 | 417 | 414 | 411 | 410 | 406 | 385 | 382 |
前年同月比[%] | +8.647 | +31.4 | +13.47 | +7.25 | +15.83 | +0.485 | +30.89 | +28.53 | +34.88 | +2.122 | +15.76 |
わかめ小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 八戸 | 熊本 | 姫路 | 今治 | 鳥取 | 富山 | 山口 | 宮崎 | 鹿児島 | 枚方 |
最新値[円] | 303.4 | 165 | 175 | 201 | 205 | 215 | 217 | 220 | 226 | 229 | 235 |
前年同月比[%] | +8.647 | +10.74 | -4.372 | +8.649 | -6.818 | +13.16 | +4.327 | +10.55 | +7.619 | -12.93 | +6.335 |
わかめの推移


詳細なデータとグラフ
わかめの現状と今後
わかめは日本の食卓に欠かせない海藻であり、味噌汁、酢の物、サラダなど用途も幅広い。加工・乾燥のしやすさから、保存食としても広く親しまれている。日本では3陸(特に岩手・宮城)や北海道が主産地とされるが、中国や韓国からの輸入も1定量あり、価格は国内外の生産動向や為替に左右される。
直近15年間の価格推移と高騰の現状
わかめの100gあたりの平均価格は、2010年にはおおよそ200円台前半だったが、徐々に上昇傾向をたどり、2025年4月時点では303.4円に達している。特にここ1年間で平均価格は+8.647%と急騰しており、食料品全体の中でも目立った値上がり幅を示している。
地域別に見ると、函館(477円)・府中(438円)・盛岡(429円)などが高価格帯に集中しており、そのほとんどが東日本に位置している。特に山形(+34.88%)や仙台(+28.53%)のように急上昇した例も目立つ。1方、8戸(165円)・熊本(175円)・姫路(201円)などは比較的安価で、特に9州地方では価格が低い傾向にある。
価格上昇の背景と要因
価格高騰の要因は複合的であるが、主に以下の3点が挙げられる。
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天候不順と海水温の上昇 近年の気候変動により、養殖わかめの育成環境が悪化。特に3陸沿岸での収量減が価格に直結した。
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輸入品価格の上昇と円安 韓国・中国からの輸入わかめが、円安と輸送費高騰の影響を受けて高値化。国産の代替需要がさらに価格を押し上げた。
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加工・流通コストの増加 燃料費や人件費の上昇、また包装材など資材価格の上昇により、販売価格にも反映されている。
地域別に見る特徴と傾向
地域別の価格傾向には以下のようなパターンが見られる。
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価格上昇率が高い地域(東北・北海道) もともと産地に近く、品質の高いわかめが流通しているが、地元産の減少や観光地価格の影響も大きい。
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価格が安定、あるいは下落している地域(9州・中国地方) 流通距離の短さや、地域の購買力の違いが価格に反映。鹿児島などでは-12.93%と大幅下落も。
このように、価格には地元産業構造・人口規模・購買行動など複数の要素が絡む。
今後の価格見通しと課題
わかめ価格の今後については以下のようなシナリオが考えられる。
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価格の高止まりが続く可能性が高い 海水温の上昇や不安定な輸入事情は継続しており、今後も短期的な価格低下は見込みにくい。
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代替商品や冷凍・乾燥品へのシフト 価格高騰により、消費者は安価なカットわかめや外国産へのシフトを進める傾向が強まる。
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地産地消や小規模養殖の再評価 漁業者の高齢化が進む中で、地域資源としてのわかめの価値を見直し、若者3入やテクノロジー導入が必要となる。
政策や企業の対応と消費者への影響
政府や業界団体は、わかめの安定供給のために以下のような取り組みが求められる。
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補助金による養殖支援 収穫量の安定化と新規就業者支援の両面で国や自治体による支援が急務。
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物流・流通構造の見直し 価格の地域差を是正するために、効率的な配送ルートや共同流通体制の構築が求められる。
消費者にとっては、家計圧迫の要因となるとともに、「手軽で健康的」という海藻食文化の維持が課題となる。教育・啓発とともに、新しい消費形態の模索が重要になるだろう。
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