2025年5月時点でのりんご卸売価格は、沖縄県が577.3円/kgで最高値を示し、名古屋市や広島市、宇部市も高価格帯に位置する。一方、東北地方を中心に山形市231円/kgや八戸市269円/kgなど低価格圏も目立つ。前月比や前年同月比では地域差が大きく、宇部市の前年同月比42.97%増など特徴的な動きがある。気候変動や物流コストの影響を受けつつ、高付加価値品の需要増が価格安定化を支える見込みである。
りんごの卸売り市場価格
りんごの高い順
沖縄県 | 名古屋市 | 広島市 | 宇部市 | 高松市 | 北九州市 | 札幌市 | 大阪市 | 京都市 | 東京都 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最新 | 2025年5月 | 2025年5月 | 2025年5月 | 2023年12月 | 2025年5月 | 2025年5月 | 2025年5月 | 2025年5月 | 2025年5月 | 2025年5月 |
最大期 | 2020年8月 | 2020年7月 | 2020年7月 | 2020年7月 | 2024年7月 | 2020年7月 | 2020年7月 | 2020年7月 | 2020年7月 | 2020年7月 |
最新値[円/kg] | 577.3 | 562.7 | 552.3 | 529 | 515 | 514 | 513 | 505.3 | 502.7 | 500 |
最大値[円/kg] | 752 | 740 | 716 | 744 | 679.3 | 694 | 621 | 700 | 656 | 695 |
前月比[%] | -1.87 | +13.75 | +9.954 | -2.037 | +6.186 | +8.363 | +4.908 | +7.822 | +16.36 | +4.095 |
前年同月比[%] | -4.993 | +2.49 | +0.9744 | +42.97 | -11.97 | -5.745 | -2.41 | -0.2645 | -1.244 | -2.281 |
りんごの安い順
山形市 | 松本市 | 八戸市 | 長野市 | 盛岡市 | 福島市 | 青森市 | 秋田市 | 船橋市 | 沼津市 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最新 | 2021年12月 | 2021年12月 | 2023年12月 | 2021年12月 | 2023年12月 | 2021年12月 | 2023年12月 | 2021年12月 | 2016年12月 | 2016年12月 |
最大期 | 2020年7月 | 2020年7月 | 2020年7月 | 2020年6月 | 2020年7月 | 2020年5月 | 2020年6月 | 2020年7月 | 2015年7月 | 2012年7月 |
最新値[円/kg] | 231 | 389 | 269 | 299 | 263 | 328 | 335 | 298 | 232 | 340 |
最大値[円/kg] | 670 | 709 | 609 | 562 | 779 | 591 | 521 | 600 | 457 | 566 |
前月比[%] | -10.47 | -11.39 | +0.3731 | -11.01 | -24.86 | +5.806 | +2.446 | -17.68 | +2.203 | +3.343 |
前年同月比[%] | +32.76 | +24.28 | +30.58 | +23.05 | +27.67 | +56.19 | +32.41 | +24.17 | -6.452 | +8.974 |
りんごの推移


その他のデータとグラフ
りんごの価格についての推移と展望
りんごは日本全国で親しまれる果物だが、卸売市場における価格は地域ごとの生産量、輸送コスト、需要動向などにより大きく異なる。都市間での価格差は時に倍以上となることもあり、特に東北地方や北日本の都市は比較的低価格帯、南日本の都市は高価格帯に位置づけられる傾向がある。気候変動に伴う収穫量の不安定化も市場価格に影響し、年ごとに価格の変動幅が拡大している。
2025年5月時点の都市別価格ランキングと増減率
高価格帯(上位10都市)
-
沖縄県:577.3円/kg(前月-1.87%、前年同月-4.993%)
-
名古屋市:562.7円/kg(前月+13.75%、前年同月+2.49%)
-
広島市:552.3円/kg(前月+9.954%、前年同月+0.9744%)
-
宇部市:529円/kg(前月-2.037%、前年同月+42.97%)
-
高松市:515円/kg(前月+6.186%、前年同月-11.97%)
-
北9州市:514円/kg(前月+8.363%、前年同月-5.745%)
-
札幌市:513円/kg(前月+4.908%、前年同月-2.41%)
-
大阪市:505.3円/kg(前月+7.822%、前年同月-0.2645%)
-
京都市:502.7円/kg(前月+16.36%、前年同月-1.244%)
-
東京都:500円/kg(前月+4.095%、前年同月-2.281%)
宇部市の前年同月比42.97%増は極めて注目すべき動きであり、供給不足や需要急増が示唆される。京都市の前月比16.36%増も価格上昇を牽引している。
低価格帯(代表都市)
-
山形市:231円/kg(前月-10.47%、前年同月+32.76%)
-
船橋市:232円/kg(前月+2.203%、前年同月-6.452%)
-
8戸市:269円/kg(前月+0.3731%、前年同月+30.58%)
-
長野市:299円/kg(前月-11.01%、前年同月+23.05%)
-
盛岡市:263円/kg(前月-24.86%、前年同月+27.67%)
-
福島市:328円/kg(前月+5.806%、前年同月+56.19%)
-
青森市:335円/kg(前月+2.446%、前年同月+32.41%)
-
秋田市:298円/kg(前月-17.68%、前年同月+24.17%)
-
松本市:389円/kg(前月-11.39%、前年同月+24.28%)
-
沼津市:340円/kg(前月+3.343%、前年同月+8.974%)
東北や北信越を中心に前月は減少傾向ながら、前年同月比は高いプラス成長を示す都市が多い。これは前年の異常気象などによる供給減からの回復や消費増加が背景にある。
地域別の価格特色と要因分析
-
沖縄・南日本エリア輸送コストが高いため全国でも最高価格帯に属する。特に沖縄は離島という立地条件から物流コストの上乗せが大きい。高温多湿な気候は果実の品質管理に影響を及ぼしやすい。
-
中部・近畿圏(名古屋、大阪、京都)需要が強く、特に名古屋市と京都市では価格上昇が顕著。都市型消費の増加と高付加価値品需要が価格を支えている。
-
中国・4国地方(広島、宇部、高松)宇部市の急激な前年同月比増加は、気候不順や収穫減少による需給逼迫を示唆。広島も堅調な価格推移。
-
北海道・9州(札幌、北9州)安定的な価格水準だが前年割れも見られ、気候や輸送事情の影響を受けやすい。
-
東北・北信越(山形、8戸、長野など)価格は全体に低めだが前年からの回復が強く見られる。生産量の増加や品質改善努力が進む。
最近の市場課題と影響要因
-
気候変動による収穫不安定化昨今の異常気象は収穫量や品質に大きな影響を与え、価格の乱高下を招く。
-
物流コスト高騰燃料費や労働力不足による運賃増が沖縄など遠隔地価格の上昇要因。
-
消費者ニーズの多様化健康志向や高級志向により高付加価値品への需要が増し、価格上昇圧力となる。
-
生産者の高齢化・人手不足生産効率の維持が困難となり供給調整が必要な状況。
今後の価格動向と展望
-
安定供給に向けた技術革新スマート農業や品種改良により収量・品質の安定化が期待される。
-
需給調整と流通効率化の進展物流の合理化や市場連携強化でコスト削減が進む見込み。
-
消費者志向の変化対応高品質果実や地域ブランドの強化で付加価値向上が価格支援に。
-
気候変動対策の重要性増大長期的な気候適応策が生産と価格の安定に不可欠。
まとめ
2025年のりんご卸売価格は都市間で大きな差があり、南日本や中部圏の主要都市が高価格を示す1方、東北や北信越は比較的低価格ながら前年からの回復が著しい。気候変動や物流コスト、消費者の多様化するニーズが市場価格に大きく影響し、今後は技術革新と流通効率化により安定的な市場形成が期待される。
コメント