日本の卸売市場におけるりんご価格は、都市によって大きく異なり、消費地や流通コスト、地元産地の影響などが価格に反映されています。高価格帯の都市は主に南西部の消費地で、低価格帯は東北・信州の産地が多く、価格の増減から見ると、物流や天候の影響、産地の収穫量の変化が大きく影響しています。今後は需要の安定化と産地支援によって価格の緩やかな推移が予想されます。
りんごの卸売り市場価格
りんごの高い順
沖縄県 | 宇部市 | 仙台市 | 広島市 | 名古屋市 | 横浜市 | 鹿児島市 | 札幌市 | 高松市 | 金沢市 | |
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最新 | 2025年4月 | 2023年12月 | 2025年4月 | 2025年4月 | 2025年4月 | 2025年4月 | 2023年12月 | 2025年4月 | 2025年4月 | 2025年4月 |
最大期 | 2020年8月 | 2020年7月 | 2020年7月 | 2020年7月 | 2020年7月 | 2023年7月 | 2020年7月 | 2020年7月 | 2024年7月 | 2020年7月 |
最新値[円/kg] | 588.3 | 529 | 510.7 | 502.3 | 494.7 | 491.7 | 491 | 489 | 485 | 484.7 |
最大値[円/kg] | 752 | 744 | 626 | 716 | 740 | 587 | 708 | 621 | 679.3 | 686 |
前月比[%] | +1.204 | -2.037 | +3.515 | -0.5287 | +1.298 | -3.277 | +2.079 | +0.2727 | -2.479 | -1.088 |
前年同月比[%] | +0.626 | +42.97 | +13.06 | +0.6008 | +3.776 | +3.364 | +37.92 | +3.822 | -9.12 | +7.069 |
りんごの安い順
山形市 | 松本市 | 八戸市 | 長野市 | 盛岡市 | 福島市 | 青森市 | 秋田市 | 船橋市 | 沼津市 | |
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最新 | 2021年12月 | 2021年12月 | 2023年12月 | 2021年12月 | 2023年12月 | 2021年12月 | 2023年12月 | 2021年12月 | 2016年12月 | 2016年12月 |
最大期 | 2020年7月 | 2020年7月 | 2020年7月 | 2020年6月 | 2020年7月 | 2020年5月 | 2020年6月 | 2020年7月 | 2015年7月 | 2012年7月 |
最新値[円/kg] | 231 | 389 | 269 | 299 | 263 | 328 | 335 | 298 | 232 | 340 |
最大値[円/kg] | 670 | 709 | 609 | 562 | 779 | 591 | 521 | 600 | 457 | 566 |
前月比[%] | -10.47 | -11.39 | +0.3731 | -11.01 | -24.86 | +5.806 | +2.446 | -17.68 | +2.203 | +3.343 |
前年同月比[%] | +32.76 | +24.28 | +30.58 | +23.05 | +27.67 | +56.19 | +32.41 | +24.17 | -6.452 | +8.974 |
りんごの推移


その他のデータとグラフ
りんごの価格についての推移と展望
日本におけるりんごの卸売価格は、地域、季節、生産量、輸送コスト、消費地の需要などが複雑に絡み合って決定されます。2010年から2025年にかけての長期データでは、以下のような全体的な特徴が見られます。
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長期的には価格は比較的安定:他の果物と比べて極端な高騰・暴落は少ない。
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季節による変動:主に秋から冬にかけて出荷量が増加し、価格はやや下がる傾向。
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物流費の上昇による西日本・離島の高値化:特に沖縄の価格は全国最高水準。
最新の高価格帯都市の特徴(沖縄県・宇部市など)
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沖縄県(588.3円/kg)は流通コストが非常に高く、かつ本州からの輸送が前提のため、価格が高騰しやすい。前月比+1.204%、前年比も+0.626%と穏やかな上昇。
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宇部市(529円/kg)は前年比+42.97%と異常な高騰。これは供給不安、卸売量の減少、あるいは取引量の偏りが考えられる。
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仙台市(510.7円/kg)は前年比+13.06%。産地近郊であるにもかかわらず高値。地場消費の高まりや市場への出荷量減が影響か。
中位価格の都市の特徴(名古屋、横浜、札幌など)
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名古屋市(494.7円/kg)や横浜市(491.7円/kg)は、安定した都市消費型市場であり、前月比はそれぞれ+1.298%、-3.277%とばらつきが見られる。
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横浜はやや価格が下がっており、これは供給過多または一時的な需要減が原因か。
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札幌市(489円/kg)は産地からの距離に比して安価であり、輸送効率の高さが示唆される。
低価格帯都市の共通点(山形市・青森市・秋田市など)
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山形市(231円/kg)や八戸市(269円/kg)などは、主産地として地元消費や流通在庫過多の影響で卸売価格が極端に安くなる。
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秋田市(298円/kg)は前月比-17.68%と急落しており、これは出荷量急増や品質のばらつきが影響している可能性がある。
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多くの東北・長野地域では、前年比で+20~+50%の急上昇が見られるが、元の価格が低いため相対的な増加率が高くなる傾向がある。
価格変動要因の考察と最近の課題
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気象条件の影響:近年の異常気象、春先の霜害や夏の高温による収穫量変動が価格に直結。
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人手不足による出荷制限:収穫・選果・出荷に必要な人材不足が価格上昇要因に。
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物流費の高騰:特に離島や南西部ではコスト上昇分が価格に反映。
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需給のアンバランス:都市部では安定供給が求められ価格が下がりにくく、逆に産地では価格調整がしやすいため値動きが大きい。
今後の価格推移の予想と地域間格差の展望
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短期的には高止まり傾向:特に物流費や人件費が下がらない限り、都市部での価格は大きく下がらない。
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東北・長野など産地の価格はやや上昇傾向:国内供給力の見直しや輸出志向の強化により、安値競争が収束する可能性。
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地域格差の固定化の懸念:今後も沖縄や宇部など流通に課題のある地域は高価格を維持し、産地では低価格のまま推移する懸念がある。
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デジタル流通や産直ECの進化がカギ:価格の標準化・平準化には新たな流通ルートの拡大が重要。
今後のりんご市場価格の動向を見る上では、「どこで作られ、どこで消費されるのか」「物流を誰が担っているのか」「消費者の価格許容度はどこにあるのか」といった視点が、ますます重要になっていくでしょう。
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